俺の職業経験 エピソード1-2
ノリが無くて困り果てた。
藁にもすがるとはこの事か!
と思いながら、スクールバッグを捜索した。
するとスティックノリが入っていた。
4次元ポケットなのか?
いずれにせよ入れたのは紛れもなく自分自身だろう。
過去の自分に感謝した。
だが、人生なんでもうまくいくとは限らない。
起きて欲しくないタイミングで起きて欲しくないことは起きるものだ。
スティックノリの蓋をとり、クルクル回してノリの部分を出そうとした。
当然正規の使用方法であるが、どうやらだいぶ使用していたようで、出てこなかった。
万事休す
絶体絶命
万策尽きた
もはやこれまで...
数え切れないほどのネガティブワードが頭の中を駆け巡った。
だがこんなことで諦めるようでは、この面接には絶対に受からない。
俺はバーミ○ンのバイトリーダーになるんだ!
そう言い聞かせて、右手小指をスティックノリの中に突っ込んだ。
わずかに小指にベタつきを感じた。
日常生活において、小指がベタつくというのは非常に不快極まりないが、この時ばかりは違った。
一筋の光が差し込んだような気持ちだった。
小指のベタつきに感謝した。
指がベタついて感謝したのは後にも先にもこの時だけであるのは言うまでもない。
そのベトついた小指を大きく振りかぶり(脚色)
履歴書サイズに切った写真の裏に擦りつけた。
だが、正直貼り付けるほどのベトつきではなかったようだった。
しかし辛うじて張り付いた。
そしてちょうどのタイミングで店長が来た。
生まれてはじめてのバイトの面接であったが、緊張はしなかった。
なぜか分からないが緊張しなかった。
うまく自分の言いたいことは言えた。
あとは結果を待つだけだ。
その翌日、早くも電話がきた。
不採用だった。
敗因は
・証明写真の切れ端を捨て放置した
・店長が履歴書を持ち上げた時に写真が剥がれ
落ちた
ということだろう。
こうしてバーミヤ○ンのバイトリーダーの夢は潰えたのであった。
続く
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