古事記と日本書紀の違いを徹底解説!
古事記と日本書紀は、ともに「記紀」と称される日本最古の歴史書になります。
7世紀に第40代天皇であらせられる天武天皇の勅命により編纂されたものです。
古事記と日本書紀は、同時期に編纂されたものでどちらも歴史書ですが、その内容や背景が少し違うので解説します。
記紀の編纂
古事記と日本書紀は、どちらも天武天皇の勅命によって編纂されたものですが、実際の作者は異なります。
古事記: 太安万侶 稗田阿礼
日本書紀: 舎人親王(天武天皇の子)
古事記に関しては、日本各地に伝わっていた伝承や口伝を稗田阿礼が記憶し、語り部としての役割を担いました。そして、太安万侶が稗田阿礼の言葉を聞いて編纂しました。
日本書紀は、舎人親王を中心に数人の朝廷の人が書きあげました。
実は編纂期間も大きく違います。
古事記: 4ヶ月
日本書紀: 38年
古事記に関しては、嘘のように短期間ですが相当急ピッチで仕上げたようです。
一方、日本書紀は相当な時間をかけ編纂したことが分かります。
では、その内容はどのようなものでしょうか?
巻数や内容
実は古事記と日本書紀では巻数が大きく異なります。
古事記: 全3巻
日本書紀: 全30巻+天皇家系図1巻(現存なし)
古事記は上・中・下巻の全3巻構成になっています。上巻は神代(神話)、中・下巻は初代神武天皇に始まり、第33代推古天皇までの内容になっています。
古事記はその話の中に多くの神様が登場しますが、今も多くの神社で祭神として祀られています。
一方、日本書紀は全30巻と古事記に比べると非常に分量が多いです。
内容は天地開闢から始まる神代から第41代持統天皇までの内容となっています。特に日本書紀は神代を扱う1・2巻以外はほとんど天皇の系譜・事績を中心に記されています。
古事記は物語調で書かれており、1つの小説のようにして面白おかしく読むことができます。分量もそれほど多くなく、通読も問題なく可能です。神話が多く出てくることで、日本の文化の源流を知るきっかけになる歴史書だと感じています。
古事記は私も日本文化に興味を持つきっかけですので、なるべく分かりやすく古事記を読めるよう今後マガジンにまとめる予定です。
反対に日本書紀は古事記よりも畏まった文章で、いかにも歴史書といった印象を受けます。これは手に取れば一目瞭然の大きな違いかと思います。
全30巻にもわたるので私も通読できていませんが、記紀が編纂された時代までの天皇家をよく知り、日本について学ぶにはうってつけだと思います。
古事記と日本書紀は作られた時期はほとんど同じものの、内容は結構違うことがわかったかと思います。
ではもう少し記紀の立ち位置を考察してみます。
古事記と日本書紀の立ち位置
ここまでの印象で言うと、
古事記は短く誰でも親しみやすい
日本書紀は詳細で日本の歴史をよく知ることができる
という感じでしょうか?
これをもう少し考察すると、
古事記は日本人向けに天皇のことをより知ってもらうためのもの
日本書紀は海外に向けて日本のことをアピールするためのもの
とみることもできます。
特に、古事記は変体漢文を用いて書かれています。
「あ」→「阿」
「い」→「居」
のように「あ」と読みたいところに漢字の「阿」を当てはめて漢文のように表したのが変体漢文です。当時はまだひらがなが存在していなかったため、このような表現になったのだと思います。
これをみると古事記は国内向けに作られていることが容易に想像できます。
反対に日本書紀は漢文で書かれているため、当時の日本人では読むことができません。日本書紀の立ち位置は対外的なものだと分かります。
さらに、日本書紀では
「一書に曰く(別の書を参照すれば)」
という表現が散見されます。
いろいろな文献からの引用がされており、歴史書としての性格も古事記に比べると強く感じます。
初心者おすすめ古事記
以下は初めて古事記に触れる方におすすめの書籍をいくつかまとめました!
ぜひ参考にされて下さい!
①古事記ビギナーズ・クラシックス
一番初めに読んだ古事記。めちゃくちゃ読みやすい。
このシリーズは源氏物語とか太平記とかもあって楽しく読めます。
②新版古事記
原文もしっかり載ってて勉強になります。カッチリと読みたい人向け。
③古事記転生
いきなり古事記に触れるのがキツイという方は、ノンフィクション小説から入るのも良きです。
④マンガ古事記 イザナキとイザナミ 日本を産んだ神様夫婦はラブラブだったのですが。
漫画から読みたい方はこちらもおすすめです!
どちらも日本を知る上で重要な歴史書
他にも細かい内容の違いは色々とあります。
同じ神様でも名前が違ったり、性格や立ち位置が違ったりします。また、どちらか一方にしか出てこない物語もあります。
ただ、どちらも日本を知るうえで重要な歴史書に違いはありません。
もし興味を持ってもらえたら、日本人として是非一読してもらえると嬉しいです!
以上、古事記と日本書紀についてまとめました!
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