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方角を特定する方法(11/5)

気づきのきっかけ

「方角がわからない」
最小限の情報で方角を特定する方法は?

意外と、常に別解は存在する

都会の雑踏で立ち止まり、方角を探ろうとした時の観察から始めることにする。

スマートフォンもない。コンパスもない。そんな状況で、まず目についたのは街路樹のイチョウだった。幹の南側に苔が生えているのを発見する。日光の当たる量が北側と南側で異なることを利用すれば、おおよその南北が特定できる。とはいえ、ビルの谷間では日照条件が複雑で、正確性は6割程度だろう。

空を見上げると、通勤ラッシュの午前8時頃。太陽は真東から30度ほど上がった位置にある。太陽の動きを思い出してみる。日の出は夏至で午前4時30分頃、冬至で午前6時45分頃。今は10月末なので、午前6時頃の日の出と考えられる。つまり、太陽の位置から2時間ほど経過していることがわかり、東の方角がつかめる。この方法は曇りでなければ、9割以上の確度で方角を知ることができる。

東京に関して。東京23区内の電柱では、数字の後ろに方角を示すアルファベットが記されている。「N」は北から南、「E」は東から西への順序を示している。この知識があれば、電柱を見つけた時点で方角を特定できる確率は8割に達する。

テレビアンテナも重要な手がかりとなる。日本では、テレビ塔が都市部に設置されており、アンテナはその方向を向いている。東京なら東京スカイツリー、大阪なら生駒山の方角だ。地域の電波塔の位置を知っていれば、アンテナの向きから方角を7割程度の精度で推測できる。

街の中で見落としがちなのは、寺院の建築様式だ。本堂は一般的に南もしくは東南に向いて建てられている。これは釈迦が東に向かって悟りを開いたという伝説に基づいている。寺を見つけた時、この特徴を知っていれば、5割程度の確度で方角を把握することが可能となる。

植物の特徴も見逃せない。日本のお墓では、シダレザクラがよく植えられているが、これは日当たりを好む性質から、南向きに枝を多く伸ばす傾向がある。この性質を利用すれば、4割程度の確率で南北の見当をつけることができる。

夜間の場合は、北極星を探すことが最も確実な方法となる。北斗七星のひしゃくの縁にある2つの星を結ぶ線を5倍に延長した先に、北極星がある。ただし、光害の強い都市部では星が見えにくく、成功率は3割程度に留まる。

風の流れも無視できない指標である。日本の冬は北西からの季節風が卓越する。この知識は、心もとない精度ではあるが、他の手がかりと組み合わせることで方角を絞り込む補助となる。ただし、ビル風の影響を受ける都市部での精度は2割程度と考えておくべきだ。

これらの方法を組み合わせることで、精度は大きく向上する。3つ以上の指標が一致する方角は、8割以上の確率で正しい方角を示している。自然観察と人工物の特徴を総合的に活用することで、最小限の道具でも方角を特定することが可能となる。

P.S

無理やり結論や答えを生み出す必要はない。常に世界は理解の余地を持っているから。

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