ハグ
面倒 of 家事第2位 洗濯。
自動化されて久しいとはいえ、まだめんどい。
その面倒をこなしてくれる我が家の相棒は内容量が驚異の3.3キロ。パーカーを洗おうものなら、それだけで脱水が満足に行われなくなる。
じゃあ大きいサイズに買い替えろと言われるかもしれない。
しかし浴槽置きが異常に狭いため、4隅にレンガを置いて浮かせてやっと置けるのがこのサイズ。
これはこれで強制的に回さなければ衣類がとっ散らかるので、私にとってはいいかも知らない。
そんな矢先、その相棒がガオォンズンズンズンズンと地団太を踏み始めた。
何事かと見てみると、レンガの一端が外れ、バランスを失っていた。けたたましい振動に苦情が来たらどうしようかと慌てて一時停止ボタンを押す。
レンガを差し直し再びスイッチを入れると、再びずれてガオガオンと叫び始めた。どうやら洗濯にかけたシーツと相性が悪いらしい。
たっぷりと水を吸ったシーツは重いまま脱水の遠心力に従い、内側からかわいいサイズの相棒に責め苦を浴びせていたのである。
そこで私は洗濯機を抱きかかえ、ともに脱水を乗り越えることにした。手を横に回し、足腰を近づけ踏ん張る。
そして三度スイッチを押すと、シーツが暴れ出す。そのパワーを抑え込むには上半身の力だけでは足りず、体全体で支えるように密着させる。
すると洗濯機のひんやりとした質感が案外心地よく、気持ちがよかった。
ここの所、どこか寂しさを感じていた。きっとそのせいもあるだろう。
独り身が過ぎると、洗濯機にも愛着が湧くのかと思いつつ、じっと振動に耐える。
そのうちピーっという音と共にロックが解除された。
なにか一つ事を成し遂げたようで気分が良かった。中でくしゃくしゃになっていたシーツを干し、スッキリした洗濯槽を見つめる。
ひんやりとした相棒とこれからも一緒にやっていこうと思った夜でした。