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【5分/解説/時事】変わるコンビニ 追い求める次の便利さ

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【一言で何が起きたか】
「身近で便利」なコンビニが、物価高や消費者の慎重な購買姿勢に直面し、新たなビジネスモデル開拓を迫られている。通販需要の高まりや高齢化による買い物困難者の増加、さらにはライバル業態との競争激化を背景に、各社は自動配達ロボットの活用や地方進出、新業態店舗づくりといった多面的な戦略で「次の便利さ」を追求している。

【現状の整理】
コンビニは、日本での展開から約半世紀が経過する中、「24時間営業」「都市部での集中出店」などで市場を牽引してきた。しかし近年は、スーパーやドラッグストアなど他業態による価格・品揃え競争、そしてインターネット通販へのシフトが顕著。加えて、消費者心理は物価高でシビアになり、従来の成長路線が行き詰まりを見せている。

こうした中、セブンーイレブンは配達事業を拡大中。1000円以上の注文+配達料がかかるにも関わらず、利用者単価は店頭客の3倍に達する。2030年代初頭にはこれを収益の柱へ育てたい考えだが、物流や人手不足が課題となる。そこで自動配達ロボットに着目し、買い物困難地域での「ラストワンマイル」解消を目指している。

一方、ローソンは過疎化が進む地方に商機を見いだす。スーパーが撤退したエリアでも、品数を絞り小規模・少人数運営で利益を確保できるコンビニ形態なら成り立つ可能性が高い。独自のデータで高齢化や自動車保有率を分析し、集客を狙う。こうした戦略により住民への「大きな冷蔵庫」としての機能を担いながら、地方で新たな需要を獲得している。

さらにファミリーマートは、コロナ禍で利用が低迷したイートインスペースを大胆に転換。衣料品や日用品など、従来より幅広い商品を置くことで、来店客が「ついで買い」できる環境を整える。また、コンテナを設置して売り場拡張を図り、価格競争だけではない「価値」を顧客に届ける狙いだ。

【原因の解説】
これらの取り組みの背景には、Eコマースの拡大や高齢化による買い物難民問題の深刻化がある。「価格競争にのみ頼らず、生活利便性の提供で顧客満足度を高める」という発想が求められている。消費者も単純な安さ以上に、距離的・時間的な利便性や品揃えの多様性といった「プラスアルファの価値」を求めている。

【展望】
今後、コンビニ各社はこれまでにない戦略的転換を迫られ続ける可能性が高い。自動ロボット配達の実用化が進めば、店舗のあり方自体が変わるかもしれない。また、地方での綿密なデータ分析に基づく新規出店は、地域社会との共存を図る試金石となる。さらに、イートインスペースの改装や売り場拡張など、既存店舗の再定義によって新しい収益源を開拓する動きが進む。

価格以外の付加価値を求める消費者に応え、時代の変化に柔軟に対応できるか。コンビニは再び進化の岐路に立っている。各社の動向は、消費行動や地域コミュニティのあり方をも左右する重要なトレンドとして注目される。

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