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タクシー・6

  



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「わかりましたが、そんな皮がこの店にある訳がありましょうか」

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「しかしあなた、よくそこまで詳しい消息、顛末にお分りがあるもので感心いたしますが、武夷山のドラ息子はその後お元気ですか」

「いや私は知りません何もかも、まるっきり」

「ご存じ無いことを出鱈目におしゃべりになりましたか」

「いえ、この炭を口に含んだとたんにストオリが活動となって、この店じゅうが、かき消されんばかりに後から後から立ち現れるのです、それを掻い摘まんで解り易いようにお話しました、私はセンシビリテのボリユムがとてもハイレベリ且つハイトホンなのです、耳が痛いくらいです」

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つづく

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