中国の海洋進出について考える。基礎

中国による海洋進出について
外国との対外的法律行使が多い海上保安庁にスポットを当てて考えてみる。
海上保安庁の活動範囲は、もちろん海上であるが、海なら大西洋でもカリブ海でも法的行使が可能なわけではない。
これは、国連海洋法条約により、海上の範囲を5つに分類し、さらに具体的な執行措置についてもその範囲毎に定めている。
その5つとは次のものである。
1 内水
2 領海
3 接続水域
4 排他的経済水域
5 公海
である。
これらを説明していく。
内水とは領海基線の内側にある全ての海域である。
領海基線とは、ガタガタの陸地では線が引きづらいため、ある程度真っ直ぐ引いた線だ。つまり岬の突端を領海基線とした場合、その内側が内水となる。
内水においては、領土と同じ完全な領域主権を持つ。
そのため、基本的に無害通航権もない。
領海は、領海基線から12海里の範囲である。
ここは、基本的に沿岸国の主権が及ぶものの無害通航権がある。
接続水域は、領海基線から24海里を越えない範囲で領海に接続する海域。
これは、領海外であることから基本的な沿岸国の管轄権は及ばないが、
いきなり領海から取り締まりますでは、対応しきれない準備範囲として
自国の領土もしくは領海において行われた通関、財政、出入国管理、衛生の法令違反については、防止、処罰に必要な処置を講じることができる。これらの法令による強制力の行使も可能である。
排他的経済水域は、領海基線から200海里を越えない範囲であり、領海外であるため、沿岸国の主権は及ばない。
しかし、ここでは経済水域というくらいなので、
天然資源の探査や開発の他に、海洋環境の保護保全に関する主権的権利や管轄権は有している。
この特定の権利において、強制力の行使も可能である。
公海は、上記のいずれでもない海域のことをいい、全ての国に解放されます。
さて、ここまで5つの海域について、説明しましたが、それぞれ丸暗記は難しいので、理由をつけて覚えましょう。
まず、内水ですが、
特に日本においては、リアス式海岸などギザギザの海岸線が多くそこから点と点を繋ぐように領海12海里を計測するのは不可能です。
そこが本当に領海かどうかはわかりません。
そのため、領海基線というのをつくりました。
すると岬の突端と岬の突端を結んだ線になり、その内側に何らかの海域と名付ける必要が生まれました。
それが内水です。
補足ですが、領海基線は海岸の低潮時をもって決定されます。それはできる限り領海を広げるための工夫です。
そして領海基線から12海里がニュースなどでよく聞く領海侵入などの領海です。
12海里とは22キロ程度です。
さらに12ー24海里で接続水域でもあります。
これは、領海などで行われた犯罪を取り締まる際、すぐ12海里から出たら、セーフじゃ取り締まりも困難なため、接続水域を設け、
領土、領海で行われた通関、財政、出入国管理、衛生に関する法律違反については、ここまで追いかけて逮捕できますという海域です。
そこと被るかのように12ー200海里まで排他的経済水域が定められています。
ここには漁業や環境に関する権利を有しています。
なぜなら海は繋がっていますね。領海までしか漁業の権利や環境の権利を認めていないと、じゃあ領海基線から13海里のとこで、環境破壊に繋がる開発をやられちゃうと領海がすぐ環境汚染されてしまうことになってしまいます。
そのため、領海を侵されないマージンをとるために200海里が設定されています。
そして200海里から外が公海で誰の権利も及ばないところです。
ただ例外的に、特別な条約や旗国主義による管轄は行使し得ます。
これが海域における法律の範囲です。
これと同時に覚えて欲しいのは、対象における法律の範囲です。
簡単に分けると、日本船舶と外国船舶です。
日本船舶にあっては、旗国主義の観点から、どこであっても、国内法の認める範囲の強制力の行使が可能です。
次に外国船舶ですが、これはさらに2つに分かれます。
外国軍艦又は外国政府の公船

それ以外の外国船舶です。
まず、外国軍艦又は外国政府の公船は、いずれの海域であっても、いずれの国の管轄権からも免除されるため、海上保安官等はこれらの船舶に対し強制力の行使を行うことはできません。
それだけでなく、立入検査は任意であるが、立入検査の実施規則に
外国軍艦及び外国政府の用にのみ供せられる船舶(商業目的使用を除く)に対しては立入検査をしてはならないとある。
つまり実質、任意であっても実力行使を行なってはならないと解する。
中国による海洋進出の一部として尖閣諸島の領海に入域してくるのは、外国政府の用にのみ供せられる船舶である。
これから、いかなる強制措置もとることはできない。
さらに先程、述べた通り、領海には無害通航権があり、国内においてもこれを持ち出すものもいるが、無害通航権であるならば、真っ直ぐ目的地に航行しなければならず、徘徊や漂泊を繰り返す行為は無害通航権には該当しない。
まぁ中国にあっては自国の領土と主張しているわけなので、無害通航権も関係ないですが。。。

今後、対応する難しさが法律や条約のどこにあるかを話していきたいと思います。

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