2023/2/10 米国FOMC、雇用統計、パウエル議長発言、日本日銀次期総裁候補
★ 2月に入って米国、日本とも金融経済界が慌ただしくなっています。
GAFAMの決算も重なり、2023年の今後を占ううえで整理が必要なので、簡単にまとめてみました。
① FOMC 2/1
★ 2/1に開かれたFOMC(連邦公開市場委員会)では、市場予想の通り、0.25%の利上げの結果でした。
インフレについては「やや和らいでいる」との判断。次回の利上げについては「今後の経済指標次第」との見解を述べ、市場は楽観的に判断し米国株価は上昇。
次回の3/21のFOMCまで消費者物価指数と雇用統計が2回ずつある為、サプライズ指標が起きれば、年明けからの楽観ムードが一掃される可能性もありますね。
② 米国雇用統計 2/3
非農業部門雇用者数 +517,000人
失業率 3.4% 平均時給増減 4.4%
★ いきなりサプライズ指標が来ました。
解雇となっても、すぐに転職出来る未だ力強い労働市場です。
雇用者数は市場予想+188,000人に対して、結果+517,000人と
329,000人の上振れ増加です。
12月の失業率もかなりの低水準でしたが、1月はさらに低下するとは誰も予想できなかったのではないでしょうか。53年ぶりの低水準との事です。
この結果が金融引締めの長期継続の判断材料となり、中長期国債利回りは上昇、米国株は売りが優勢になり、S&P500は約1.0%下落、NASDAQは約1.6%下落。
また、発表後、ドル買いが進み、ドル円は128円台から131円台へ。
③ 日銀次期総裁候補 雨宮氏か? 2/6
★ 政府からの正式な発表はまだであり、雨宮氏も打診は受けていないとしています。
長年、黒田総裁とアベノミクスを支えてきた雨宮現副総裁が総裁となれば、「アベノミクス継続路線」との期待が高まり、日経株価の支えとなりそうです。
雨宮氏の事は詳しく知らない為、下記の図だけでの判断はどうかと思いますが、日本株式市場参加者にとっては、金融緩和継続の「ハト派寄り」の人物の総裁就任が大歓迎です。
通常のマクロ経済学で考えれば、経済成長が起こり需要が供給を上回れば、適度な物価上昇が起こります。現在の日本の経済成長率を考えれば図の上部の方のがマッチするでしょう。
現在の米国のように、過熱しすぎた経済を冷ます火消し役なら、図の下の人物がマッチします。
④ FRB パウエル議長発言 2/7
★ 米国雇用統計発表後のFRBパウエル議長の発言、注目を集めました。
1月雇用統計発表前の利上げマップの予測は「残り1回の利上げ」との見方が優勢でありましたが、発表後の今回、パウエル議長は「複数回の利上げが必要」と指摘をしました。
次回の指標も「FRBにとって」芳しくない結果となり、金融引締めの効果がまだ労働市場には見られないと判断されれば、2023年中の利下げシナリオは無くなりそうです。
⑤ まとめ
● 米国労働市場は力強く、残り2回の利上げはほぼ確定となり、ターミナルレートの継続期間は市場参加者の予想より長期化すると思われる。
● 2/14 米国CPI 2/15 米国小売売上高の重要指標発表があり、ほぼ市場予想通りと思われますが、インフレ鈍化の共通認識が崩れるサプライズ指標となれば、パウエル議長の意見変更もありえる。
● 日銀の次期総裁はアベノミクス継承路線とされる、雨宮現副総裁の可能性は高いと思われます。2/10に人事案の発表があるとの事ですが、雨宮氏が岸田総理と自民党内での最大派閥安倍派との落としどころとなりそう。