カルグクス
憂鬱な月曜日。
やっと仕事が終わって、
だるい身体を引きずりながら電車に乗った。
身体は私の憂鬱さと、何に対して抱いてるかわからない謎の怒りとやるせなさで重いんだろう。
だるさはあるけど、
読みたい本はあるし、
スキンケアも買い替えたい。
長い長い東京を東西に通る電車で都会に向かうのが、私の退勤ルートだ。
今日は寄り道をして、両手いっぱい買おう。
仕事を始めて約1年間で寄り道をしたのは、
片手で足りる程度。
電車を降りて、雲の巣のように張り巡らせてる地下道を通って本屋に入った。
買うものは決まってる。でもワクワクした。
駅中にある小さい本屋には置かれていない専門書。
そして、韓国の翻訳本。
緑色のカゴを片手に、次々に入れてレジに運んだ。
紙袋を重ねてもらって、受け取った。
このまま、ご飯を食べようと思いついた。
歌舞伎町でうるさいキャッチに声をかけられながら、
私のBluetoothは自分を愛そう、心の中にmagic shopがあると流す。
風が冷たくて、心細い。
でもこの天気はなんだか好きな韓国で、
高速ターミナルの駅から漢江に行った時に似てた。
新世界百貨店の前でタクシーが捕まらなくて、
結婚式の後のご飯会に間に合わなさそうなあの時にも。
深夜の明洞のど真ん中で妹と大笑いしていた時にも似てた。
忘れかけてた過去のほんの一瞬を思い出して幸せを感じた。
熱々のカルグクスを口に運ぶ。
幸せだ。