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”企業の空き家”問題
人手不足が言われて久しい。人口推計によれば、少子化が進行すると、2023年に109万人の18歳人口が、2035年には97万人に減少することが推計されています。また、出生数は72万人まで減少しています。
一方、高齢者の数は漸増し、生活関連サービスのニーズも漸増するため、このニーズを満たすだけの労働力が調達できず、労働力供給が不足するという問題が話題になっています。リクルートワークス研究所の調査では、2040年には、この不足が1100万人に達するという。
この不足の状況は、出生率の向上や、外国人雇用の増加、業務効率化等の手段を尽くして対応できる限度を超えている。というのも、不足1100万人に対して、毎年の出生数は70万人台、外国人労働者は、約200万人、この数値のギャップを埋めるには、業務効率化を激しく進めたとして、不足を半減させたとしても500万人の不足。これを補うためには、外国人労働を3倍増、出生数を倍増させる程度の劇的な変化がなければ、ギャップを埋めるのは困難という水準
この不足の状態は、企業組織にはどのような影響を与えるのか?
既に採用は困難になっている。
この先どうなるのか?
一つの可能性として考えられるのは、ヒト・モノ・カネと言われた経営の要素のうち、ヒトの要素が初めに枯渇することが想定される。
若年者の人口が減少する中、若い社員を採用することが、特に年々難しくなる。他方で、シニアは元気に働き続けるヒトが増加し、結果として社員兵員年齢が増加。
更に、年を重ねるにつれて、例えば、30代、20代の社員が不在で、40代以上の人員で会社運営を行う状態が続き、更にそれが続けば、40代も居なくなり、60代以上だけからなるメンバーに。
これは、不動産における、実家の空き家問題のような問題になりかねない。
顧客や商品サービスは健在でも、それを担う人材が枯渇し、結果として商品サービスが供給できなくなる状態である。
空き家問題は、現在解決策を見出しにくい、難度の高い社会問題になっている。
企業における、人手不足問題についても、このような空き家問題なる前に、対応が必要だ。組織人材の多様化や業務の生産性向上など、時間はかかるが今から取り組むべき課題だ。