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私とタカラヅカ
せっかくなので私とタカラヅカとの馴れ初めでも書いてみようかと思います。
私は幼少期に祖母と叔母にあの夢の世界に連れてかれて以来〝還らぬ人〟となりました。
初めてタカラヅカを観た時は全く意味がわからなかったが帰宅してから復習をしようと叔母から借りたビデオを観ているうちに一人スクスクとヅカヲタとして成長してしまった。
あの世界に入りたい。何としてでも入りたい。そう思った時期もありました。バレエのレッスンを増やして声楽も習いはじめたりして…
しかし…しかし…
身長が全然伸びない!プラス恐ろしいまでに募集要項には〝容姿端麗〟と書かれている!無理無理無理無理!と怖気付いた自分。そして記念受験した従姉妹が
『あそこは我々の棲める世界ではない』とボヤいた…実にリアルな助言だった…
そうこうしていたら同じバレエ教室からとんでもない大物合格者が現れた…なるほど…あのような生まれながらの天使でなければ合格出来ない世界なのだ。そのおかげで幼い自分はいとも簡単に受験を諦めることが出来たのだった。
高校三年生で進路を決める際にどうしたら宝塚歌劇に携われるかだけを考えた。タカラジェンヌさんと対等に話せる仕事は一体何なのか…
そこで自分が選んだ学校が何故か美容学校だった。進学校な上に周りが大学に行く子ばかりで先生からも何故?!となったが自分でもよくわからないがカリキュラムを見てなんとなくの勢いとタカラジェンヌに近づける謎の勘で決めてしまったのだ。恐ろしいオンナだ。
しかしこの勘はあながち間違いではなかった。結局私は仕事を続けることが敵わなかったがこの選択をしたことで夢の先に二度も足を…もはや頭から突っ込んだ。人生の選択はギャンブルのようなものだ。とんでもないチャンスが舞い降りることもある。長い人生だから失敗しようとチャンスの切符を手にしたらに大きな賭けに出てみるのも悪くはない。
〝タカラヅカ〟という世界は私を突き動かす原動力であり何度も何度もその魔力に抗うことなく生きてきました。自分が好きな世界で働くことは私にとって幸せではあったけれど自分の大切なものを失う、若しくは抑えつけて苦しみを抱えて生きることでもあった。私には自分を偽る強さが足りなかった。覚悟が足りなかった。宝塚を好きすぎる気持ちが仇となり自分で自分を勝手に苦しめていた…己れの全てを棄てて飛び込んだのに空回りが止まらない…
〝自分らしさってなんだろう〟
突然小学生の課題みたいなものに大きな大人がぶつかった。
結局自分は今の生活リズムが一番自分に合っているようです。
私は〝タカラヅカに携わる仕事〟のために美容学校を選んだだけで〝スタイリスト〟になるつもりはなかった。
それがのらりくらりとよくわからないまま今普通にスタイリストとして働いている。スタイリストになりたくて頑張っていた子たちが続々と離職するなか、皮肉にも私はこの仕事を続けている…。
そして今も尚、タカラヅカという夢の世界にどっぷり浸かっている。
学生時代の自分は20年後の自分がこんな大人になってるだなんてきっと想像もしないだろう…。人生は全くわからないものです。
しかしきっと私はこの先の人生も宝塚歌劇に囚われの身のまま生きていくことだけは何となく見えています…
この先も…自分らしく…自分のペースで…