MAD SOXⅡ ~世紀末ヒャッハー会計士伝説~ VOL.1 焼け太りを狙う者たち
ブログは中断です。
【この記事は事実を題材にしたフィクションです。特定の個人・団体とは関係ありません】
なお、記事には似非猛虎語を引用しております。
2001年も残り少なくなった頃。
米国の会計士の寄合であるA〇CP△で深刻な面持ちの幹部が鳩首会談をおこなっていた。
「アン〇゛ーセンのどアホ。なにさらしてくれとんのや!」
エネルギー取引最大手のエ〇ロンの巨額の会計不正が暴かれ、会計監査を担当していた監査法人が粉飾に加担していたカドで刑事告発を受けたのである。
「これは会計士業界全体の信用問題になりまっせ。政治屋さん巻き込んで対策せにゃあきまへんやろ。」
「どないせいっちゅーんや?」
「下手打って叩かれっぱなしやのうて、逆手をとって大商いするんですわ。
WW2前夜のJapanで軍事クーデター騒ぎありましてん。そん時の軍隊が反省する振りして『粛軍』ちゅーキャンペーン張りましたんや。ところが逆に軍が権力持って誰も逆らわれへんようにしたんですわ。」
「Japanはどーでもいいから、具体的にどうするんや?」
「今回の粉飾は内部統制がアカンかった。悪いのは会社のせいやっちゅーことにして、企業は内部統制をキチンとしとけーって義務化するんですわ。」
「エ〇ロンは経営者不正やろ?経営者不正はゴジラみたいに内部統制を踏み越えてくるもんやで。内部統制義務化でどうなるもんでもないやろ。」
「そこはうまいこと論理のすり替えをするんですわ。内部統制の整備を法制化できたらコンサル業務で大商いになりまっせ」
「ほうか、じゃ両院の委員会にハナシ通しといたるわ。」
上下両院の各委員会の法案は紆余曲折あったが、成立し、両院の委員会長の名を冠したSOX法を別名として認知された。
そして日本。
これまた会計士の寄合であるJ〇CP△。
「米国のSOx32とかいういうコントロールライブラリみたいな名前のヤツ、証取法に取り込むという噂があるそうだが。」
「FSA(金融庁)が作成中、というか改正中のようですな。」
「うちの事務所のアライアンス米国本部から、成立したら全世界的に業務拡大につながるので今から人員予算を計上しておくべきと言ってきてます。」
「連結制度化以来四半世紀ぶりのビッグウェーブが来ますね。公認会計士審査会に新兵の供給増大を要求しましょう!」
「BIG5アライアンスで内部統制コンサル総取ってことで!」
「WAHAHAHA。おぬしらもワルよのう・・・」
「いえいえ、お宅様ほどでは・・・・」
「「わっはっはっはっは・・・・・」」
同じく日本。
K団連本部のCFO寄合。
「例の内部統制制度化ですが、米国企業も困惑しているようです。日本にデッドコピーされたら事務作業でバックオフィスがパンクしますよ。」
「なんとか潰せないですかね?」
「連結に大反対してくれた是理士連合会に支援を頼めないですかな?」
「内部統制コンサルは会計士の排他独占業務ではないので、是理士だって名乗りあげられるでしょう。反対する根拠にはならんです。」
「政治頼みですかねぇ・・・・・」
やはり日本
法務省
「商法大改正に合わせて『内部統制システム』をぶっこむぞ!」
「『システム』つけるんですか?1970年の監査特別部会の定義では『制度・組織・方法および手続を総称するもの』とあるので、システムも含めて『内部統制』なので敢て追加する必要はないのでは?」
「やかましっ!株式会社制度は法務省が作ったものだ!『計算書類』を『財務諸表』なぞと言い換えた大蔵省に主導権を渡してたまるものかよ!そもそも1950年の監査基準では『内部統制組織 Internal control systems』だったのを、5年経たずにしれっと『内部統制』に書き変えた節操の無い奴らだろうが。」
「そうえば是政連から内部統制システムに反対しないから、改正法に1枚かませろと要望が来てます」
「会計参与の有資格者に是理士を入れてやれ。会計参与を選択する会社がどれほどあるか知らないが。」
工場労務者だった前期高齢労務者は、まだ渦中に巻き込まれることを知らない・・・・・・・・・・
【続く】