13年目の劇映画
最初に松重豊さんを認識したのはNHK朝のドラマ「ちりとてちん」で主人公のお父さんを演じられている時であった。塗り箸の職人で当然の様に職人気質、良い箸を作るためにストイックさに取り組む真剣さ。家族を愛する気持ちを上手く演じられている俳優さんだと思いました。妻役の和久井映見さん、娘役の主人公の貫地谷しほりさん(しほりっていいですよねー)はじめ他のキャストさんも良かった。
DVD-BOXも買い。小浜にも行ってきてへしこ食べて塗り箸も買いました。
同い年くらいの映画「しゃべれども しゃべれども」でも確か悪い役では無かった記憶なので松重豊さんにはちりとてちんのお父ちゃんの役のイメージが大きく悪い人のイメージは無かったです。
で、漫画「孤独のグルメ」がドラマ化する。松重豊さんで!
漫画は緻密な作風で知られる「谷口ジロー」が書いているのだけれど、その井之頭五郎と(松重)井之頭五郎の姿は違うものだったので、正直どうなんだろうと思って初回を観た。
そこには紛れもない井之頭五郎がいて、そこで美味しいものを無言で食べていた。
ドラマは好評を博し、何年も作品は続き、年末のSPは恒例行事になり
2024年の大晦日にかけて、延々と再放送を続けまくると言うとんでもない大型コンテンツになっていっていた。
その度松重豊さんが苦言を呈する。
「このドラマの企画を最初にいただいた時、『誰が見るんだろう?』って思いましたよ」
「おっさんが淡々と飯を食っているだけのドラマ」
「もう5年、この『孤独のグルメ』で五郎を演じているのですが、なんでこのタイミングで記者会見をやらされるのか……まったくもって疑問です」
「ただオッサンが淡々と飯食っているだけで、その後にちょっとモノローグが入って出来上がったドラマを、テレビの前の皆さんはどう思うのか正直わからなかった。Season6を撮っている今も、わかってない(笑)」
「はたして、視聴者っていうお客さんがつくかどうか本当に分からないし、たぶん、僕の中でも、プロフィールの汚点になるだろうなって思って(いた)」
「視聴率も頭打ちなので、この際閉店商法で『孤独のグルメ season final 究極の晩餐』にしたらと提案しましたが却下されました」
「行った覚えのない飲食店に、私のサインが置いてあった」
「この番組を断食中の僧侶が観ているそうです」
「年末年始の数日間、テレ東はこの番組の再放送ばかり流しています。最も劣化が進んだ井之頭五郎を見られるのはこの大晦日スペシャルだけです。」
と、最終的に映画化となり監督、脚本、主演の全てをやる事になり、
「コレで大爆死してオレは辞める」とも。
なお、主題歌を下北沢の街中華の名店「眠亭」の同期でアルバイトに入った旧友の甲本ヒロトさん率いる「ザ・クロマニヨンズ」にお願いしていました。(名曲!)
確かにテレビをそのままスケールアップしても映画にはならないし…正直心配だった。が、最初のシーズンから観続けてきた者として見届けねばなるまいと言う気持ちで映画館に進みながらも「あぁ、本当に客誰もいなかったらどうしよう」とドキドキしつつ。
平日というのも有りお客さんはそこそこ。
始まって、機内食あるあるー、オニオンスープ美味しそう!ビーフも美味しそう!
からストーリーは始まり、スープの素材を求めてパリから八重山諸島、韓国を廻って
日本へ。ここら辺のストーリーや伏線張りも良い。最終的には日本でスープを作るくだりがあるのだけれど、オマージュとメタフィクションが上手く繋がっていて、「お、ここは?」とニヤリとさせられる。
上映中、所々の笑いどころで笑い声が沸いている素敵な作品でした。コレで2025年の年末はコレを放送するんだろうなテレビ東京。
内田有紀さんがとても美しく撮られていて良いです。、後韓国の審査官の演技も見どころです。
映画を観終えてパンフレットを開いて松重さんのインタビュー読んだら
もう「孤独のグルメ」と言う作品への愛が溢れるインタビューで「もー松重さーん」
となります。他のスタッフも松重さんと作品をに対する愛が溢れていました。
松重さん、13年もワタシを騙して来てくれてありがとうございました。
しかしまぁ、この時間まで原稿書いたら、腹が、減った。