男女論について
Xを見ているとよく見かける男女論
奢る奢らないなどの些細な問題から、悲惨な事件に絡めた異性叩きなど今日に至るまで様々な議論が繰り広げられてきた
しかし未だにその議論にお互いが手を取り合い和解するという終焉が訪れる気配は全く感じられない
昼夜問わず互いに互いの性別を憎み合い罵詈雑言が飛び交うまさに戦場とも呼べるような地獄絵図
そんな界隈の色々なポストを見ていく中で興味深いポストを多々見かける機会が多いため、それに絡めて様々な問題について語っていこうと思う
昨今の知能に対する発言について
まず最近見かける意見としては
「女性は男性よりIQ(知能)が低い」
という言動をよく見かける
これらに関してエビデンスは不要であるという人間以外は、根拠をきちんと引用して語っている場面によく遭遇するのである
では本当に女性のIQが低いのかという説についてこちらから言えることがあるとすれば、それらはそもそもテスト結果に基づいて語られている知能(IQ)ではなく学力の話であったり、男性の脳のほうが大きいのだから男性は女性より優秀であるべきだという信念により女性が有利になる部分をすべて排除して得た上での男性優位の結果をもとにして語られた男性優位の社会になる理由であったりと、こちらが調べた限りではすべてのデータにおいて何故か理数系についてこだわっているなと言うのが正直な感想である
そしてそういう人たちは女性が知能で劣った存在だとしながらもこうも言う
「女性は卵子が劣化するから早く子供を産むべきである」と
なるほどこれらに関しても確かに医学的根拠のある話だと言える
だがしかし
自分はここまで来て違和感があった
理数系を過度に祀り上げそれらができることこそが優秀の証で、それらが出来ないことを性別という属性で括りまるですべてが劣っているとでもいうかのようなその姿勢
女性自身には産む権利が存在せず、まるで優秀な人間を産むことにしか意味がないかのような発言
そしてそれらの共通点に対してこちらが感じていた違和感が確信に変わった瞬間がある
優生学と科学万能主義
それは優生学という言葉と科学万能主義という言葉に偶然行き着いたときである
まず優生学とは何かについて簡単に説明すると「知的に優秀な人間を創造すること」「社会的な人的資源を保護すること」「人間の苦しみや健康上の問題を軽減すること」を目的とした学問である
これらには積極的優生学と消極的優生学の2つに分けられ、積極的優生学は要するに人類は遺伝子ではじめから優秀であるかないかが決まっているため優れた遺伝子を持つ者こそ産む権利があるという考えであり、消極的優生学というのは劣った遺伝子を持つ者は生まれつき劣っているため子をなす権利などないという考えである
過去においては消極的優生学により犯罪者や特定の遺伝子疾患や障害を持つ人たち、少数民族などのマイノリティに対する強制的な不妊手術、断種手術などが行われていた
この思想では社会がその遺伝子を繁栄させるか排除するかの選択を有していたため当然そこに本人の意志は存在せず現在では倫理的に問題のある行為である
そしてこの問題のある優生学という学問が全く問題視されなかった理由が科学万能主義という思想に基づいた根拠ある事実であったがために倫理が機能しなかった理由であると言えるかもしれない
科学万能主義というのは科学的方法を経験的で実証的なテーマだけでなく、抽象的で非経験的な研究分野や人間生活の価値含意的 側面にも適用でき、またしなければならないという主張である
難しいが例えば科学万能主義で先日述べた女性のIQが低いという根拠に対してなぜ理数系ばかり取り上げるのかという疑問に関して言えば、男性の方が脳が大きいためIQが高いとされる論文があり、それにより男性のIQは女性より高いと言えるわけであり、その理数系や女性が苦手な分野において女性は男性よりIQが劣っているため女性は知能が低いという科学的根拠のある事実なのである
そしてそんな優れた男性が多いから男性優位の社会であるのもまた必然である
そして女性は早く産んだほうがいいという発言に対する疑問も、科学的万能主義で言うなら優秀な遺伝子を持つものこそが子孫を反映させる権利があるのだから、卵子は劣化するという医学的根拠がある以上早く産みなさいと急かすのは当然である
何故なら優秀な遺伝子こそ残す価値があるからである
という書いているだけで頭の痛くなってくるような話であるが、つまり科学万能主義と優生学においては目の前にある人間の優劣とそれらは科学的に裏付けられた事実というその特殊性から“個人”は“より良い科学”のために生きているのではないという倫理はたびたび置き去りにされるのである
倫理が科学により度々置き去りにされる例
例えば最近のDoveの広告は
顔の部位が何cmだと美しい
など明らかに科学的根拠のあるかのような広告で、見た者にそれが美しさであると証明してみせた
例えばとある美容外科医は遺族から献体された遺体は魂がないためきちんとリサイクルされるべきだという趣旨の発言をした
結論
個人はより良い科学のために生きているのではなく、今を生きる人たちのために科学は生かされるべきであり、倫理や文化、個人を無視しことさら優れた者以外生きる価値がないとする科学社会主義こそ人類をより淘汰と排除に導き破滅の道へと誘う呪いなのではないだろうか