TBSって不動産会社? それとも...
大企業ともなると子会社や孫会社を多数抱えていて、乃木坂46の運営会社と「マツコの知らない世界」の制作会社の親会社は同じだったという話を以前にしましたよね。
この記事が意外に読まれたので今回はTBSを取り上げます。
いつものように直近の決算説明会の資料から見てみましょう。
不動産セグメントが稼ぎ頭
最初からすごいデータが出てきましたが、2023年度の連結セグメント別の営業利益。
メディアコンテンツ部門が39億円、ライフスタイル部門が41億円、不動産・その他が70億円ということで、不動産が一番の稼ぎ頭!
ただ2022年度ではメディア・コンテンツ部門が109億円で1位ですね。でも増減率-64%というのはかなり衝撃的な数字です。
左には外部売上という見慣れない言葉が。
これは連結企業グループ外からのみの売り上げということで、メディア・コンテンツ部門が2878億円と圧倒的です。
「良かった、やっぱりTBSはメディア業界の雄だったんだ」と思ったそこの貴方! 本当にそんな理解でいいのでしょうか?
メディア・コンテンツ部門の外部売上は0.9%の微増なのに、営業利益は-64%!
私が一番問題にするのは決算短信では「費用面においては、番組制作費等が増加したことに加え、配信収入に連動して費用が増加しました。この結果、 同セグメントにおける営業利益は69億8千3百万円減益となる39億2千7百万円(前年比64.0%減)となりまし た。」としか書かれていないこと。
配信収入が増えているので、そこで大赤字になったわけではないはずで、大赤字の原因は番組制作費になるわけですね。
そういえばVIVANTってTBSの日曜劇場でしたよね。良いドラマでしたけど、あれだけロケを多用する必要があったのか?
決算説明会の資料によると、世界陸上とアジア大会などの大規模なスポーツイベントが多かったのが番組制作費が20億円も増えた要因のようです。
2024年度はパリオリンピックもあり、番組制作費も高止まりしそうなので、TBSの業績予想は楽観的すぎるように思えます。
外部売上が少なくて営業利益が多い不動産セクション
2023年度の稼ぎ頭だった不動産セクションは外部売上が極端に少ないですよね。
TBSの社屋や緑山スタジオなどは自前の不動産なので、本来、他のセクションが不動産屋に賃貸料を支払うべきところを、内部の不動産セクションに支払ったということでしょう。
外部の会社などに賃貸している部分は小さいのでTBSを不動産会社と見なすのは間違っています。
ただ大地主でビルなどの不動産オーナーであることには変わりはありません。
いざとなったら不動産の切り売りも可能なわけで、長期投資家にとっては不動産セクションは魅力的に映るかもしれません。
ライフスタイル部門って何?
ところで、ライフスタイル部門って何なのでしょうか?
外部売上で22%、営業利益で27%もあります。
これは、もともと1960年代から1970年代にかけてSONYが作ったリテール系の子会社がもとになっているようです。
リテール事業会社の経営者と従業員による買収(MEBO)による独立を経て、2008年7月にTBS(当時は東京放送)が51%の株式を取得し連結子会社にしました。
残り48.5%を一時J.フロントリテイリングが取得して持分法子会社にしていましたが、2023年10月にSLHパートナーズ投資事業有限責任組合に全株譲渡しました。
SLHパートナーズ投資事業有限責任組合の詳細は不明ですが、スタイリングライフグループ自身が出資した投資ファンドと思われます。
雑貨小売りのPLAZASTYLEと美容系のBCL、CPコスメティックス、バッグ製造販売のKNT365などを運営しているようです。
TBSと何の関係がある?
TV通販につなげる目的でしょうか。
教育事業へも進出!
このグループは個別指導塾から幼児英会話、幼児向けスポーツ塾へと発展していったグループで、2023年6月にTBSが連結子会社化しています。
マスコミが塾を連結子会社にする意味が良くわかりませんが、斜陽化するテレビ事業を補完しようということでしょうか?
買収資金はどこから来たのか?
二つの大きな企業グループを買収したわけですが、買収資金はどこから来たのか?
2020年3月期と2024年3月期の決算短信を比べてみました。
ありましたね。固定負債が1100億円から3225億円になってます。
3倍弱!!
番組制作費を大幅に増やしても売り上げは上がらず、テレビ事業の斜陽化に焦っているのかもしれませんが、リテール事業や教育事業と従来の放送事業やコンテンツ事業がどのようにシナジーしていくのかが全く不明確ですね。
質疑応答要旨に次の質問がありました。
これって成長投資という位置づけだったんですね。
SONYもJフォロントも逃げ出したリテールと、少子化著しい日本での幼児教育!
幼児教育の必要性を否定はしませんが成長します?
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