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『パプリカを丸かじり』 ―御代田太一さん―

【感想を送って下さった方】御代田太一さん

社会福祉法人グロー職員。障害者のリアルに迫る東大ゼミOBでもあられる。
御代田さんは、10/26(火)の上映回(@京都みなみ会館)にゲストとしてご登壇予定‼



「誰かと向きあおう。」
誰もがそう時々思うけれど、心がけるくらいでは何も変わらない。僕自身、飲みながら「あの人とちゃんと向き合わないと」と心に誓っても、一夜限りの決心に終わることがほとんどだ。家族という、コミュニケーションの型が確立された相手ならなおさらだろう。

だから髙木君はカメラを持ったんだと思う。「映画を作品として仕上げる」という外的なハードルを起爆剤に、家族にカメラを向ける不自然さを覚悟で、身を削るように弟と自分を問うていく。

「僕とオトウト」というタイトル通り、映像の半分近くは自分自身を撮ったものだ。自分で自分を撮る。これは勇気がいると思う。「こんな俺の1人語りに、一体だれが興味を持つだろう?」という迷いが生まれて、何もかも恥ずかしくなることもあったはずだ。それでも多くを語らない弟を前に、自分が変わるしか道はない。

しかし物語が進むにつれ「カメラを向けられる僕」は、「カメラを向ける僕」のコントロール下から外れていく。剥き出しの自分を、カメラ越しに発見するに至るまでの根気は凄い。父に飲みながら本音をぶつけるシーンが印象的だ。カメラの外でもいろんなことがあったのだろうけれど、映画終盤の髙木君の表情は、とても柔らかい

お母さんの2人へのまなざし、壮真君のハンドサイン、農園の風景。時々挟まれる、どこかほっとする映像に救われながら、観終わるころには何かから解放された自分がいる。

あー、いい映画だった。今度、パプリカを丸かじりしてみよう。



(編集担当:Linda)
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【上映委員 タレコミ】
上映委員会には達筆な方が多くて、「あなたの文字はみみずがのたうち回っているみたい」と幼い頃から揶揄されてきた私は、ほんとに羨ましいなあっていじけながら、今日も手書きで日記を綴るのです
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【劇場公開情報】(2021年10月23日現在)
本編上映後は、監督&日替わりゲストによるトークセッションを行います!
(随時情報更新中!公式SNSで最新情報を発信しております)

京都 @京都みなみ会館(ゲスト情報を公開中!
10/22(金) 19:00~
10/23(土) 15:30~
10/24(日) 15:10~
10/25(月)-10/28(木) 19:00~
※10/29以降も上映予定です!(終了日は未定)
https://kyoto-minamikaikan.jp/movie/12338/

神戸 @元町映画館
10/30(土)-11/5(金) 12:30~
https://www.motoei.com/post_schedule/

大阪 @シネ・ヌーヴォ
11/6(土)-11/12(金) 13:45~
http://www.cinenouveau.com/sakuhin/bokutootouto.html

「僕とオトウト」公式サイト https://boku-to-otouto.com/
上映情報専用ページ https://boku-to-otouto.com/infomation/
お問い合わせ bokutootouto@gmail.com


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