ジェイ選手
娘が7か月令ぐらいの頃、散歩に行ったら1点をみつめておかしな顔つきをしていたので「これはおかしいな」と思い動画を撮影。病院に行きおかしいと思うのですけど、と言ったのですが「まあ様子見ましょう」と言われて、その数日後の夜、痙攣が起きて救急病院に行ったことがあります。乳幼児てんかんというものでした。今回一回限りかもしれないし、またあるかもしれないよ、とのこと。常に冷静でいられる私もこの時ばかりはパニックになってパジャマで病院に飛び込みましたが担当のお医者さんがとても良い先生で、落ち着いて様子をみることができました。
その後、肺炎で2か月に1度は入院する子でしたが、徐々に元気になり小学校に入学。初夏のある日。それはヤマハのエレクトーンフェスティバルというイベントに出る前日のことでした。私が仕事で小学校の前を通りかかった時、次男にみつかり車に乗せてと言われたので渋々乗せたところ「妹がもうすぐくるよ」とのこと。しょうがないから一緒に乗せて行くかと思ったら郵便局の前で呆然としている娘を発見。「どうしたの??」と聞いても返事もなく、なんかおかしいと思ったらそのまま痙攣を起こして倒れてしまいました。そのまま病院へ。そして「てんかん発作だね」と言われ入院しました。
私は子供を学校に送迎することはほぼなくて、具合悪いなら休みなさい、寝坊したなら遅刻するしかない。雨が降ってくれば走って帰っておいで、あるいはトトロみたいにフキの葉っぱ見つければいい(フキはいくらでもある環境)などなど、とにかく「歩け!走れ!」と思っているので
この日、子供を車に乗せたことはすごく珍しいことだったのです。しかも普段なら次男に見つかっただけだからそのまま帰るところなのに、娘も拾うかなと思ったこと自体が何か不思議な偶然だったのでしょう。ピンポイントなタイミングで娘を見つけて大事にならずにすみました。
入院して意識が戻ってきた娘は、なにか「すごく嫌な熱い」感覚に襲われるみたいでとにかくその不快感が辛かったようです。そして、翌日に控えたフェスティバルは欠席だねということでヤマハの先生に連絡しました。
その後、痙攣発作もなかったため翌日退院。しかも午前中。もしかしてフェスティバル間に合うかも??と娘が言うので、出ちゃいました。特に規制もなかったし。
その後、数か月してまた発作が。その時にお医者さんに「短期間に2回の痙攣なので薬を飲みましょう。でも高学年になったらお薬をやめられるかもしれないからね」と言われました。その日から毎日2回のてんかんの薬を飲んでいます。
一人になること。危険なこと。例えばスキーのリフトに乗るとかプール授業とかそういうことは避けた方がよいかもと言われました。学校の先生には一応そのようにお伝えしましたが、これから大きくなって行動範囲も増えて、しかも親がそばにずっといることを嫌がる年頃になる娘から目を離さないなんて絶対無理。学校の登下校だってついて歩くわけにはいかない。娘も嫌だろうし私も夫も仕事がある。ですからその時に覚悟しました。「私はてんかんの子供の母である。てんかんの痙攣発作はいつどこで起きるかわからない。運悪く道路の真ん中で起きるかもしれない。でもそれは防ぎようがない。だから覚悟して暮らそう」というものです。
すごーくマイペースな子供で、話の飲み込みが遅かったり、今でも日本語が下手くそ、かつ語彙不足でこちらに話の意図が伝わらなかったりすると「てんかんだからか?」と気になっていました。一ヶ月に一度、先生に診察をして頂いているのですが「何か気になることはありますか?」と聞かれ、上述の内容を先生にお話したら「お母さん。この子の全てをてんかんのせいにしたらダメだよ」と言われました。はっ!としました。
そこからは覚悟と同時に病気のせいだと思うこともやめました。私は子供を妊娠中、決して優等生な母親ではなくお腹の中の赤ちゃんにかわいそうなことばかりしてきて、一瞬「それのせいか?」と思うこともあるけれど、何のせいにしても今あることを変えることができないので考えることもやめました。病気のこと、病気の原因のこと、今の時代ネットで調べたらいくらでも正しいこと間違ったことが出てくるのは知っているけれど、お医者さんに診て頂いている限りは自分で調べることはやめようと思ってネットでみることもしていません。
そんな中、コンサドーレ札幌という北海道のサッカーチームの選手であったジェイ選手がてんかんの発作で練習中に倒れたという記事を新聞で読みました。イングランド代表であったという選手がコンサドーレにいるの???とその時初めて知ったのですが(道民なのにすみません)、この病気を持っていてもサッカー選手、しかもイングランド代表、そして遠い日本に来てもプレーをし続けられるということを発信しているということに感動しました。
娘にもその話をしました。もしかしたら病気が原因でできないことがあるかもしれないけれど、できることはそれ以上にあるみたいだということ。だってプロのサッカー選手になれて、国の代表にもなれて世界中どこに行ってもプレーできるなんてすごくない????と興奮して話しました。「うんうん、そうだね。あ、今の所見逃した」と言って録画した番組を巻き戻しながら聞いてました・・・・・・。