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R.ニクソン「フェスティバル・ファンファーレ・マーチ」

今回も吹奏楽、ロジャー・ニクソン作曲の「フェスティバルファンファーレマーチ」についてお話します。

ロジャー・ニクソン(以下ニクソン)という作曲をあなたはご存知でしょうか。
1970年〜1980年代には吹奏楽コンクールでも時々演奏されていまして、吹奏楽経験者の方の中には知っている人もいるかもしれません。

R.ニクソンは1921年生まれのアメリカの作曲家で、代表曲には「平和の祭り」「パシフィック・セレブレーション」「シャマリータ」がありますが、当時でも人気曲というよりは「通好み」という感じでした。
当時のアメリカの吹奏楽オリジナルの人気作曲家は、アルフレッド・リード、バーンズ、スウェアリンジェンあたりでしょうか。

私が初めてニクソンの曲を聴いたのは、中学生1年生の時、コンクール会場で自分の演奏が終わった後、通路で楽器を運んでいた時でした。

変拍子バリバリでスペイン風のとにかく熱い曲で、他のオリジナル曲とは全然違う激しさに衝撃を受けました。
あとでプログラムで確認したら、ロジャー・ニクソンという人が作った「平和の祭り」という曲だったということがわかり、一気にニクソンが好きになりました。
(余談ですが、翌年その学校は、パシフィックセレブレーション組曲を演奏していたので、よほど顧問の先生が好きだったのでしょう)

ですので、2009年に訃報を聞いた時にはかなりへこみました。

ニクソンの曲は、ニクソンサウンドとでも言うような強い個性をもった和音をつかっています。
今とは真逆の、とっても薄いオーケストレーションが特徴で、そのため上手に聞こえるように演奏するのがとても難しいと思います。
和音も曲のどこかでお約束のように必ず不協和音が混じってきて、なんというか・・ただの不協和音というより、少し狂気が含まれているような叫んでるような感じなんです。
それが、中学生だった僕には特に胸に刺さりました。

その後、ニクソンの曲に出会うのは、その年の秋、自分の中学校の吹奏楽部で、ニクソンの「エレジー・ファンファーレ・マーチ」を1回だけ合奏したことがありました。
ただ顧問の先生にとって手ごたえがなかったらしく、それっきりボツになってしまい、練習することも人前で発表することもありませんでした。

野球狂の詞と同じで、そのなんとも言えないサウンドの印象だけが残ったまま再会することなく大人になりました。
いろいろなところでニクソンのことを調べていたら、「フェスティバル・ファンファーレ・マーチ」という曲でABA賞という名誉ある作曲賞をとっていたことがわかりました。
彼にとっては、出世作だったのですね。

私は中学生の時に演奏した曲と同じ曲だと思いこんで、この曲をダウンロードして聞いたのが再開です。(後で違う曲だったことがわかるのですが)

「フェスティバル・ファンファーレ・マーチ」は、いわゆるコンサートマーチでとても行進できるような曲ではありません。
演奏会の1曲目で演奏するような感じのマーチです。
ただニクソンが作ってるだけあって、演奏会を華やかに開会するというよりは、ちょっと狂気混じりの斜め行くようなマーチに仕上がっています。

好きな人はとても好きになるけれども、嫌いな人には全く合わないんじゃないかなと思います。これも例によって薄いサウンドです。

ニクソンの作品自体が有名でない上に、その中でも有名でないフェスティバル、ファンファーレマーチの音源を探すのもとても苦労しました。

アマチュアが演奏してるものしか見つからず、プロの演奏のCDもありません。今回リンクを貼ったYouTubeの演奏が今まで聞いた中では、1番いい感じで演奏できるのではないでしょうか

曲自体はとても魅力的な曲なので、ちょっと演奏されていいと思います。
今の吹奏楽団の方でチャレンジ精神のある指導者がいらっしゃったら、ぜひこの曲を演奏して、私が生演奏を聴ける機会を作っていただきたいです。

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