5分で読む「宇宙・天文」ニュース(~12/04)
日本の宇宙開発は現在、成功と課題が交錯する重要な局面を迎えている。基幹ロケット開発での連続的な問題発生がある一方で、有人宇宙活動では着実な進展を見せている。
イプシロンSロケットの開発において、深刻な後退が生じた。26日に種子島宇宙センターで実施された2段目モーターの燃焼試験で爆発が発生。これは昨年7月の能代ロケット実験場での事故に続く2度目の失敗となる。昨年の事故では高温で溶けた部品がモーター内に入り込んで推進薬が着火したことが原因とされ、今回は断熱材による対策を施していたにもかかわらず、再び問題が発生した。この事態により、今年度中に予定されていた打ち上げは事実上不可能となった。
一方、有人宇宙飛行の分野では、大西卓哉宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)への2度目の長期滞在が来年2月に予定されている。大西飛行士は今回のミッションについて、前回と比べてより落ち着いた心境で準備に臨んでいることを明かしている。特に、新型宇宙船「クルードラゴン」での飛行や、アップグレードされたISSでの活動に期待を示している。
さらに、宇宙開発の裾野を広げる取り組みも進んでいる。JAXAなどの研究機関がSTEAM教育向けの教材開発を行い、次世代の科学技術人材の育成に力を入れ始めている。これは単なる社会貢献にとどまらず、将来の宇宙開発を支える人材育成という戦略的な意味合いも持っている。
一方で、現在活発化している太陽フレア活動は地球への影響が懸念されている。この現象は地球規模でのオーロラ観測をもたらす一方で、人工衛星や通信システムへの潜在的なリスクも指摘されている。
これらの状況は、日本の宇宙開発が直面している多面的な課題を浮き彫りにしている。ロケット開発における信頼性の確保、有人宇宙活動の着実な実施、次世代育成、そして宇宙環境の変化への対応など、複数の課題に同時に取り組むことが求められている。特に基幹ロケットの開発における連続的な問題は、日本の宇宙輸送能力の信頼性に関わる重要な課題として、早急な原因究明と対策が必要とされている。
終わり
以下、引用
【鷹の爪解説】オーロラだけじゃない? 活発な太陽フレアの影響は:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASSCQ22W6SCQDIFI013M.html
イプシロンSが燃焼試験で爆発か JAXA基幹ロケット、昨年も事故:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASSCV01PBSCVULBH009M.html
イプシロンS燃焼試験で2回連続の爆発 識者「H3への影響も心配」:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASSCV129QSCVULBH004M.html
大西宇宙飛行士、2度目のISS滞在前に抱負「これが最後、集大成」:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASSCW2GJNSCWULBH00CM.html
「いきなり大きな目標ではなく…」 JAXA大西飛行士が語る仕事論:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASSCX34BBSCXULBH003M.html