(チラ裏レビュー) さよならもいわずに/上野顕太郎 (漫画 2010年)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:さよならもいわずに/上野顕太郎 (漫画 2010年)
評価:★3(★★★☆☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/4047266027

 Amazonがサジェストしてきて、表紙の風景画が素敵だったのと、内容に興味を持ったので買って読んでみた。本書は、作者の妻が病気で突然死した実際の出来事を描く。

一応最後まで読んだが、最後まで面白さも感動もなかった。「妻が突然死して、途轍もなく悲しい」という気持ちを描こうとしているのはわかる。けど、全然伝わってこない。

妻が突然死した日から葬式を挙げる出来事を描きながら、たまに妻との思い出が差し込まれるという形式なのだが、描かれる妻の表情がいつも暗いし、描かれる思い出の量も少ない。2人の間にあったはずの愛が全然読者に伝わってこない。悲しさや喪失感を表現するために顔や風景を歪ませる描写を多用して、ただただ悲しい、悲しい、と連呼するばかり。もっと読者に伝わる表現はできないのか?

今まで当たり前にあったものがいきなり喪失したから悲しいわけでしょう。その気持ちを表現したいのなら、妻がいない、いない、いない、と描くのではなくて、昨日までずーっと一緒にいた妻がいない、という風に「いた→いない」という対比を丁寧にたくさん描くべきなんじゃないの。

奥さんは喘息とうつ病で苦しんでいたということなんだけど、奥さんとの生活の描写がほとんどないため、”最後の11年”を奥さんがどう生きたのかを読者は知る由もない。そのくせ、「キホちゃん(奥さんの名前)、本当に幸せだったのか?」などと言ってくる。読者は完全に置いてけぼりだ。

正直にいうと、私は2人の間に本当に愛があったのかどうか疑わしく思っている。277ページも使って奥さんのことを描いている割には、奥さんに対する愛情が全然滲み出てきていない。奥さんのおっぱいが好きという描写はあったが…。愛情とは逆に、奥さんが暗い表情でいつも家の中にいるだけの存在という描かれ方をしていた印象ばかりが残る。喘息とうつ病でずっと闘病していた奥さんのことを疎ましく思っていたのではないか。妻が倒れた日、居間を出る時に見た奥さんの”最後の表情”というのが見開きドアップで描かれているのだが、その気味の悪いこと…。なんなんだこの作品は。呪われている?

私はこの作者(上野顕太郎)のギャグ漫画の単行本を1冊(「夜は千の眼を持つ」)だけKindleセールの時に購入して持っているのだが、つまらなすぎて最後まで読めずに放置している。ただただ作画に無駄な手間を掛けるというのが売りの漫画家で、漫画通(?)の間では評価が高かったりするようだが、手間が掛かっていてもつまらないものはつまらない。それでも、私に漫画の審美眼がないのかもしれないと思っていたのだが、本作を読んで決めた。私はもうこの作者の漫画は読まない。

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