受難節の学び
*華陽教会のオリーブ会とヒラソルの会で共有した受難節(レント)の学びです。キリストが十字架につけられるまでの最後の一週間「受難週」の歩みを振り返るときに用いていただければ嬉しいです。
受難節/レント/四旬節
受難節とは、キリストの受けられた苦しみと十字架の死を思い起こし、自らの罪を悔い改めて、キリストの復活を記念する、イースターの準備を行う40日間のことです(日曜日は、キリストの復活を記念して礼拝する日のため、日曜日を除く40日間を意味します。日曜日を含めると、受難節は46日間です)。典礼色は、悔い改めを表す紫を使います。
イースターに受洗者を迎えることを目指して、この時期に「受洗勉強会」や「受洗準備会」を定期的に行っている教会もあります。イエス様が受けられた苦しみを思い起こすため、レントの期間、お酒やお菓子など、何かを我慢する人もいれば、ボランティアや奉仕作業など、積極的に地域へ仕える人もいます。
教会も、派手な装飾を控えて、静かにイエス様が歩んだ道のりを思い起こし、礼拝の最初に、光と命の象徴である6本の蝋燭から、毎週1本ずつ炎を消して、祈りを合わせたりもします。イースターには、これまで消してきた6本の蝋燭と、7本目の蝋燭を立てて火を灯し、キリストの復活をお祝いします。
灰の水曜日
灰の水曜日は、受難節が始まる水曜日です。前年の「棕櫚の主日」に使用された棕櫚の枝(もしくはソテツかヤシの枝)を集めて燃やし、その灰を額に塗って、悔い改めと回心を表す儀式を行うことから、この名前がついています。「灰を被る」は悔い改めの象徴です。
受難週
受難週は、キリストがエルサレムに入城してから十字架につけられるまでの最後の一週間を思い起こす期間です。この週に、全ての装飾を取って片付ける教会もあります。
棕櫚の主日/パームサンデー
棕櫚の主日は、受難週が始まる日曜日です。キリストが十字架につけられる一週間前、人々がエルサレムに入城したイエス様を「ホサナ!」と叫んで出迎え、棕櫚の枝を振って歓迎したことから「棕櫚の主日」と呼ばれています。「ホサナ」は「主よ、お救いください」の意味でしたが、救い主を歓迎する意味に転じて「ばんざい!」のような意味になりました。
教会によっては、子どもたちが棕櫚の葉(もしくはソテツかヤシの葉)を振って、礼拝堂に入堂し、講壇に飾って、みんなでイエス様をエルサレムに迎えたことを思い起こしたりします。その日使った棕櫚の葉は、翌年まで取っておいて、カラカラに乾かし、灰の水曜日に燃やして使うこともあります。
洗足木曜日/聖木曜日
洗足木曜日は、キリストが十字架につけられる前、食卓で弟子たちの足を洗ったことを記念する木曜日です。イエス様が亡くなる前に、弟子たちと共にした「最後の晩餐」を記念する日でもあります。教会によっては、実際に足を洗う「洗足式」を行ったり、最後の晩餐を記念して、一つのパンを割いて分ける「聖餐式」を行ったります。
受苦日/受難日/聖金曜日
キリストが十字架につけられて亡くなった日を思い起こす金曜日です。この日に、イエス様が十字架につけられるまでの一週間を思い起こして、順番に聖書を読んでいく「受難日礼拝」を行う教会もあります。なお、受難週の礼拝や集会で「罪の告白」を行うこともありますが、個々人の罪を人前で暴露させる式にならないよう、通常は式文を使います。
聖土曜日
聖土曜日は、受難節最終日の土曜日です。日没の夕方までは、何もしない教会が多いですが、キリスト教では一日が夕方から始まるので、土曜日の夕方から、キリストの復活を記念するイースターの礼拝を行っている教会もあります。
復活日/復活祭/イースター
イースターは、神の子イエス・キリストの復活を記念する日曜日です。受難節の間、準備をしていた受洗希望者の洗礼式や聖餐式を行うことが多いです。礼拝後に、教会墓苑へ出かけて、墓前礼拝を行うこともあります。子どもたちとイエス様の復活を祝うために、エッグハントをしたり、綺麗に装飾したイースターエッグを配ったりもします。
受難週に読まれる聖書箇所
受難節の始まりには、キリストが悪魔から誘惑を受けるシーン(マタイ4:1〜11、マルコ1:12〜13、ルカ4:1〜13)から読まれることが多いです。最後の一週間の受難週には、下記のような聖書箇所が選ばれて、順番に読みながら、キリストの受難を覚えます。
○第一日(日曜日)「エルサレム入城」(棕櫚の主日/パームサンデー)
マタイ 21:1-11
マルコ 11:1-11
ルカ 19:28-44
ヨハネ 12:12-19
○第二日(月曜日) 「神殿を清める」(宮清め)
マタイ 21:12-17
マルコ 11:15-19
ルカ 19:45-48
ヨハネ2:13〜22
○第三日(火曜日) 「神殿での宣教と論争」……権威についての問答〜
マタイ 21:23-27
マルコ 11:27-33
ルカ 20:1-8
ヨハネ 12:36b-43
○第四日(水曜日) 「香油を注がれる・イエスを殺す計画」(香油の日)
マタイ 26:6-16
マルコ 14:1〜11
ルカ22:1〜6
ヨハネ12:1〜8
○第五日(木曜日) 「弟子の足を洗う」(洗足木曜日/聖木曜日)
ヨハネ 13:1-20
「最後の晩餐・ゲッセマネの祈り」
マタイ 26:17-56
マルコ 14:12-52
ルカ 22:7-53
(ヨハネ12:27〜36)
○第六日(金曜日) 「十字架にかかる」(聖金曜日/受苦日/受難日)
マタイ 26:57-27:56
マルコ 14:53-15:47
ルカ 22:54-23:49
ヨハネ 18:12-19:37
○第七日(土曜日) 「墓の中」(聖土曜日)
マタイ 27:57-66
マルコ15:42-47
ルカ23:50-56
ヨハネ19:38-42
○第八日(日曜日) 「復活する」(復活日/イースター)
マタイ 28:1-15
マルコ 16:1-13
ルカ 24:1-49
ヨハネ 20:1-23
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