ヴァン クリーフ&アーペルを付けた嫁の話
パワーカップルは自分で言うものじゃない!
孤高の独身ちゃんには、1歳上の兄貴がいる。そして兄貴には妻がいる。つまり孤高の独身ちゃんには義姉がいる。
兄も、義姉も明治大学法学部卒。兄はメガバンク、義姉は五大商社で働いている。2020年コロナ挙式、2021年第一子男児誕生、2024年第二子女児誕生。都内に一戸建てをこしらえ、現在35年ローンと必死に闘っている。
兄とは今年の年明けに会ったきり。その日「俺らパワーカップルは」って言い出した瞬間に、(とんでもねえクソ兄貴だ恥ずかしい)と思ったことを昨日のことのように思い出している。
「パワーカップル」は自分で言うもんじゃない、誰かに論じられる際に使われる言葉である。
例えば、巨人の主砲がインタビューで「僕は強打者なんですけど」とは言わないだろう。その程度の日本語力で法学部を卒業できるなんて、つくづく日本の大学はちょろい。
ヴァンクリネキが教えてくれたこと。
こんなふうに、兄夫婦はしばしば拙者に違和感を与えてくる。そして拙者はそこからたくさんの学びを得ているので今日は、そのなかからひとつみんなにも教えておこう。
兄夫婦が誕生するにあたって、初手の顔合わせの際、義姉はヴァン クリーフ&アーペル スウィート アルハンブラ ペンダント ホワイトのワンレンを付けてきたらしい。
拙者は見ていないが、後日母親に「兄貴の嫁どやった〜?」って聞いたら「ヴァン クリ着けてたのよ〜。商社の一般職ってそんなにお金持ちなのかしら。うらやましいわ〜」と教えてもらった。
たまさかではあるがメガバンカーの嫁になり、専業主婦生活になった母の口癖は
「ママは、シャネルもヴィトンも持ったことないのよ。COACHさんが精一杯。パパと結婚したときからそれは分かっていたの。贅沢なんて言わないわ。でもあのヴァンクリの白いお花のネックレスは一度つけてみたいのよね」
だった。
我が家では地雷と書いてヴァンクリと読む。義姉 WAS OVER。
そもそも25歳がヴァンクリをつけていいことがあるのか
母親の自尊心を真っ向からグシャリとつぶした義姉。
悪気がないので多少かわいそうだとも思うが、わざわざ婚約者の両親に
「わたしは金のかかる女です。これからよろしくお願いします」
とアピールする必要はあったのだろうか。お前は愛沢えみりか。
それともヴァンクリに見合った中身があると自分で思っているのだろうか。
もしそうなのだとしたら、母の日には何か贈り物をしたり、第二子が生まれたらせめて半年以内に顔を見せにきたり、お正月もせめて日帰りで一日くらい帰省したりするものではなかろうか。
自分かわいい、自分だいすき、スウィート アルハンブラ!
わたし大卒商社!お金は稼ぐ!スウィート アルハンブラ!
夫の小遣いは月3万、でもわたしスウィート アルハンブラ!
そんな兄夫婦も今となっては、歌舞伎町のキャッチが着てそうなモンクレールのダウンをペアルックで着用し、息子の保育園着はミキハウスなパワーカップルへと順調に成長している。
これからも絶え間なく35年ローンに屈せず戦い抜いてほしい。スウィート アルハンブラと共にあらんことを。
ジュエリーに疎い男性陣もぜひ、ヴァンクリのアイコンであるこの花弁4枚の花だけは、忘れずに覚えておいてほしい。ヴァンクリネキの呪いは、死ぬまで続いていく。人間は一度あげてしまった金銭感覚をなかなか下げることはできない。
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