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「あの胸が岬のように遠かった」 永田 和宏
百人一首を覚えたいなあと思っている。
短歌、俳句、川柳の違いはよくわからん私だけれど
五七五とか五七五七七とかの文字の中に
思いをこめて、しかも景色も歌って、何百年もの後世の人たちに
「はあ・・・・・良い歌♥」って思われる「歌」を作る人すごい♥
語彙力がなさすぎて「すごい」としか言えない自分をびんたしたい。
時々百人一首覚えたい波がやってきて、そのたびに本を読んでは
「いいねえ・・・・」と思う。
ただ漫然と覚えようと思って覚えることもできないだろうなとも思う。
百人一首暗記合宿みたいな、二泊三日ぐらいで行われる合宿があったら、もしそれが素晴らしいリゾートホテル(百人一首なのに泊まる場所がリゾートホテルとか言ってること自体おかしいけど)とかで行われるなら行くかも。
でもなーー合宿ってことは他に人がいるわけだし、団体行動苦手だしな。
しかも百人一首って「争奪戦」なわけだよなあ。
争奪戦って人間の「欲」が丸見えで引くんだよなあ・・・
息子を駅に迎えに行ったとき、迎えの車がずらっと並んでいる。
そうすると「そこに止めたらいかんだろ」って所に止める人が沢山いて、
でも「迎えに来てるんだからしょうがないじゃん」って声が車から出てるように見えて本当に嫌。自分の子供をより近くでお迎えしたい「欲」が
その時間の駅には漂っている。私が「陰のオーラ」とかを見てぶった切れる
陰陽師だったら「切っても切ってもなくならん」って嘆くだろう。
陰陽師ではない私はどうするかというと息子に「歩け。サッカー選手だろ」と言うかちょっと離れたスーパーで買い物をして待つことにした。
地元のお祭りで餅まきがあるのだけれど、その時の皆の「わーーー」って寄っていく様とかがどうにも見ていられない。
だからそのお祭りに行くことが嫌になってしまった。
随分きれい事を言っているのかもしれないけれど、なんていうか
「わーーーっ」ってなった時の、一瞬理性がなくなって「欲しい」って気持ちの塊になった人を見るのがイヤ。自分がそうなるのもイヤ。
で、何を言いたいって、相当遠回りしたけど
百人一首ってそうなるよね?だから向かないかな・・・って言いたかった。
だから百人一首をやりたいのではなく覚えたい。果たしてやらずに覚えられるのか。今ならアプリとかあるかもなー。あとで調べてみよ。
そしてやっと感想。私は「歌人」っていう人にとっても憧れている。
ちなみに「詩人」も好き♥
その「歌人」である永田さんが、亡くなった奥さんである河野裕子さん(同じく歌人)の手紙や日記を見つけて、それについて「裕子はこの時こうやって思ってたんだな。俺はあーでこーで」って書いてある本。でも・・・
そもそも、奥さんとはいえ亡くなった人の手紙とか日記とか出してきて
それを公衆の面前にさらしてもいいものなのかい?
そこら辺の事情はもしかしたら最初の方に書いてあったのかもしれないけれど忘れてしまった。というのも、この本、結局は
彼らの恋愛の「キャッキャ」したところを延々と見せつけられるものだったからだ・・・正直読むのがきつかった。から読むのに時間がかかった。から最初を覚えていない。
なぜ、この本を手に取ったのか。「歌人」という言葉に惹かれたのだと思う。
読み始めたとき、作者の情報を全く入れずに読んでいたのだが
「この人、すごーく頭の良い人なのでは?」と思った。
なんとなく行間に知性が漂っていた。そして作者の情報をみたら
京大出身で細胞生物学者でどこだかの名誉教授とか書いてある。
で、更に歌人。
「なんとなく漂う」とかのレベルじゃなかった、ごめん笑
まあ、でも頭が良かろうが悪かろうが、人間、恋愛してキャッキャしたら
誰しもが同じようなことを考えたりやったりするわけで、
しかも他人のそれを見せつけられるってか読ませられたら引きますよ。
いや、そういう本を選んだのは私なのだけれど。
ところどころに2人の歌も載っていたけれど、いいんだか悪いんだかわからんし、私は百人一首がいいなーと思って、百人一首の本と並行して読んだ。
やっと最後にたどりついたら河野裕子さんの歌集のあとがきが載っていた。
「このようにしか私は生きられなかったのである。略
嘘だってたくさんついた。ひともひっぱたいた。泣いた。けれど私は何がどのようであっても自分に嘘だけはつかずに生きて来た。欲しいと思ったらどんなことがあってもみんな自分のものにしてきた。ほんとうに心をこめてそれを願ったときだけは、不思議にそれは自分のものになったのである。」
この文章を読んだときに初めて「ああ、この本読んでよかった」と思った。
河野裕子さんという人に惚れた夫、という点では作者に共感。
私も惚れるかも。
潔い女性。と考えるとやっぱり自分の日記やら手紙やら読まれるのって
どうかなーとまた振り出しに戻ってしまった。
まあ、よそのご夫婦のことなので口を出す事じゃないんだけれど。