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手を伸ばしても届かない距離感

困っている人を見かけたら助け合いましょう、なんて道徳で習った気がする。基本的にわたしは優しさ・道徳心に欠けた人間で、自分が良ければまぁいいかと思ってしまうクソ人間タイプ。未来の子供たちのために環境を守ろう!みたいなキャンペーンなんかには「そんな未来のことなんて知らないよ(どうせ利権が絡んでるんだろ?)」と白い目を向けてしまう程には。どう考えたってストローはプラスチックがいいし、レジ袋はあった方がいい。今の自分を犠牲にしてまで、どれだけ長生きしても辿り着かない未来のことなんて考えてられるか。


先日ひとりで大阪の地下街を歩いていた時のこと。
一定の人の流れの中でひとり狼狽えている白杖を持った男性。困った顔でスマホを耳にあてて道を確認しているその脇を、何事もないようにすり抜けるその他大勢。わたしのクソ人間的白い目は、白杖の男性を「見えるけど見えない」ように扱っている状況の歪さに向けられていた。見えてないのはどっちなんだよ?これだけ人がいて全員スルーとはすごいな?他人としゃべるの大好きな関西人のプライドどこいった?

とはいえ、見て見ぬ振りしてしまう人間が正解なパターンもある昨今の日本社会。良かれと思って声を掛けたら変質者だったり、実は当たり屋的なヤバいやつ(お前のせいで怪我した!みたいな難癖付けられる)だったりもすると聞いたことがある。ここがもし人の気配がない路地だったら、私も我関せずスタイルを貫くと思う。

そんなことを考えながら、手の届かない距離をキープして男性に声をかけた。もし変質者でも大丈夫なように。もし不審者でも逃げられるように。万が一何かあったらその他大勢が助けてくれるだろうと。いや、見て見ぬ振りされるかも。わたしが白杖の男性に「距離感」を要するように、周りの人だってそれが必要なんだ……、わたしが難癖野郎じゃない保証なんてどこにもない。

そこまで思考を巡らせたけど、結局その人は本当にただ道に迷っているだけの視覚障害者だった。普通に感謝されて終わった。シンプルによかった。

……良かったんだけど、歩きながらいろんな距離感について考えてしまってものすごく落ち込んだ。世知辛い。後味悪い映画見たあとみたいな気分。そして文章もまとまらない(笑)この辺でやめておく。


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