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異世界魔王ライフ。第二章。第二話。エーベ村と勇者。
(前回までのあらすじ)
女神に、無理やり異世界に飛ばされた夏刻(ナツトキ)
お供の守護獣(ペンギン)と一緒に、
旅を、する事になった。
…………法教国家、道中…………
……ココは、ドコなんだ??
異世界らしいけど、よく分からん。
とりあえず私は、周りを見渡すと、
大きな街が、ある事に気付いた。
夏刻「行ってみるか……。」
守護獣「ペンペーン!!」
ペンギンって、こんな鳴き声だったっけ?
名前は……。確か、モコナ。だったかな。
ペンギンって、何食うんだろ?小魚かな?
でも、旅をしてて、簡単に魚って手に入るのか?
……などと、
ペンギンについて、あれこれ考えてたら、
街に着いた。
…………エーベ村。入口。…………
夏刻「ここが、最初の街か……。」
街は、結構賑やかで、日傘に帽子に、
マントやハイヒールを付けてる人が居て、
オシャレな街だな。って思った。
でもなぁ……。
夏刻「……何か、臭くないか?」
なんていうか、排泄物の臭い。らしきものが、
空気中から、漂って来る。
よく見ると道路に、う〇こっぽい物体まである。
どうなってんだ。こりゃあ。
と、下を見ながら考えてると、
バシャーン!!
上から、何か降ってきた。
幸い、私には当たらなかったけど、
ペンギンは、モロに受けた。
夏刻「大丈夫か?……って、クサッ!!」
臭いは、まさしく、さっきの臭いと同じ。
原因は、コレだったのか。
街の人には、これが日常なのだろう。
日傘やマントで防御して、去っていった。
そういえば、聞いた事がある。
中世ヨーロッパでは、排泄物から身を守る為に、
日傘や帽子、マントやハイヒールを使ったって。
そして、臭い対策が、香水だったかな。確か。
?「旅の方かしら?災難だったねぇ。」
街の優しい人が、声をかけてくれた。
夏刻「すみません。
この街に来たのが、初めてで……。
私は大丈夫ですが、ペットが……。」
街の人「あらあら。ずいぶん汚れたわね。
それなら、露天風呂に入ると良いわ。」
と、街の人から、
露天風呂がある宿屋を、紹介してもらった。
夏刻「色々と、ありがとうございました。」
私は、お礼を言うと、
教わった道を頼りに、宿屋に向かった。
…………エーベ村。ねこまんま亭。…………
なんというか、老舗の宿屋っぽい所に着いた。
敷居が、高そうだなぁ……。
でも、ペンギンが臭いのが、耐えきれない。
私は、意を決して、入っていった。
夏刻「すみませ~ん。誰か、居ますか~。」
すると、奥の方から、店員らしき人が来た。
店員「ねこまんま亭に、ようこそ!!
日帰り入浴ですか?宿泊ですか?」
若い女の人っぽい店員が、答えた。
夏刻「あの……。さっき、レディって人から、
ココに、露天風呂があるから、入ってきな。
って聞いて、来たんですけど……。」
店員「なるほどね〜。分かったわ。
露天風呂に、入って行きなよ!!」
夏刻「ありがとうございます。」
店員「その前に、ひとつ、聞いていいかしら?」
夏刻「……?なんですか?」
店員「私とレディ。どっちが魅力的だと思う?」
夏刻「うーん。どちらも、魅力的ですけど、
私の好みで言うなら、貴方の方が魅力的です。」
店員「よっしゃー!ざまぁレディ!勝った!!
あなた、合格よ。おめでとう!!」
夏刻「……?ありがとうございます??」
何が合格なんだろ?まぁ、喜んでるから良いか。
店員「露天風呂は、この奥よ。
行ってらっしゃい。(ウキウキニヤニヤ)」
夏刻「あ、ペンギンも入浴可能ですか?」
店員「レディが言ってたんだから、
多分大丈夫よ。一緒に入って良いよ。」
夏刻「ありがとうございます!!」
そう言うと、
私とペンギンは、露天風呂へ向かった。
…………ねこまんま亭。露天風呂。…………
なかなか広い露天風呂だ。
既に何人かが、入浴していた。
客1「ふぅ……。この露天風呂は、毎回最高だな。」
客2「そうじゃのう……。
風呂上がりのフルーツ牛乳も、最高じゃのぅ。
キール様。」
客1「分かるわ~。
さすがシグマ。抜かりが無いな。」
客2「そうじゃろ、そうじゃろ。
フォッフォッフォ。」
楽しそうな会話してるなぁ。
私も風呂上がりに、
フルーツ牛乳が、飲みたくなってきた。
守護獣「ペンペ~ン♡♡」
ペンギンも、お風呂に入れるんだな。
幸せそうな顔してるわ。多分。
さて、ゆったり入って、フルーツ牛乳飲んで、
腹も減ったから、この宿屋で、飯もアリだな。
ゆっくりしようかな。うんうん。
…………ねこまんま亭。客間。…………
この宿屋は、最高だな。
露天風呂、フルーツ牛乳、飯。
どれも良かった。
それに、店員さん……。
名前は、アルファって言ってたけど、
優しいし、良い人だわ。
そして、ここを紹介してくれた、
レディさんにも、感謝だわ。
本当に、人の縁って、大事だよなぁ……。
何か、お礼が出来ないかなぁ……。
私の特殊能力も、使ってみたいし……。
そういえば、汚水を、道路に捨ててたよな。
アレが無くなれば、もっと良い街になるな。
夏刻「……よし、いっちょ、やってみるか!!
長期戦覚悟で、やーってやるぜ!照れるなぁ。」
こうして、私は、街で頑張った。
粘り強く、一軒一軒を訪ね渡り、
特殊能力「スイッチジョブ」で、
下水のプロになって、
街を少しずつ、良くしていった。
コレって、凄く大事な事で、
キツイ、汚い、給料が安い仕事をしてる人が居るから、今の綺麗な生活を維持出来てる。
だから、馬鹿にしたり、
偏見や差別をしては、いけない。
むしろ「ありがとう」の精神が必要なんだろう。
って、私は思ってる。
勇者がやる仕事じゃないって思った人がいたら、
「申し訳ないけど、コレも、人助けなんだわ。」
って、笑顔で返すわ。
適材適所。
腕っぷしが強い奴が、戦闘するのと、
魔力が高い人が、魔法を使うのは、
私の「スイッチジョブ」で、人助けするのと、
同じなんだよね。
他人の為に「スイッチジョブ」を使う事って、
そういう意味なんかなって、勝手に思ってる。
だから頑張れる。だから笑顔になれる。
それが、生き甲斐。なんじゃないかな?
知らんけど。
こうした地道な活動は、
次第に、街を良くしていき、
協力者も増え、クチコミで広がり、
長い年月をかけ、
ようやく街は、綺麗になった。
夏刻「ふぅ……。やっと、終わったか……。」
アルファ「お疲れ様。夏刻。」
夏刻「ありがとう。アルファ。」
私の仕事以外は、
ねこまんま亭に、お世話になっていたので、
自然と、店員さん……。
いや、アルファと、仲良くなっていた。
アルファ「これから、どうするの?」
夏刻「そうだなぁ……。」
私は、しばらく考えたあと、
夏刻「また、人助けにでも、行くかなぁ……。
だって、私は、勇者だからな。」
第二章。第二話 終 制作・著作 ━━━ きぃえぁ