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白に木漏れ日が落ちる

YUKIFUJISAWAアランセーターお披露目会2023をビジター予約をしたので、パートナーと蒲田の森山邸へ向かった。

指定された住所へ向かうにつれて駅前の喧騒は遠くなり、静かな住宅地に森山邸はあった。

ポストに招待状が投函されているという素敵な演出で始まったお披露目会。最初の展示棟から【素敵!】【可愛い!】という言葉が止まらなかった。最初に目についたのは綺麗な緑色のニット。あまり目にしたことのない緑色で手にとってまじまじと眺めていた。アラン諸島の緑をイメージしたのだと教えて頂いた。

ひんやりとした白壁に手を付きつながらゆっくりと地下室へ。
上映されていた映画でアラン諸島の過酷な環境を知り、アランセーターが地に根付いた人々の知恵で構築されて出来た物だと実感し感動した。

実と美を兼ね備え歴史の積み重ねを持つ衣服を誕生させた現地の人々への尊敬を。時を、海を越え、衣服を楽しみで着る自分まで伝え残してくれた事に感謝を。

森山さんが実際に生活されている三階建ての棟ではアランセーターの試着が出来た。ネイビーのカーディガンを羽織らせて頂く。肩幅が広く胸板もある自分でもたっぷりと取られた毛糸のお陰でゆったりと着用する事が出来た。(セーターはLサイズでもかなり無理があったので断念。)
パートナーは緑のセーターを試着。惚気になってしまうが物凄く似合っていて最高に可愛かった。華奢なパートナーをセーターの緑が護ってくれているような。袖の箔がキラキラとしていて、所々色の違う糸が忍ばせてあるのもとても可愛らしかった。

生活の中で見る衣服の特別感。展示場や店舗に並ぶ衣服も素敵なのだが、森山邸という特別な場所でかつ自分達の地続きにある生活に寄り添われ触れられるセーター達はとても素敵な物だった。衣食住と言葉が並ぶ理由はもしかしたらこういった場面の為にもあるのかも知れないと思った。

1フロア上がる度に素敵な空間にため息が止まらなかった。ボタンの仕掛けや差し込む光と風に心が躍った。そして多分私物のウルトラマンがツボだった。

庭で昼寝をしている3匹の猫。
見上げた窓から見えたセーター。
ソファーに落ちる木漏れ日と影。
西沢立衛の建築。

日々過ごす生活の中で自分を満たしている事柄との関係を見直す機会になった。
今手に出来る物や機会と訣別する気は無いけれど、これから形成する価値観や連れ添う物を選別して生活を作り上げたい。
何十年後に思い出したように、森山邸での経験が始まりだったと言える日は来るだろうか。

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