にゃんがいなくなった、と本気で思った。
夫の出社後、いつものように息子と朝食を済ませ、後片付けをしつつにゃん(飼い猫)を探すがおかしい。見当たらない。
毎朝2歳の息子の世話で手一杯でにゃんに手が回らなく、朝、にゃんを愛でるのは主に夫の役目になっている。
キャットフードを食べた後、いつもはだいたい夫のクローゼットの収納ケースの上か、使わないカーテンが入っている段ボールの上で寝ている。でも見当たらない。
押入れの襖を開けてみるがいない。シンク下の収納スペースに閉じ込めたか?いや、いない。洗面台の下は?やっぱりいない。
トイレにお風呂、普段は入らない布団の中など、今思えばあり得ないと思う場所をそこら中探し回ったがどこにもいない。
会社に行く夫と一緒に外に出たのか?もうそれ以外考えられない。(少々訳があって見送りはしていません。)
にゃんの最後の行方を夫が知っているはず。電話もメールもしてみたが出られる時間なのに全然出てくれない。
焦る。めちゃくちゃ焦る。もう外に出てしまった以外考えられない。
外に出て、大声で名前を呼んだ。駐車場に停めてあった車の下も全て見た。たまたま洗濯物を干していたおばちゃんにも「このくらいの黒猫を見ませんでしたか?」と聞いてみたが、猫は通っていないらしい。いたら教えてくださいと、お願いした。
そろそろ折り返しの電話がかかってきてるかもしれないと、一旦家に戻り、携帯電話を見ると案の定ランプが点滅していた。電話とメールが1件ずつ。両方夫からだ。
メールを見ると「(夫の)クローゼットの衣装ケースの後ろに入って行くのを最後に見た」と書いてあった。
そんなところ、普段は入らない。見てみると「どうやって入ったんだ?」と思えるほど隙間なく物が詰め込まれている。急いで物を出し、衣装ケースの後ろに手を入れてみると、触り慣れたモフモフが手に当たった。良かった。にゃんだ。
すぐにこちらに出てきて、本人は何事もなかったような顔をしている。安心して泣いている私の涙を、私の後をいっしょに付いてきて探してくれた?息子が、両手でふき取ってくれた。
冒頭に書いたように、最近は息子で手一杯になっていたので、寂しい思いをしていたにゃんが家出、またはさすらいの旅か何かに出てしまったのかと思った。
息子もかわいいがにゃんもかわいい。にゃんもかわいいが息子もかわいい。
ふたりとも、比べられない。
にゃんと触れ合う時間は今までよりも減ってしまったが、今はどうしようもないからこれからも変わらず自分のペースで愛情を注いでいく。
それと、「普段と違うところに入って行ったなら教えてください」と、夫には厳重注意した。
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