君になら、話せる気がしたんだよ
私はストレスを感じやすいらしく、簡単なことで焦燥感を覚える。何をするにも、90点以上の出来栄えにしなければいけないという気がしてしまうから、余計何かに追われて、いつも焦燥感と罪悪感と、恐怖を感じている。でも、人に相談できない。相談できるほど、信頼している友人がいない。友達みんな、とりあえず教室で一人でいないようにするための手段みたいな感じだ。こんな言い方ひどいってわかってるけど、僕は周囲の友達に相談なんてする気もないし、そもそも相談できるほど信頼していない。
でも、誰にも相談するつもりがないんじゃなくて、ほんとは誰かに相談したいと思っているんだ。でも、何かに悩んでいるときや焦燥感をどうにか紛らわしたいとき、僕の中で誰かが「相談するほどのものじゃないだろ」と勝手に口出しする。相談なんて、ただ相手の負担にしかならない。そんな声が聞こえる。もし相談しても、真面目に取り合ってもらえないに違いない。「なんだそんなこと悩んでたの?気にしすぎだよ~、大丈夫だって」そんな風に僕を諭す声が聞こえる。いや、気にしすぎってなんだよ。私の気持ち読み取れるわけでもないくせに、なんで勝手に大丈夫って言えんの?気にしすぎだって決めつけたのは君だろ。
結局、私の反論には答えてくれる声はない。なのに私が聞きたくない言葉だけ、たくさん囁いてくる。
取るに足らないような悩み事でもよかった。君ならきっと、馬鹿にしないでちゃんと僕の話を聞いてくれるって思えた。……思えたけど、でもそれと実際に相談できるかはまた別の話だ。
だって、もう充分迷惑をかけてしまってるんだもの。返信に困るような独り言をたくさん送って、ただただこっちの都合で連絡を取って。君が返信をくれるのは嬉しかったけど、君は優しいから、迷惑に思ってたとしてもきっと言ってくれない。だからいつも、連絡をするたびに申し訳ない気持ちになった。でも何度も「ごめん」って送るのはそれはそれで重いし迷惑だろう。だから、もう「ごめん」って言うのはやめよう。……うん。もう、君にごめんって言わないよ。
そんなに申し訳ないと思っているなら、連絡を取るのをやめればいいのだ。それが最善だってわかっているけど、そうすればもう「迷惑をかけてしまう」って悩まなくて済むんだってわかってるけど、でも君なら話を聞いてくれるかもしれないという期待を捨てきれない。
君がたまにくれる返信の通知がとても嬉しくて、「そうだね」くらいの適当な返信でも、僕はその一瞬だけ、また元気になれる。
君に迷惑はかけたくないって、本気で思ってるんだ。でも「君なら話を聞いてくれるかもしれない」という可能性がなくなってしまったら、僕はどうすればいいんだろう?それがわからなくて、わからないままでは君にさよならが言えなくて、ずっと前から、堂々巡りの思考をやめられない。君くらいしか、話せそうな人がいないんだよ。でも、それはきっと君の迷惑にしかならないから、どうしても話せない。君のことほんとに好きだから、迷惑なんかかけたくないんだ。
そうやって、僕はずっと同じ場所で立ちすくんでいる。
最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。