山口メンバーよ。精神科医より告ぐ。
退院当日に飲酒をするのは他のアルコール依存症患者でもよくある話だが、依存症の一症状である。
アルコール依存病棟で入院を行い、アルコールを絶とうと努力していたところでこのような事件が起きたのは残念だ。
しかし長期的に何かを続けることは本当に難しい。
彼をただ攻めるのではなく、そのためにどの様な努力と周りからのサポートがあればよかったのだろうかを考えたい。
①強制的に断酒させるというやり方。
アルコール依存症の場合は閉鎖病棟で入院をし、自由に飲酒が出来ない状態になることをさす。だいたい3か月入院をし、そこでまず1か月かけて体からアルコールを抜き、のこり2ヶ月でアルコールについての知識を深めたり退院後の生活の計画をスタッフと共にたてる。
これはある程度有効だ。しかしそれには常に行えるものではなかったり好ましくない場合もある。そして退院後3か月以内の再飲酒が非常に多い。
②いつまでにやめるか自分で決めさせて宣言する。
普段のアルコール依存症の外来では、昨日は飲んじゃいましたーとか、いやーやめようとはおもってるんだけどねーなど、のんびりとした雰囲気の外来が続いていく。。飲んじゃだめですよ!などとは言わない。
そんな中でも口酸っぱくならないように気をつけながら、
飲酒についてのメリットとデメリット、断酒についてのメリットとデメリットを確認しあい、自分で飲んだほうがいいのか飲まないほうがいいのかを決めてもらう。
そしてある日の外来で、
先生、俺決めました。夏までに酒やめます!!
と晴れやかに宣言する。そうしたらしめたものだが、それでもしかし
やっぱり飲んでしまいました、、
と次の外来で告白される。。
でもそれを非難することなく、
よく正直に話してくれましたね。
などとのんびりとお話しをする(また頑張ろうっと。。。)。
しかしこれでハマって、何年も断酒を継続することができる人もいる。
③仲間で励まし合う。
自助グループというのをご存知だろうか。お互いにアルコールや薬物などの依存の問題を抱える人達があつまり、ミーティングをする。お互いの依存性歴について語り、知識を深め、支え合う。そうすることで再飲酒を防いでいくのだ。
報道を聞くまで知らなかった。
他のメンバーには自身の症状のことを十分に打ち明けられていなかったのではないだろうか。親しい人に責められるというのは本人にとっては恐ろしいことで、なかなか周りの人に打ち明けられないことも多い。なのでこの自助グループに参加することが必要だ。
しかし有名人ゆえ、なかなかそのようなグループに参加することはむずかしかったのではないだろうか。
結論としては
①があっても②と③が組み合わされなければ再飲酒の可能性は極めて高い。
メンバーはその有名さからグループに参加することも外来に通院することもなかなか難しかったのではないだろうか。
私は今アルコール依存症をサポートするためのアプリを立ち上げようと画策している。
①オンラインで
②仲間とであえて
③目標を決め合ったり励まし合ったり
④医師と相談もできる
そんなサービスを企画中だ。早く多くの人の手に届けばいいのだが。。。