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ズッキーニに全力で愛情を注いだ話
こんにちは、ボクホリです。
この記事は2018年のワーホリ体験談です。
古い記事のデータを一部読みやすく編集し、再投稿しています。
初めてのファームジョブを必死の思いでゲットした後のお話の続きです。
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ズッキーニファームのオーナーWarren(ウォーレン)との出会い
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念願のファームジョブをゲットしました。
やっと、やっとセカンドビザ取得に向けて進み始めた僕でしたが、英語もイマイチでお金もない。
「クビになったらどうしよう」と、ビクビクしながら出勤初日を迎えました。
当日、僕を現場までピックアップしてくれたのは、
めちゃくちゃオージーアクセントのWarren(ウォーレン)でした。
僕は事前にファームジョブの大変さや、悪い情報をネットで見ていました。
なので「仕事の環境はどう?」「大変ですか?」など、聞ける限りのことをウォーレンにききました。
彼は嫌な顔せず、快く僕の質問に応えてくれました。
でも正直、いろいろ教えてくれたのですがよくわかりませんでした...。
広大な仕事現場に到着
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現場に到着すると、作業のことを説明してくれました。
どうやら僕の仕事は、ズッキーニの苗の上に、円状にかかった鉄のワイヤーを引き抜いて、片付ける仕事のようでした。
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現場には、僕の他にも2人ヨーロッパの人が働いていました。
一見すると、誰でもできそうなこの仕事ですが。
実際には、めちゃくちゃハードでした。
何本ものワイヤーを手に持ちながら、果てしないズッキーニ畑を彷徨うのです。
ワイヤーは鉄でできているうえ、深く刺さっていてかなりの長さがあるので、想像よりも一本の重さがあります。
腕はしだいに悲鳴をあげ、手の皮が剥けてきます。
「これがファームジョブか...。」
でも、後には引けない。
僕はクビにされたくない一心で必死に作業をしました。
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初めての給料
1週間ほど必死に続けて、念願の給料を手に入れました。
しかし、最初の給料のほとんどは、Roger(ロジャー)への借金返済で消えていきました。
しかし、生活するには十分な額。
オーストラリアで、初めて自分で稼いだお金でした。
とても嬉しくて、同時に自分が誇らしくもありました。
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借金返済を済ませて、心の重荷もやっと下ろすことができました。
残ったお金では、ビールを買って飲みました。
うまかった、、、体に滲みわたりました!
広大な畑のワイヤーを全て抜き終えると、次は苗の整備がスタート。
収穫まではまだまだ工程がありそうです。
国籍なんて関係ない。尊敬できるボス
ズッキーニの苗の周りには、栄養を与えているため、雑草もよく生えます。
ズッキーニは成長がすごく早いため、実が小さなうちから間引きをしなければ、状態の良いものは収穫できない。
そうウォーレンが教えてくれました。
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何度も言うように僕には後がありませんでした。
僕は英語ができない分、ウォーレンとのコミュニケーションを密に取りました。
わからないことはすぐに聞いてみる。
気になったことは尋ねてみる。
そんな、クビにされたくない必死さがウォーレンに通じたのか、ウォーレンはよくズッキーニ畑のことやオーストラリアのこと、動物のことなど、いろんなことを教えてくれました。
僕が外国人で、英語がわからなくても関係ない。
僕の働きぶりを評価してくれて、きちんと尊敬してくれる。
小さなミスは大きな声で笑って許してくれる。
僕は、ここにこれて本当にラッキーで幸せだ!
なんて思いながら、充実した日々を送っていました。
フィールドには僕とウォーレンだけ…?
でも、ふと気づくとフィールドには僕とウォーレンのふたりだけ...。
僕「ん?ウォーレン。他の人はどうしたの?」
ウォーレン「彼らは毎日は働きたくないんだ。いつも休みが欲しいっていうから、じゃあ来なくて良いよって行ったのさ。」「俺が欲しいのはハードワーカーなんだよ!わかるだろ?」
….それってクビにしたってことやん....!!
突然の解雇を目の当たりにした僕は、さらに気合を入れて働くことにしました。
当時の生活リズム
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しだいに収穫の時期が近づき、僕はファームジョブにさらに集中することにしました。
当時の1日の流れはこんな感じ。
朝4時:ウォーレンがピックアップしてくれる
昼過ぎまで作業:暑くて働けなくなる
帰宅:すぐに晩御飯と翌日の準備
夜8時or9時:就寝
早朝に出勤
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昼には作業終了
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晩御飯は早く済ませて寝る
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ズッキーニの収穫シーズン到来!
生活にも慣れてきた頃、いよいよ収穫の時が来ました。
知らない土地でウォーレンとふたり。
作業を繰り返し、まだズッキーニが花をつけていた頃から、作業に携わっていたので、この瞬間はとても感動的でした。
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ウォーレンからも出来上がったズッキーニに対して、「プライドや愛情」みたいなものを確かに感じました。
ウォーレンのズッキーニは上質で、出荷もすごく丁寧。
おそらく高級ズッキーニだったのだと思います。(メルボルン のレストランなんかに出荷すると言っていました)
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ズッキーニの収穫方法
収穫はトラクターが畑をゆっくりと走り。
実を収穫するピッカーが、それについて歩きながらピッキングしていく、というスタイルでした。
トラクターの横には長いベルトコンベアがついていて、ピッカーが収穫したズッキーニをコンベアの上に置きます。
ズッキーニはコンベアからトラクターの荷台へ流れていき。
大きなバケツ(ビンと呼ぶ)に入るといった仕組みです。
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僕はトラクターの後ろに乗り込み。
流れてくるズッキーニのヘタをナイフできれいにしたり、ズッキーニがぶつかったりすれたりしないようにする役目でした。
僕のほかにはマレーシアのワーカーたちがいて、彼らがピッキングをしていました。
シーズンが進むにつれて収穫量も増え、育ちすぎたズッキーニはまるでバットのような大きさにまでなっていました。
ウォーレンに「ズッキーニがめちゃくちゃでかいよ!」というと「あぁそうだな!多分女の子が好きなサイズだぜ!」なんて、オージー下ネタも炸裂していました。
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ズッキーニのトゲはやばい。
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ちなみに僕もたまにピッキングしたんですが、ズッキーニには鋭いトゲがあり。
このトゲが刺さると指がパンパンに腫れます!(おそらく何かしらの毒素がある)
この腫れは恐ろしく、まともに指がまげられなくなりました。
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「走り出したヤツが違法ワーカーだよ」
現場では、マレーシアのワーカー達とも少しずつ仲が良くなりました。
僕が日本人だというとしきりに
「マリア・オザワ!?」「マリア・オザワ知ってるか!?」と、聞いて来ました。
一体誰なんだろ?って気になって調べてみると、マレーシアで有名なAV女優だそうで、マレーシアのボーイズは大好きなんだそうです。
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マレーシアのワーカーは、みんなすごく気のいい連中で、たまにタバコをくれたり「アリガト」と、日本語で言ってくれたり、すごく明るくフレンドリーな連中でした。
違法ワーカーの見分け方
ある日、マレーシアのワーカーのMick(ミック)に、
「マレーシアの人は何のVISAで滞在しているの?」と聞くと「自分はワーカーのビザを持っているけど、結構VISA無しでいるヤツも多いよ」と...。
そう、不法滞在で出稼ぎに来ている人も、中にはいるそうなんです。
オーストラリアで、働いて稼いだお金を母国に持って帰ったとしたら、かなりの大金です。
彼らにとっては、オーストラリアンドリームなのだとか。
僕はミックに興味本位で、ある質問をしてみました。
僕「でも、どうやってそんなワーカーを見分けるの?」
ミック「簡単だよ!たまに政府の連中が視察に来るんだけどな!」
「そん時に、走って逃げ出した奴は、VISA持ってねぇヤツさ!!」
マジか。
彼らの厳しい世界を知った瞬間でした。
ウォーレンが僕に教えてくれたこと
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ウォーレンはたくさんのことを教えてくれました。
例えば、ズッキーニは受粉させて実を取るのですが、ウォーレンはファームの近くに、受粉用の養蜂の箱も設置していました。(取れたての蜂蜜もいただきました。すげぇ美味かった...)
他にも、外気温が15度以上にならなければ、ズッキーニの花の受粉に必要なハチが動き出さないこと。
蕾ができて花が咲いてから4、5日で収穫にできるようになること。
ズッキーニの出荷までには、クリアしなければいけない基準があり、細胞テストを定期的に行うこと。
ハチは一生のうち、スプーン一杯ぶんの蜂蜜しか集められないことなど。
野菜作りは簡単ではなく気候との駆け引きや、きちんとしたプロセスを踏まないと、けっして質のいいものはできない。
ウォーレンがプロであり、情熱を持って仕事をしていることを知りました。
僕はどんなことでも、あれこれ質問するので
「お前はいつか、ズッキーニ育てるんだろ?」なんてからかわれてましたね。
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ズッキーニの出荷と犬
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収穫のピーク時には、ピッキングしたズッキーニが多すぎて、出荷のお手伝いもしました。
家には3匹のかわいい犬がいて、何度も行くうちに、僕のレッドクリフスでの初めての友達になりました。
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突然のシーズン終了と解雇
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当時は、毎日が充実していて、仕事もウォーレンとの交流も楽しくて仕方がありませんでした。
心の底から幸せを感じていました。
しかし、無情にもある日ウォーレンから電話が入ります。
ウォーレン「ボクホリ...シーズンが終ったんだ。君は本当によくやったよ。素晴らしい仕事だった。」
僕「え!? シーズン終わり!? なんで!?」「フィールドにはまだまだズッキーニあるのに!」
ウォーレン「あぁぁ...マーケットの価格が下がっちゃったんだ。だからこれ以上は取らないんだよ。」
僕「そうなんだ...他にはなんか手伝いできることある?」「何でもいいからウォーレンと働きたいんだけど」
ウォーレン「今んとこないなぁ...畑の片付けはするけど、まだ先なんだよ。ごめんな。」
他のワーカーに挨拶すらできず。突然の解雇でした。
上手くウォーレンに感謝の気持ちすら伝えられないまま、僕のズッキーニの仕事は終わってしまったのです。
残されたセカンドビザまでの日数
オーストラリアで2年目の滞在をするなら、政府指定の地域で88日間のファームジョブをこなす必要があります。
僕はセカンドビザをとれる88日も働いてないし、突然仕事を失いかなり落ち込みました。
でも、ウォーレンが悪いわけではない。
個人で経営していることもあったので、ワーカーをたくさん抱えるのは大変なんだろうな。と正直納得でした。
何よりも、僕自身彼と働けて幸せだったので、後悔はありませんでした。
ウォーレンとはそれっきり会えていません。
でもいつか、ウォーレンのファームには挨拶に行きたいなと、いつも思っています。
そして今度は、あの時の気持ちを少しでも伝えたいと思います。
これが、僕の初ファームでした!
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あとがき
ウォーレンのファームを解雇になったあと。
同じ街にあったバックパッカーへ移り、なんとか次の仕事を見つけました。
その後、セカンドビザ・サードビザと日数を稼いだ僕は、この街に1年以上滞在することになります。
それがMildura(ミルデューラ)です。
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