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【5分/解説/時事】グーグルに排除措置命令へ 公取委 米巨大IT企業へは初

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【一言で何が起きたか】

グーグルがスマートフォンメーカーに対して自社アプリを優遇させる契約を行い、競合他社を排除する独占禁止法違反が疑われ、公正取引委員会が排除措置命令を出す方針を固めた。


【現状の整理】

日本の公正取引委員会(公取委)は、グーグルがスマートフォンメーカーに対し、自社のアプリ「Google Chrome」や「Google Play」を端末に優先的に搭載させる契約を行い、競合する検索アプリを排除した疑いで調査を進めていた。2023年10月に始まった審査では、以下の行為が問題視された:

  • 自社アプリを特定の位置に配置する条件でアプリストアの使用を許可。

  • 他社の検索アプリを搭載しないことを条件に、広告収益を分配する取引。

これにより、グーグルが2020年以降、競合他社を不当に排除して自社を優遇し、取引先の事業活動を制限したとして、公取委は排除措置命令を出す方針を固めた。処分の最終決定にあたり、会社側の意見聴取が行われる予定である。


【原因の解説】

グーグルのような大規模なIT企業は、プラットフォームビジネスを通じて市場で強い影響力を持つ。特に「Google Play」などのアプリストアは、スマートフォン利用者にとって欠かせないサービスであるため、メーカー側もこれを導入せざるを得ない状況に置かれる。

公取委は、こうした市場の支配的地位を利用して競争を妨害する行為が独占禁止法に違反すると判断したとみられる。同様の問題は、過去にアメリカやヨーロッパでも議論されており、欧州連合(EU)は2022年、デジタル市場法(DMA)を施行し、プラットフォーム企業の競争制限的行為を規制する枠組みを整備している。


【展望】

日本で公取委がグーグルに排除措置命令を出すのは初めてのケースであり、これがGAFAMと呼ばれる巨大IT企業への規制強化の先駆けとなる可能性がある。
以下の影響が予想される:

  1. グーグルへの影響
    グーグルは今後、日本市場における事業方針の見直しを迫られる可能性がある。また、他国でも同様の問題が指摘される恐れがある。

  2. 業界全体への影響
    他の巨大IT企業(Amazon、Meta、Appleなど)にも同様の監視が強まる可能性がある。これにより、IT業界全体が規制強化の流れに直面する。

  3. 消費者や開発者への波及
    競争環境の改善により、ユーザーは多様なアプリやサービスを利用できる可能性が広がる。一方で、規制によるコスト増加が製品やサービス価格に転嫁されるリスクもある。


【結論】

公取委によるグーグルへの排除措置命令は、日本における巨大IT企業規制の重要な一歩である。同時に、競争環境の整備が市場全体の健全性を向上させる契機となる可能性がある。今後、グーグルの対応や規制の具体的な内容に注目が集まる。

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