(チラ裏レビュー)「君たちは今が世界(すべて)/朝比奈あすか」 (小説 2021年)
※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:「君たちは今が世界(すべて)/朝比奈あすか」 (小説 2021年)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/4041111528
評価:★5(★★★★★)
まず、タイトルが良い。良すぎる。小学校〜高校くらいまでの子供は、ほんとうに「今、この瞬間が全て」「このクラスでの居場所がなくなったら世界の終わり」という感覚で毎日を必死に生きている。だから、悩みのない子供なんていない。みんな先生や親や友達の些細な言動を敏感に察知して喜んだり傷ついたり…それらの経験を毎日積み重ねて生きていく。
この作品には正義感の強い「いい子」も出てくれば問題児も出てくるが、みんながみんな自分なりに身の回りで起きたことを受け止めて毎日を必死に生きているのだということが、作者の巧みな内的心理描写によって描き出されるので、問題児も含めてみんな尊いと思える!
本作は全4章+エピローグ+特別編の構成で、それぞれの章で6年3組の誰かひとりの主観で物語が綴られる。そして、そのそれぞれの章で何か事件や変化が起きたところでその章の物語はブツッと終わる。
この構成もとても良いと思う。いろいろな葛藤があって問題を起こしてしまう子供の内的な心理にこそドラマがあるのであって、物語を最後まで描いてしまうと、分かりきった大人のお説教を見るハメになるだろうから。
大人になるということは、周りの人とうまくやっていく術を身につけるということで、確かに周りの人と傷つけたり傷つけられたりすることは劇的に少なくなっていくのだけど、代わりに人生からものすごい勢いで色彩が失われていくように思う。
この作品の中の子どもたちも大人に近づくにつれて矯正され、周りの人とうまくやっていく「普通の大人」になってしまうのだろうと想像すると、なんか残念にも感じてしまうのだ。
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