外伝。3話。異世界魔王転生ライフ。俺がマネージャーになった話。
(前回までのあらすじ)
俺は、キール。(以下俺)
前世は、異世界魔王を、やっていた。
色々あって、(外伝、1、2話参照)
一条院ヒカル先生(以下先生)の、
マネージャーとなって、
先生の部屋で、快気祝い(?)をして、
先生のバイクで、俺ん家に、帰ってきたんだ。
よく考えると、先生の仕事を、よく考えずに、
俺は、マネージャーを、引き受けてしまったな。
あと、性別な。女性差別はしないけど、
一応、知っておかないと。
下手すると、セクハラ発言に、なるからな。
非常に、重要だな。(´-ω-)ウム
そんな俺に、いつも通りの、朝が、やってきた。
…………キールの家。俺の寝室。…………
俺『うーん、太陽が眩しい……。
俺は、いつ、爆睡してたのか、分からんな。』
俺は、昨日の、嵐の様な1日を過ごし、
モヤモヤした気持ちで、寝床についたら、
ドッと、疲れが出て、いつの間にか、
グッスリと、寝てしまったようだ。
俺『色々あったからなぁ。(外伝。2話参照)
仕方ないか。シャワーでも、浴びよ。』
俺は、眠気を取り、スッキリする為に、
浴室のシャワーを浴びた。
俺『もしかして、昨日あった事は、全てが夢で、
俺の、妄想が、独り歩きしたのかもなぁ……。』
言われてみれば、話しが、出来すぎてる。
万年フリーターが、夢みた、だけなんだな。
よし、もう一眠りしよう。
そして、全てを忘れるんだ!!
俺は、パンツ一枚で、浴室から出た。
俺『(〃´o`)フゥ…さっぱりした……。』
先生「キール!!迎えに来たよ……。」
俺の家に、二人の、無言の時間が流れた。
俺のハダカ姿を、先生に見られた!!
先生は、無言で、
玄関の外に出て、玄関の扉を閉めた。
ちょ……。今のは、俺が、悪いのか!?
どう見ても、不可抗力(ふかこうりょく)だろ!?
不意打ちだろ!?あんな状況で!!
とりあえず、昨日の事は、
夢じゃないって確信して、
急いで服を着て、先生の所に、向かった。
…………ボロボロ荘。先生の部屋。…………
先生「そりゃあ、ハダカを見た事は、謝ります。
ですが、私は、ちゃんとチャイムを鳴らして、
入って行ったから、不可抗力です。」
俺『だけど、何も無言で、
帰ることは、無いんじゃ無いか?』
先生「それは、あなたのプライベートですし、
あの時は、何て言ったら分からないから、
引き返しただけです。」
って事は、先生は女性なのか?
でも、普通なら、悲鳴なり、なんなりするよな?
俺『なぁ、先生。』
先生「なによ?」
俺『前から思ってたんだが、先生は、
男性なのか?それとも、女性なのか?』
俺の、この言葉に、しばらく沈黙の時間が流れ。
先生「言いたくない。」
って言った。
俺『なんでだよ!……って言いたいけど、
なんか理由があんだろ?
無理して、言わなくていいよ。』
俺は、続けて言った。
俺『まぁ、先生は、小説家だしな。
誰にでも、人には言えない事の、
ひとつやふたつは、あるもんだ。
性別うんぬんで、差別する気は無いし。
女性でも、男性でも、同じように扱うぜ。俺は』
何か、言えない事情でも、あるのだろう。
聞かぬが仏(ほとけ)だな。ウンウン。
先生「それじゃあ、
キールの、人に話せない事を、言ってよ。
その答え次第で、私も、答えるから。」
俺は、別に、言っても良いけど……。
俺『俺の話しか……。
……信じて貰えるか、分からないけど、
俺は、前世で、異世界魔王を、やってたんだよ。』
先生「……は?いきなり何言ってんの?。」
先生は、目を丸くした。
俺『……だろうな。俺が、
前に、言えなかった話しって、この事なんだよ。』
俺は、元々、いじめられっ子だった事。
カルマが溜まって、異世界魔王をした事。
その時の、仲間との冒険の日々と。
そして、カルマを返済して、戻ってきた事。
その全てを、先生に話した。
先生「……にわかには、信じられないけど、
その、まっすぐな目は、嘘をついてないね。
大変な人生だったのね。キールは。」
俺『ありがとう。
これを話したのは、先生が、最初で良かったよ。
小説のネタにでも、使ってくれよ。』
先生「……いや。止めておく。
キールの人生は、私には、重すぎるわ。
黙っておくよ。」
俺『……そっか。』
俺は、どっちでも、良かったんだかな……。
先生「……キールが、そこまで話すなら、
私も話すよ。……性別の事をね。」
先生は、言葉を、振り絞って言った。
俺『別に、無理して、言わなくて良いよ。
俺が、言いたかったから、言っただけだし。』
先生「優しいな。キール。さっき言っただろ?
キールの話し次第で、教えるとな。
私の性別は……。」
俺『性別は……。』
先生「……両方だよ。」
俺『……は?』
先生「だから、両方だよ。
男のヤツも、女のヤツも持ってるのよ。
今、ハダカになって、見せるか?」
先生は、服を、脱ぎ出し始めた。
俺は、慌てて止めて、
俺『それだけは止めろ。女性でもあるんだろ?
それなら見ない。今の言葉を、信じるよ。』
先生は、服を脱ぐのを止めて、
先生「……私を、差別しないのか?」
と、俺に、聞いてきた。
俺『する訳が無いだろ。俺は、一条院ヒカルを、
一人の人間として、見てるからな。
それが、男性だろうと、女性だろうと、
最初から、差別してないよ。俺は。』
俺は、素直に答えた。
先生「そんな事を言われたのは、初めてだ。
たいがいの人間なら、差別の眼差しで見る。
だが、キールには、それが無い。
私の見る目は、やっぱり、間違って無かったな。」
先生は、笑顔になった。
俺『にわかに信じられない事は、俺達一緒だな。』
俺は、笑った。
先生「確かにな。これで、スッキリしたよ。」
俺達は、笑った。
お互い、腹の底から笑った。
俺『安心しろ。先生の事は、誰にも言わないよ。』
先生「それは、こっちのセリフだよ(笑)」
互いに、稀有(けう)な存在。だったんだな。
これは、運命の女神の、巡り合わせか?
さすがに、この展開は、俺には読めなかったぜ。
俺『だから、
男とも、女とも、見える、格好をしてたのか。』
先生「これは、私の趣味だよ(笑)
女性っぽくしても、男性っぽくしても、
どちらも、似合わないからなぁ。」
いわゆる、中性的なファッションか。
だから、分からなかったのか。
俺『でも、普段は、どう、扱えばいいんだ?』
俺は、質問した。
先生「うーん。今まで通りで、大丈夫だよ。」
俺達だけなら、それでも良いが……。
俺『……って、言われてもなぁ、
売れたら、表舞台に、出る様に、なるだろう?』
人前で、どうするか?だよなぁ。
先生「その時は、キールが出てよ。
そのための、マネージャーなんだし。」
なるほどね。理解した。
俺『先生の影武者も、兼ねてたのか。
抜け目ないな。一条院ヒカル先生は。』
俺は、皮肉っぽく言った。
先生「性別まで、話すとは、思わなかったけど。
でも、キールなら、問題無さそうだし。」
つまり、俺に、全てを任せる。って事か。
俺『……だな。他の人に、任せるぐらいなら、
自分でやった方が、早いからなぁ。』
その方が、俺が、手っ取り早いからな。
先生「と、言うわけで、改めて、よろしくね。
キール、マネージャー。」
先生は、握手を求めた。
俺『よろしくな。一条院ヒカル先生。』
俺は、それに応(こた)えて、握手をした。
先生「あ、そうだ。
私の小説家名は、一条院ヒカルじゃなくて、
きぃえぁよ。キールマネージャー。」
俺『分かったよ。
俺が、きぃえぁ先生を、売り出して、日本一の、
いや、世界一の、小説家にしてみせるよ!!』
俺は、ガッツポーズをした。
先生「お手柔らかに、お願いしますね(笑)」
先生も、控えめな、ガッツポーズをした。
……こうして、不思議な二人が、
日本を、そして、世界を相手に、
小説家道を、進んでいくのであった。
外伝。3話。終 制作・著作 ━━━━━ きぃえぁ