『魔弾戦記リュウケンドー』あの白組がCGを手掛けた今は珍しい非東映・非円谷特撮番組についての感想 前編

はじめに


 皆さんは『魔弾戦記リュウケンドー』という番組をご存知だろうか? 2006年にテレビ愛知を中心に放送された、今となっては珍しい非東映・円谷制作の特撮番組である。CGを手掛けたのは、あの2024年のアカデミー賞も受賞した『ゴジラ−1.0』の製作陣の白組だ。
 特徴を軽く説明すると、舞台は基本的に「あけぼの町」という架空の町だけ。敵は「ジャマンガ」という魔物組織で、人間の負の感情が生み出す「マイナスエネルギー」を集め、大魔王復活を目論む。そのためあけぼの町民は時にふざけた、時にまともにヤバい魔物たちの攻撃に巻き込まれるように。それに立ち向かうのが「SHOT」という組織と魔弾戦士と呼ばれる戦士達。
魔弾戦士の使用する武器は魔弾龍と呼ばれ、意思疎通が可能な相棒だ。鍵がモチーフとなっており、必殺技やフォームチェンジに鍵を使用する。
 次に、簡単なあらすじについてwikiから引用させてもらう。

日本のどこにでもありそうな町、あけぼの町。しかしこの町はジャマンガという魔物たちに狙われていた。そんなあけぼの町にやって来た新任刑事の鳴神剣二は、早々に商店街で暴れ回るジャマンガの遣い魔たちに襲われる。そこにリュウガンオーがあらわれ、遣い魔を次々と倒していった。剣二は町の人から、警察はあてにならず魔物はSHOTという組織が倒しているということを聞く。その後、強力な魔物が商店街に出現。勢いに任せて魔物に挑みかかる剣二の前に、空中からゲキリュウケンが一筋の光となって飛来。ゲキリュウケンに一時的に意識を支配された剣二は魔弾戦士に変身、魔弾斬りで魔物を打ち倒す。こうして剣二は、魔弾剣士リュウケンドーとして、SHOTと共にジャマンガと戦うことになった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E5%BC%BE%E6%88%A6%E8%A8%98%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BC

全体的な感想

 1クール目は、アクションに関しては第一話等良い回はあるが、どこかスピード感に欠けるというかモッサリした印象を与え、目の肥えた現代人が視聴するのは少々厳しいかもしれない。同年にやっていた仮面ライダーカブトの1クール目とは少々見劣りする(ただ仮面ライダーカブトの1クール目のクロックアップ演出はかなりのクオリティなので相手が悪すぎるが)。また脚本・演出に関しても第8話など良回もあるが、全体的にコメディ色強めかつ制作陣の手癖が強めなので、退屈ではないが、見づらい部分もあった。
 2クール目以降は戦闘の緊張感が増し、アクションもかなり洗練されてきたのでCGと相まってシンプルにカッコよく戦闘シーンだけでも楽しめる回が増えた。またストーリーに関してもコメディとシリアスの緩急が丁度良く、ヒーローらしい熱い回から人情回、緊張感のある回などバリエーション豊かで飽きが来ない。2クール目以降はヒーローもの好きの万人にオススメだ。
特に好きな回は8話、19話、24話、25話、32話、39話、41話、43話

良かった点

デザイン

 魔弾戦士、魔弾龍、獣王(バイク兼超必殺技枠。戦隊モノで例えるならば必殺技の合体武器ポジション的な?)どれもカッコよく、それでいて地味ではない子供番組らしいハッタリの聞いたデザイン。ハッタリとカッコよさのバランスがちょうど良く、魅力的。

キャラクター

 まず第一に町民のキャラが濃い。全52話あけぼの町を舞台にしているからなのか町民の出番が多く、度々登場する脇役から一回きりのゲストキャラまで様々居るが、その多くが印象に残った。変に善良すぎるわけでもなければ、リアリティを意識するあまりに露悪的で性格が悪い連中ではなく、ちょくちょく文句を言いつつもリュウケンドーを頼りにし、町民同士時に協力し、時に揉める。魔物に慣れ、舐めることも多いが大規模な作戦の時は怯える等はヒーローものにおける市民の役割をしっかりと果たしていたと感じる。彼らがふざけているおかげで作品全体が緩く、楽しい雰囲気になるし、逆に彼らがふざけ過ぎないからこそヒーローのカッコ良さや戦闘の緊張感が際立つ。コメディだが、四六時中茶化しているわけではないのが視聴者としてありがたい。
 リュウケンドー、リュウガンオー、リュウジンオーの三人はそれぞれ魅力的だが、一番魅力を感じたのはリュウジンオー。彼は所謂追加戦士枠なのだが、最初は追加戦士にありがちなクールな復讐者で「2000年代とは言えベタで面白みないなぁ」と思っていた。しかし両親の幽霊と再会し誤解が解けた(この回滅茶苦茶良かった)後は段々と絆され、徐々に仲間や町に馴染むように。そして採取的に自分を犠牲にしてでも町を守ろうとするくらい人々に愛着を持つように。ベタな展開とも言えるが、積み重ねが丁寧だったおかげでグッとくる、魅力的な展開と感じた。仮面ライダーアギトのギルスが子供と交流する回が良い例だが、この手のクールで不器用なキャラが子供に絡む回は大体感動する。
 ヒロインたちも魅力的だった。鈴というメインのヒロインは若干2000年代にありがちな暴力ヒロインの要素はあったが、不快感はなく、好感を持てる。ただ、個人的に好きだったのは、幽霊の婦人警官、小町さんだ。細川ふみえ氏が演じる彼女はいい雰囲気を醸し出しており、とても魅力的だった。

脚本

 ドラマの中でも人間関係の部分の脚本は結構丁寧で、いつの時代も起こりがちな「なんでこのキャラがこの行動するんだよ」「いつの間にこいつらこんなに仲良くなったの?」「こいつこんな性格だっけ?」等のツッコミどころが比較的少なく、概ね納得できる展開。

合成 

 CGの合成は必殺技演出から巨大戦までシンプルにかっこよく迫力満点、時代を考えればかなりクオリティーが高いと思う。マイゴジの白組がやっているだけあって、流石である。

最後に

 少々長くなり過ぎたので、気になった点や総評は次の記事で。気になる方は是非とも読んで下さい。





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