引越しの短期バイト。山パンの製造ラインと並んで半ばアイコンとして使われる学生に評判の悪いバイトのひとつである。
引越しの短期バイト。山パンの製造ラインと並んで半ばアイコンとして使われる学生に評判の悪いバイトのひとつである。
実際にやったことがないのでどちらも風評だけで判断しているが、引越しのバイトに関しては学生時代の知人がその経験者で、僅か三日間で酷く傷ついてしまい何を聞いても「おれはもうだめだ」と返すのみであったことから語ることすらつらい経験だったのだろう。
無論、日本中の全ての引っ越し屋がそうだとは勿論言えない。自分の兄も引越しバイトの経験者だが、移動時間が長く給料の割に実作業が短いことを喜んでいたほど。実際には業者によるしまた人により合う合わないがあるといったところではないだろうかとは思うが、個人的には自分が依頼した引越し業者が客である俺の目の前で堂々と学生のバイトを恫喝しているのを実際に見てドン引きした経験があり、どちらかというと「そういう世界なんだろうな」という気持ちのほうが優勢な状況。
経験者によると罵声、恫喝あたりまえ、中にはわざと無理難題を出しては不必要なミスを誘発させるという客のことも考えずに学生イジめに精を出す者もいるらしく、ときに対バイト用によく訓練されたきれいなケリが飛んでくるという。したがって冒頭の知人のようにバイトを終えたのちに帰還兵のように心身ともに深く傷つく者がいたり、ときには賃金、プライド両方投げ出し途中で脱走する者もいるらしい、半ば運しだいの恐ろしい世界なのだ。
もちろん学生側の逆襲もあるようで、かつてバイト先で一緒だったバンドマンによると、無理難題を突きつけては罵声を浴びせるというもはや引越しバイトいじめが娯楽になっていたジジイに作業中、無言で一発腹部に膝蹴りを入れた事があるという。
ジジイは『うっ...』と言うと、さもそれがよくある出来事であるかのように、膝蹴りをカマされた大人の反応としては極めて不自然なほどに大して取り乱す様子も無く無言でその場を去ったというが、それはまだ仕事の中盤。残りの勤務時間の半分、蹴りを入れられ『うっ...』となったオッサンが膝蹴りをカマしてきたバイトに淡々と指示をし、トラックでの移動では無言のまま、ずっと同席していたという。
このように、男と男のマジ勝負が日々繰り広げられるのが春の引っ越しシーズン。みなさんが何気なく見過ごしてしまっている引越し業者。これからはもっと気を付けて見てみるといいだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?