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サラリーマンをやめて気づいた自分らしい生き方への第一歩
文藝春秋とnoteのコラボ開催「#未来のためにできること」投稿コンテストで「優秀賞」を受賞した記事を書いた際、改めて自分の歩んできた道のりを振り返る機会を得た。
受賞を通じて、僕の活動を知ってもらえたことは大変嬉しいことだった。しかし、その過程で「自分が本当に伝えたかったことは何だったのか」を考える時間も多くなった。記事には活動の成果や喜びが盛り込まれていたが、その背景にあった悩みや迷いも、実は僕自身の大切な一部だった。
今回の記事では、その「成果の裏側」にあるストーリーを掘り下げたい。特別な経験ではなく、サラリーマン時代のモヤモヤや、小さな一歩を重ねた日々が、どのように自分らしい生き方につながったのかをお伝えしたい。
サラリーマン時代のモヤモヤからの脱却
僕のサラリーマン生活は、片道1時間半の通勤から始まる。朝早く家を出て、田んぼや畑を横目に青空を見上げると心が少し和らぐ。しかし都内に近づくにつれ、自然はコンクリートに変わり、どこか心が締め付けられるような感覚を抱えていた。
その感覚を無視しながら、「家族のため」「生活のため」と自分を納得させ、日々をこなす毎日。違和感がありながらも、忙しさに追われて深く考えることすらできなかった。
そんな中で、通勤時間の長さに疑問を感じ、転職を決意する。通勤時間を短縮したいという理由もあったが、それ以上に「自分らしく働ける環境」を求めていたのが本音だ。
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稲作講座との出会いから麦づくし講座へ
僕の活動に大きな影響を与えたのが「稲作講座」だった。サラリーマン時代のモヤモヤを抱えながら、ふと参加した地元の稲作講座で、自然と仲間たちに囲まれる時間を過ごした。この経験は、自分の心を大きく解放してくれた。
田んぼの中で稲を植え、土に触れる作業をする中で、自然と向き合うことの心地よさに気づいた。また、一緒に講座を受けていた仲間たちは、気取ることなく自分たちのペースで作業を楽しんでいた。そうした姿に「ここが自分の居場所かもしれない」と直感的に感じた。
この講座で得た体験やつながりが、後の「麦づくし講座」につながる大きなヒントになった。稲作講座で学んだのは、作業そのものだけではなく、「一緒に何かを作り上げる楽しさ」だった。これが、麦をテーマにした新しい挑戦へのモチベーションとなった。
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素敵な経営者との出会いが転職のきっかけに
転職先の経営者との面接で、印象的な言葉を聞いた。「なぜ僕を採用したのですか?」と尋ねた僕に、その経営者はこう答えた。「来た人は誰でも受け入れる。」
この言葉には驚いたが、それ以上に感銘を受けた。選ぶのではなく、来た人をそのまま受け入れる。それは、目の前に現れる人や出来事を必然として捉える姿勢だと僕は理解した。この言葉を聞いてから、自分の人生においても「来たものを受け入れる」視点を意識するようになった。
その後、転職先で働く中で、この経営者の言葉がどれほど深い意味を持つかを実感する日々だった。自分の働き方や生き方を見直すきっかけを与えてくれた素敵な出会いだった。
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実家の古民家を再生し、新しい挑戦へ
転職後の僕は、より自由な時間を活用しながら、自分の「やりたいこと」に向き合い始めた。その一つが、実家の古民家を再生することだ。築60年の家は、僕が中学生まで過ごした大切な場所。数十年間物置状態だったその家をリノベーションし、「僕らの集会所」として生まれ変わらせることを決意した。
初めは試行錯誤の日々だった。古い家を直すには予想以上の手間がかかり、地域の方々の助けやアドバイスがなければ進めなかった。けれども、一つひとつ手を動かし、完成に近づくごとに、ここが「新しい自分の拠点」になりつつあることを感じた。
ここでは「麦づくし講座」を開催したり、餅つき大会を企画したり、地域の人々が自然と集まれる場所づくりを進めている。餅つきではもち米を蒸すところから始め、参加者と一緒に伝統的な文化を体験する。その姿を見ていると、自分が小さな一歩を積み重ねてきたことが確かな形になっていると実感する。
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とりあえずやってみる大切さ
僕が「麦づくし講座」を始めたのは、とにかく「やってみよう」と思ったからだ。初めから明確な計画があったわけではない。とりあえず麦を育て、講座を開き、参加者の声を聞きながら改良を重ねた結果、地域の人々から共感を得られるようになった。
同時に、僕の人生においても「みんなの100人プロジェクト」のような形で、周りの人々と協力しながら進めていく方法を学んだ。最初は小さなきっかけでも、続けることで次第に形が見えてくることを実感している。
大切なのは「まず動いてみること」だと思う。頭の中で悩んでいるだけでは何も進まない。行動することで初めて見える景色がある。失敗しても、そこから学ぶことが次の一歩につながる。今の僕はそう信じている。
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今後の活動と未来への展望
これからも「僕らの集会所」を拠点に、多くの人とつながり、新しい挑戦を続けていく。1月には「麦づくし講座」や「麦麦クラブ」のイベント出店が控えており、3月には「僕らの集会所」の周年祭が予定されている。
周年祭では、これまで集会所で演奏してくれたノボさんとはるみさんが作曲したオリジナルソング「麦唱」や、ご当地ソングを含むCDのリリースを計画中だ。このイベントでは、歌や演奏を通じて地域の人々と音楽を共有する特別な時間になることを目指している。
また、餅つき大会や地域イベントの手伝いを通じて、伝統文化を次世代に伝える役割も担いたい。これらの活動を通じて、地域に根ざしながら自分らしい生き方を追求していきたい。
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終わりに
僕の物語は特別なものではない。サラリーマンとしてモヤモヤを抱えながらも、一歩を踏み出すことで、新しい未来を見つけることができた。その過程には、不安や失敗もあったけれど、それらも含めて今の自分を作る大切な要素だった。
「とりあえずやってみる」。このシンプルな行動が、どれほど大きな変化をもたらすのかを、自分自身の経験を通じて感じている。この記事が、読者にとって何かの参考になれば、それが僕にとっての喜びだ。