異世界魔王ライフ。第26話。外伝。ベータとミニマム族。
(ここまでのあらすじ)
女神の陰謀で、異世界転生魔王になった俺。
そんな俺が、怪我で、負傷していた時に、
ベータ(以下β)達が、話してくれた、
不思議な話だった……。
…………魔王城。医務室。…………
俺達は、ベッドで、休息をしていた。
キール(以下俺)『暇だなぁ……。』
アルファ(以下α)「そうねぇ……。暇だわ。
ベータ、何か、話しを聞かせてよ。」
β「話し、ですか?……でしたら、
私の小さかった頃の、話しをしましょうか?。」
俺『頼むよ。暇で、死にそうなんだ。』
β「……分かりました。
あれは、今日みたいな、満月の日でした……。」
β「私は、小さい頃から、
人との、コミュニケーションが苦手で、
いつも、ひとりぼっちでした。」
β「その日も、周りと人と、会話が合わず、
いつも通り、ひとりで、読書をしていました。」
β「ふと、本を読むのを止めて、
目の前をみると、蜘蛛の巣に、
見たことがない生き物が、引っかかってました。」
β「本当なら、食物連鎖なので、
見て見ぬふりを、するのですが、
私の、知的好奇心が、勝ってしまい、
私は、その生き物を、助けました。」
β「すると、その生き物は、何も言わずに、
飛び去って行きました。
それと、蜘蛛さんにも、謝りました。
私は、代わりの物として、
最高級の、人工疑似餌をあげたら、
蜘蛛さんは、許してくれました。」
β「あの生き物は、なんだったんだろう?
私は、調べましたが、
一向に、答えが、分かりませんでした。」
β「調べる事にも、限界が、あるのか……。
私は、調べる事を、諦めました。」
β「でも、どうか、最後に、ひと目だけでも、
会わせて欲しい。お願いします!!
って、神様に、お願いをしました。」
β「すると、願いが通じたのか、偶然なのか、
見たこと無かった生き物の、群れが、
私の所に、来て下さったのです。」
β「それは美しく、まるで、夜空に流れる、
流星群みたいでした。
そして、その生き物のひとりが、
私に、声をかけました。」
β「あなたが、
蜘蛛の巣に捕まった、仲間を、助けたのですか?
って、
群れのリーダーみたいな人が、言ったんだ。」
β「仲間だが何だか、分かりませんが、
確かに、蜘蛛の巣から、助けましたよ。
それだけですよ?悪い事は、していませんよ?
と、私は、言ったんだよ。」
β「そしたら、
我らは、ミニマム族。善良な方にしか見えない、
絶滅種族なのです。
あなたには、私達が、見えている。
ぜひ、我が国に、来ませんか?
って、言われたんだよ。」
β「あなた達の国って、どこなんですか?
と、私は聞いたんだ。」
β「それは、答えられません。
この世界は、悪しき心を、持つ者が多すぎる。
私達は、これから、違う世界に、旅立つのです。
と、答えたんだ。」
β「つまり、今日を逃すと、
一生、会えなくなるのか?と聞いた。」
β「おそらく、そうです。今日は、旅立ちの日。
二度と、会えなくなるでしょう。
って、言ってきたんだ。」
β「私は迷った。
現実世界で、ひとりぼっちの私は、
必要とされる所に、行くべきなのか?と。」
β「しかし、私は、
ケーニック家の長男、エムドラだ。
騎士国家では、名の通った家系で。
騎士には、なれない身体だけど、
いつかは、騎士国家を、支える立場になる。
私のワガママで、ケーニック家の血筋を、
絶つ事など、許されるはずも無い。」
β「そんな、私の苦悩に、彼らは答えた。
心優しき者よ。
最後に、あなたに、出会えて良かった。
そんなあなたに、私の力を、さずけましょう。
そして、魔王城に行きなさい。
きっと、あなたの願いを、
導いてくれる人と、出会うでしょう。」
β「そう言うと、光の群れは、消えていった。」
β「私の……願い?
家柄を、守る事か……?
友達を、作る事か……?
悪しき世界を良くして、
また、帰ってきて貰えるように、する事か……?
私は、ずっと、悩んでいたんだ。」
β「すると、私は、今まで、聞こえて無かった、
動物達の声が、聞こえるようになっていた。」
β「ある者は、雑談してたり、
ある者は、生き抜く為に、頑張ってたり、
ある者は、自由に、生きていたり、
ある者は、疲れて、寝ていたり。
それはまるで、動物も、人間と同じで、
沢山の、苦労をしていた事に、気づいたんだ。」
β「これは、他の人にも、教えないと。
と思い、両親に話したんだ。」
β「しかし、頭が、おかしくなったと思われて、
両親に、
病院に、連れていかれて、入院させられたんだ。」
β「当然、病気では無いので、
すぐに、退院出来たのだが、
私は、精神がおかしくなったと、風の噂が流れ、
騎士国家に、私の居場所が、無くなっていた。」
β「……そして、私は、
気がついたら、魔王城にいたんだ。」
β「そこで、シグマや、ガンマ。そして、
まだ幼かった、アルファにも出会ったんだよ。」
β「私の力は、特殊能力って事。
他のみんなも、私とは違う形で、
特殊能力を、持ってる事。
魔王城では、特殊能力を持ってるとか関係なく、
接してくれる事。
近々、異世界から、魔王様がやって来る事。
全てを、シグマから、聞いたんだよ。」
β「私は、人々から、悪しき心が無くなり、
また、ミニマム族が、戻って来るように。
そして、
魔王様に、悪しき心が、生まれない様に、
私が、汚れ役をしよう。と、心に誓ったんだ。
でも、結局キール様には、その心配は無かった。
んですがね(笑)」
俺『悪かったな、魔王なのに、悪人じゃなくて。(笑)』
α「それが、キール様の、良い所ですよ(笑)」
β「そうですよ。誇りに、思って下さい(笑)」
俺『話しの途中で、邪魔して、すまなかったな。
続きを、聞かせてくれ。』
β「これで終わりですが?何か?」
俺『_(┐「ε:)_ズコー』
α「……今の話しで、思い出したんだけど、
私も、ミニマム族に合った事が、あるかも。」
?「俺様も、あるぜ。ミニマム族にな。」
俺、α、β「その声は、ガンマ!!(以下γ)」
γ「悪い悪い。別に、立ち聞きするつもりは、
無かったんだが、
話しを、途中で、止めたくなかったんでな。」
β「盗み聞きとは、趣味が悪いですよ。ガンマ。」
γ「まぁまぁ、そう言うなって。
俺も、ベータと、同じような理由で、
弁護士を辞めて、魔王城に、来たんだからな。」
俺「それ、本当か!?ガンマ。」
γ「この場で、ウソついて、どうするんだよ(笑)
……あれは、雪が降ってた、寒い日の事だった。」
γ「俺は、法廷の、準備の為に、
寒い中、外回りをしてたんだよ。」
γ「そしたらよ、野犬に襲われてる、
ミニマム族と、出会ってな。助けてやったんだ。」
γ「すると、ミニマム族から、
特殊能力を授かって、
こんな事を、予言してたんだよ。」
γ「あなたは、
いつか、弁護士界では、伝説の人になるだろう。
弁護士活動が終わったら、魔王城に行きなさい。
そこには、あなたの力を必要とし、
あなたの手助けしてくれる、
仲間が、いるでしょう。
正義の心を持つ者よ。私は、待っています。
世の中が、正しき心の世界になる、その日まで。
……ってな。」
γ「その時は、信じられなかったが、
まさか、繋がってたとは、思って無かったぜ。」
α「待って!私も、言われた記憶が、あるわ。」
α「……強き心を持つ少女よ。
あなたは、いつか、孤独の身になるでしょう。
でも、
魔王軍が、そんなあなたを、助けるでしょう。
そして、あなたは、魔王の両手となり、
みんなを助ければ、
あなたの願いは、近いうちに、叶うでしょう。
世界が、弱き者を救い、清らかになる、時に。」
α「……まだ幼かった私には、
意味は、分からなかったけど、
今なら、分かる気がするわ。」
γ「なるほどな。これで、
俺らの特殊能力が、似てる理由が、分かったぜ。」
α「ミニマム族が、絡んでる。からね。」
β「これは、運命のイタズラなのか、
それとも、必然だったのか……。」
俺「全ては、神のみぞ知る。か。
……後で、聞いてみるか。」
こうして、ミニマム族と、三人の、
不思議な話しは、終わった……。
…………追伸…………
俺『……なぁ、レディ。』
女神『何よ?改まって。』
俺『ミニマム族。って、知ってるか?』
女神『知らないわ。』
俺『そうなのか。
てっきり、お前の差し金だと、思ったんだがな。』
女神『私なら、
そんな事をしないで、直接言うわよ。』
俺『だろうな。めんどくさいの苦手そうだしな。』
女神『なんかそれ、私に、失礼じゃない?
ってか、それ多分、ミニマム族じゃなくて、
未確認生命体よ。きっと。』
俺『未確認生命体?って、
UFOとか、UMAとか言われてるヤツの事か?』
女神『そうよ。今回のミニマム族は、
人間に好意的で、去っていったから、
良い方の、未確認生命体ね。』
俺『悪い方の、未確認生命体もいるのか?』
女神『当たり前よ。てか、そっちの方が多いわ。』
俺『ソイツらは、どうするんだ?』
女神『その時は、私の力で、やっつけてるわよ?
これも、仕事だし。まだ、世界には、
未確認生命体と、闘える力は、無いからね。』
俺『へー。大変なんだな。神様の仕事って。』
女神『だから、私を、ゴキブリ扱いしないで、
私を、崇(あが)め、讃(たた)えなさいよ!!』
俺『それは、無理。(キッパリ)』
女神『なんでよ~!!キールのケチンボ!!』
本編26話外伝。終 制作・著作 ━━━ きぃえぁ