PIERROTのライブに行ってきた!

2025年2月8日(土)に有明アリーナで行われたPIERROTのライブに行ってきました。
生まれて初めてのPIERROTのライブ、緊張したけど本当に行けてよかった!

中学生の頃、深夜の音楽番組でインディーズ時代のPIERROTのミュージックビデオを初めて見た時の衝撃
そう、あれは「脳内モルヒネ」でした。
深夜という時間も相まって、不穏極まりない廃墟で演奏している5人のバンドマンとドラマシーンで描かれる3人の狂人たちのコントラストがあまりにも歪ですっかり引き込まれてしまいました。
「死場所」「脳下垂体」「黒い羊」「少しずつ学んでいった笑い方」のような、大衆向けの週間ランキングに入っているようなポップソングでは絶対に絶対に聞くことのない歌詞は、私の中で眠っていた暗く妖しい妄想力を大いに掻き立ててくれました。

まだインターネットもそこまで普及していない時代
情報の頼みはこの深夜番組のみでして、
私は毎週この深夜番組を楽しみにしていました。

90年代後半は、派手で奇抜なヘアメイクをしたヴィジュアル系(V系)と言われるバンドが華開いた時代でした。
その中の一バンドとして異彩を放っていたのがPIERROTだったようです。
私はV系バンドが好きだったわけではなく、PIERROTのみが好きだったのでその時代の状況はあまりよくわかってはおらず、後付けの情報となりますが。

怒涛の勢いで華々しくメジャーデビューが決まり、選ばれたデビューシングル「クリアスカイ」は今までのPIERROTらしからぬキラキラとした明るいポップな曲調で、このギャップにさらに胸が熱くなりました。
(ポップだけどしっかりとディストピアなMVと歌詞が最高)

FC開設と同時に入会したり、新作が出れば予約もして、深夜ラジオもオンタイムで聴いて、雑誌もチェックする
しっかりと「推し活」していた中学生の私
あの時の私はPIERROTが世界の中心といっても過言ではないほどに心酔していたはずです。

ですが、高校生になってからなぜだかPIERROTの存在が私の中ですっかりすり抜けてしまいました。
特に何かきっかけがあって嫌いになったとか、そういう訳ではないのです。
きっと他に興味が移ったのか、私の生活からPIERROTの影がなくなりました。
実家が日本の西にある小さな島で、頻繁にライブなどに通えなかった不遇な環境が一因だったかもしれません。
一枚目のアルバムは買った記憶がありますが、その後の彼らがどのように日本のV系界隈を大いに賑わせ大活躍したのかを、その時代に生きていたのにも関わらず直視できなかったのが今となっては悲しくもあります。

2006年に解散したことすら知らずに、
その後突発的に開催されたライブも多くの動員数を稼いで不動の人気を誇っていたことすら気づかずに過ごしていた2024年11月
渋谷駅で巨大なPIERROTのライブ告知のポスターを偶然にも見かけました。
「PIERROTってあのPIERROT…?」
一気に中学生の頃に戻る私
会場は有明アリーナ、2025年2月に開催
信じられない気持ちで検索して、大好きだったあの彼らがライブをやってくれるという現実に懐かしさと嬉しさが一気に押し寄せました。

チケットを確保して、ライブまでの3ヶ月
失われた時を埋めるかのようにPIERROTのライブ映像や音楽を見たり聴いたり、
キリトがディズニーランドに行ったり、カレーライスを作ったりしている映像も見たりして、懐かしさと同時にこんなにメンバーを身近に感じられるようになった時代の移り変わりに大いに驚かせられました。(タイムスリップしてきた人の感想)

2000年代の曲は本当に全然知らなくて、しっかり予習をするつもりだったのに聞く曲はインディーズの頃の曲ばかり。
「脳内モルヒネ」「トリカゴ」「Adolf」「鬼と桜」・・・
今聞いてもまったく色褪せずにかっこよくて、
ライブで生で聴ける日が来るなんて夢にも思えませんでした。

いよいよライブ当日
PIERROTグッズなんて持ってないしコスもできないけど、
いちおう張り切って謎にカラコンは入れて行きました!
有明アリーナ最寄駅の新豊洲駅は、どことなく黒っぽい服装の人が多くてPIERROTファンであることがわかるという謎の連帯感
会場内にはPIERROTのメンバーがかっこよく写ったサイネージが展示されて、中学生の頃に憧れていた彼らと同じ空間にいる事に感動が募ってきました。
それにしても、彼ら全然年を取っていない・・・
おそらく50代?に近いか、その年代に突入しているはずと思われるのに、
私が覚えている彼らの見た目と遜色ないの魔法すぎる・・・
いやむしろキリトのピエロメイクが洗練されていて余計にかっこよくなっている。
私の知らない世界で彼らは着実に実力と人気と名声を築いていったんだと思うと、親戚でも友達でもないのに感慨深さも押し寄せてきます。

私はすごい人たちを好きになったんだな

15000人収容の会場は想像以上に広くて、
解散から何年も経っているバンドのライブが行われる会場とは思えないほど
どう見ても現役で活躍している大人気のバンドのライブ会場です。
開場前の会場って好きです。
待っている間の期待と楽しみの高揚感。
それに加えて、私にとっては遠い昔に憧れていたという懐かしさと、勝手に作り上げた理想像が崩れるかもしれないという危うさ。
その複雑な感情が絡み合った17時
ほぼ時間通りにライブが始まりました。

幸運にもステージの真正面のブロックの席から鑑賞することができ、
ライブ中はその全貌をくまなく見つめることができました。
(と言っても最後尾なので、かなり小さくね)
ステージに上がってきたメンバー、
あぁ全員名前覚えている・・・
半年前の仕事の内容なんてすっかりきれいに忘れるのに、
20年以上も前に大好きだったバンドのメンバーの名前はしっかり覚えていることに切ない感動を覚えました。

圧倒的なビジュの良さの潤
クールでスマートなアイジ
ミステリアスな魅力のタケオ
寡黙で頼り甲斐のありそうなコータ
そして・・・
唯一無二のオーラを放つキリト

中学生の頃は潤が大好きだったのですが、
やっぱりキリトの存在は偉大です。
キリトの作り上げる暗黒だけど純粋な歌詞の世界、繊細な声
大人になった今となっては、その見た目もかわいらしく思えるのです。

ステージにキリトの姿を確認すると、会場はものすごい大歓声
黒いフードを目深にかぶったキリトの放つ存在感
長年のブランクなどなかったかのようにする統率力
これこそキリトだしPIERROTだ!

私の人生で忘れることはない「脳内モルヒネ」が2曲目に演奏されました。
若干声が掠れて心配になることがありましたが、繊細なハイトーンの歌声は20年前とまったく変わらず、私の中にかつていた中学生の自分を一気に呼び戻してくれました。
繰り広げられる振り付けは何か秘密結社のような危険な一体感を感じ、
懐かしいヘドバンをする観客たち
知らない曲も数多くありましたが、PIERROTのライブを満喫できました。

それと同時に、彼らに熱狂していた私がかつていたという事実に、新鮮な驚きを感じたのも事実です。
何も実績のない私だけど、何十年も生きていく上で色々な知識、関心を得て、今こうしてこのライブを見て感じたことは、中学生の時と物質的には同じ人間であるけれど改めて別人なのだなということでした。
私だけど私ではない
年齢を重ねていく上で趣味嗜好が変わるのは当然だと理解はできているつもりでしたが、実感はありませんでした。
自分は、いつでもあの頃に戻れると思っていたはずでしたが、
中学生の頃に戻ったのではなく、中学生の頃の自分を呼び起こして、一緒に並んで見ているような感覚でした。
あの当時、もしPIERROTのライブに来れた自分がいたらきっと大喜びをしていただろうな、と冷静に客観視している私でした。

中学生の頃の私を癒してあげられたこと
そしてあの頃には精神的にさえも戻ることは決してできないこと
ぶれないままかっこいい彼らを好きになった自分がいたこと
嬉しさと切なさと誇りを同時に感じた瞬間でした。

アンコールでの演奏も終わり、
煌びやかな金テープが打ち上げられたキラキラの会場の中、
ステージから去っていくPIERROTのメンバーを見つめながら
私は自分の中で一つ何か完結させた気がしました。

5月にも横浜でライブをするそうです。
これからもずっとかっこよく活躍していってほしい。
私はもうライブに行く事はないですが、これからも時折PIERROTの曲は聴いていくでしょう。
PIERROTを好きになって本当によかった。










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