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異世界魔王ライフ、第4話。法教国家のエーべ村

(前回までのあらすじ)

女神の陰謀(?)で、異世界魔王転生した俺。

魔王城で、幹部達を無理矢理説得し、
アルファ(以下α)ベータ(以下β)を連れて、
最初の村エーべに到着した、魔王様御一行。
の、はずだったんだが……

………………法教国家、エーべ村………………

α「到着~。」

β「着いたみたいです。魔王様……。
いえ、キール様」

キール(以下俺)『ここがエーべ村か……
ん?俺の聞き違いだったら済まないんだけど、
「法教国家」のエーべ村で合ってるんだよな?』

α「間違いないわ!何よ!!
私の転送魔法にケチ付ける気!」

俺『法教国家って、国家の中で一番栄えてて、
資金力がある所だって、聞いたんだけど……
(3話参照)』

β「その通りでございます。キール様。」

俺『おかしいな?俺の見間違えか??
明らかに、寂れてる村にしか見えないんだが……』

なんか聞いてた話しと違う!
一言で表すならば、
そこには、人1人も通って無い
雑草が生い茂る村が、目の前に広がってたんだ。
そもそも村として、機能してるのか?ここは?

α「間違いなく、エーべ村よ。
確かに以前来た時よりも、活気が無いわね~?」

猫「ニャーニャーニャー。」
β「|・ω・`)フムフム、なるほどなるほど。」

俺『何してんだ?ベータ?』

α「ベータはね、今、猫ちゃんと会話してるわ。」

俺『はぁ?とうとう、頭でもイカれたのか?』

α「そうじゃないわよ。失礼ね。
ベータは魔界唯一の、
動物との会話が出来る特殊能力を持ってるのよ」

俺『何その能力!俺も欲しい!!』

α「あのねぇ……。この能力は、一年中毎日、
動物達の会話が聞こえて来るのよ。
私なら遠慮しとくわ。
それこそ、頭がおかしくなるから。」

俺『それは確かに嫌だな。便利ではあるけど。』

とか何とか、ベータの話しで盛り上がってると。
本人が戻って来た。

β「ただいま戻りました。キール様。
2人で、何の話しをしてたんですか?」

α「な、なんでもないわよ。
それよりも、この村の状況。分かったの?」

俺『この村で、なんかあったのか!?
人さらいか?徴兵か?重税による衰退か?
それとも、山賊やモンスターの襲来か!!』

村のピンチなのか!
それじゃあ、早速助けないとな!!

β「いえ、そういう事ではありません。
非常に言いにくいんですが……」

β「……ただの限界集落です。
ってか、ほぼ消滅集落です」

全部、 違うんかい_(┐「ε:)_ズコー

α「なるほどね~。
そりゃあ、活気が無いのは当たり前か~。」

俺『2人で納得してるけど、限界集落って何?』

α「そんな事も分からないの?
ベータ、教えてあげて。」

β「限界集落とは、
65歳以上の人口が半数以上の集落で、
若い働き手が少ない集落の事を言います。
そして、消滅集落とは、
集落自体に人が居ないって事です。」

俺『って事は、
エーベ村には、1人も居ないって事?』

β「それは違います。
ほぼ消滅集落なので、
わずかながらですが、人は居ます。
さっきの猫には、飼い主が居ましたから。」

猫「ニャー。」

α「あっ。さっきの猫ちゃんだ。」

β「私についてきて、と猫が言ってます」

俺『ついてってみるか。行くアテも無いし。』

こうして俺達は、雑草だらけの道を、
猫ちゃんの道案内で進んで行った。

………………エーベ村の民家………………

猫「ニャー。ニャー。」

β「どうやら着いたみたいですね」

俺『そのようだな。』

目の前には、古ぼけてはいたけど、
しっかり手入れされた民家があった。

猫「ニャー。ニャーニャーニャー。」

そう言うと、猫は、敷地内に入っていった。

β「家主を呼んでくる。と言ってました。」

俺『待つかー。』

α「そうね。
かなり村の奥まで来たから、
帰るにも帰れないしね。」

しばらくすると、家主らしき老人が出てきた。

老人「あら?ウチのボロンゴちゃんが、
魚を咥えて行ったから、
追いかけてみたら、珍しく客人が居たのね。」

あの猫、ボロンゴって言うのか。
もうちょっと、可愛い名前に出来なかったのか?
まぁ、人のセンスなんて、十人十色だからな。

老人(以下店主)「いらっしゃい。ウチは宿屋よ。
泊まって行くかい?大した料理は出せないけど」

俺『せっかくだから、泊まっていくよ。
みんなも、それで良いよなぁ?』

α「いーわよー。」

β「同じく」

俺『んじゃ、3人で。』

店主「ありがとうねぇー。
こんな田舎で泊まってくれるなんて。
何年ぶりかしらねー。
今、晩御飯の準備するから、
先にお風呂に入ってらっしゃい( ´ ▽ ` )ノ」

俺『そうするよ。みんなで風呂入ろうぜ!』

α「あ……私は遠慮するわ。
先に2人でお風呂入って。」

俺『なんでだよ~?一緒に入ろうぜ(* 'ᵕ' )☆』

β「キール様、キール様。|・ω・`)コッショリ」

俺『なんだよベータ?』

β「アルファ殿は、
性別上では、女性で御座います。」

俺『そうなの!?知らなかった( ̄▽ ̄;)』

β「ですので、
私達だけ先にお風呂に入りましょう。」

俺『そうするかー。
んじゃ、アルファ、風呂行ってくるねー。』

α「行ってら(^ω^ )/’
私はその間に、暇つぶしでもしてるわ(*´ ³ `)ノ」

さて、お風呂お風呂っと……
楽しみだな~。


………………宿屋、猫まんま亭の室内………………

α「ねぇー。店主さ~ん。
暇つぶしに、何か手伝える事あるかしら?」

店主「アラアラ。
お客様なんだから、
ゆっくりしていけば良いのに。」

α「何もする事が無くて暇なのよ。
なんでも手伝うから言って。」

店主「そうかいそうかい。
んじゃ、この肉を切って頂戴。」

α「任せといて!!」

パパパパパパパパパパパッッッ!!

店主「あら、上手いわね。
どこかで料理を習ってたのかい?」

α「これは魔王城の……いやいや、
街の酒場で、料理を少々……」

店主「なるほど。上手い訳だわね。
失礼だけど、アンタ達を見てると、
孫みたいに思えてねぇー。
ごめんね~。こんな、お婆さんに言われて。」

α「そんな事無いです!孫だと思って良いですよ」

店主「ありがとうねー。
そうね。孫だと思って、今日は奮発するわよ~」

α「やったー。ありがとう、おばあちゃん」


………………猫まんま亭、露天風呂………………

一方その頃、満点の星空の元。
露天風呂にゆっくり浸かる、俺とベータ。

俺『なぁ、ベータ。』

β「はい。キール様。」

俺『お前、なんか、いつも堅苦しいな。』

β「そうでしょうか?気のせいです。」

俺『気のせいか……
なんか風呂に入ってたら、
どーでもいいや。って気分にならないか?』

β「分かります。その気持ち。」

俺『そういえば、
アルファを1人にしても、大丈夫だったのか?』

β「多分、大丈夫でしょう。
ああ見えて、優しい奴なんですよ。アルファは」

俺『そうは見えなかったんだけどなぁ……』

β「キール様は、
人を見る目が、まだまだって事ですな( ˇωˇ )」

俺『そりゃあ、転生してから日が浅いからなぁ』

β「キール様、
そろそろお風呂から出ましょうか。」

俺『そうするかー。さっぱりしたー。』

………………猫まんま亭、室内………………

店主「アルファちゃん、ありがとうねぇー。
お陰で、沢山料理が出来たわ~。」

α「こちらこそありがとうねぇー。
おばあちゃんと仲良くなれたわ。
しかも、こんなに料理が大量に。いいの?」

店主「良いのよ良いのよ。
普段は私1人だけだから、材料は余ってるのよ。」

α「本当にありがとうねぇー。」

店主「ヾノ≧∀≦)イエイエ!こちらこそ。」

そこに、俺とベータが合流した。

俺『(〃´o`)フゥ…さっぱりした(*´・ω・`)=3』

β「良い風呂であった。」

α「あ、おかえり(。・Д・。)ノ
晩御飯、出来てるわよ~。」

店主「沢山お食べ。おかわりもあるわよ。」

目の前には、美味そうな料理が沢山並んでる。

俺『え?コレ、3人分以上ありますよね?』

店主「そうよ!!若いんだから、沢山食べて。」

α「あ、コレ、私が作ったの。」

店主「アルファちゃんにも、
手伝って貰えたからね。」

α「そうなのよ。
暇で死にそうだったから、手伝っちゃった☆」

異世界での初めての人助けは、
まさか、アルファに取られるなんて……
複雑な気持ちだな。

店主「冷めないうちに召し上がれ!!」

俺、α、β「いただきま~す。」

こうして俺達は、沢山飯を食って、
アルファも店主と、露天風呂に行って、
店主と沢山の、お話しをして、
気がついたら、みんなで雑魚寝していた……


………………猫まんま亭、翌日………………

β「おはようございます。キール様」

朝は、そんな野郎の言葉で、目が覚めた。

俺『ん……もう朝か。あれ?アルファは?』

β「店主と一緒に、
朝ごはんの準備をしています」

俺『お前ら、起きるの早いな。』

β「通常通りですが?何か問題でも?」

俺『……いや、俺が悪かった。それよりベータ。』

β「はい。なんでしょう?」

俺『あのな……(ゴニョニョ)』
ベータに耳打ちした。ある作戦の決行の為に。

β「|・ω・`)フムフム……妙案ですね。やりましょう。」

俺『よし。んじゃ、外出るか。』

β「了解」

…………猫まんま亭の外………………

俺『ベータ。準備は良いか( 'ω')?』

β「モチのロンで御座います。」

俺『じゃあ、始めるか。手加減は無しだぞ!』

β「了解。さぁ、いざ参る!!」

俺『行くぞ!!チートスキル魔法。「ものまね師」』

β「召喚魔法。動物襲来!!」

俺、β「ウオオオオアアアア\( 'ω')/アアアアアッッッッ!!!!!」


…………1時間後、猫まんま亭の外…………

俺『(〃´o`)フゥ…疲れた~!』

β「完璧で御座います。キール様。」

俺『そうか、我ながら良く出来たな。』

β「どうですか•́ω•̀)?もし良かったら、
この技を習得されては?」

俺『遠慮しとくわ。ベータに一任するよ。』

などと話ししてると、アルファが来た。

α「みんな~。朝ごはんよ~。
アレ?え?ちょっと、おばあちゃ~ん。
外見て、外!!」

店主「どうしたんだい……
え?もしかして、
コレを、全部、あなた達がやったのかい•́ω•̀)?」

俺『俺とベータでな。』

β「御意(`-´)ゞ」

何をしてたのかと言うと……

街中の草むしりをしただけ。

勿論、魔法などの危ない物は使わずに。だ。

以前、ベータが動物と会話出来てたのを
思い出し、
ベータの動物召喚&動物との会話を、
チートスキル「ものまね師」で真似した。

後は、
動物達が雑草を取ったり食べたりするだけ。
動物達への報酬は、
昨晩に食い切れなかった残り物で手を打った。

んで、二手に別れて流れ作業。
1時間で、雑草除去を完了したって訳。

店主「本当にすごいわねぇー。
これで歩きやすくなったわ。ありがとう。」

俺『ヾノ≧∀≦)イエイエ!
お礼なら、ベータに言って。』

β「いやいや、まさか私の動物の会話スキルを、
こういう風に活用するとは思いませんでした。
キール様のお陰です。」

α「二人ともエラい!!それで良いじゃん。」

店主「そうね。あなた方に出会えた事。
女神様に感謝するわ。ありがとう。」

こうして、店主に感謝され、
朝飯を食べに行った俺達。
次は、何しようかな~。

…………追伸…………

俺『そういえば……カルマはどうなった( 'ω')?
こんだけやれば、結構減っただろ……え?
どういう事だ!減ってないじゃないか!!
アイツ(女神)にウソ付かれた!!』

女神「……失礼な。ウソは付いてませんよ。」

俺『良い事すれば、
カルマが減るんじゃ無かったのかよ!!』

女神「その通りです。
ただ、あなたは、1つだけ見落としてます。
それは……」


女神「人の褌(ふんどし)で相撲を取るって言葉、
知ってますか?
あなたの力では無くて、ベータの力があって、
初めて良い行いが出来たのです。
だからカウントしません。
と言う事で、頑張ってねぇー。」

俺『それって、絶対に後付けだろ!
だったら早く言えよ~~!!クソ女神!!』




第4話 終 制作・著作  ━━━━━    きぃえぁ


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