「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~ Next Stage」最終バージョンアップの報を受けて。
通称アケフェスまたはスクフェスAC。誕生日のお祝いと死の宣告が同時になされることもあるんだなという話です。μ'sやAqoursが廃校の可能性を突きつけられた感覚を疑似体験できました(したくなかった)。
「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours ONLINE LoveLive! ~LOST WORLD~」のお知らせで、スマートフォンのリズムゲームをアーケードに展開したスクフェスACのPlayStation(PS)4版の制作が発表されました。アーケードではないのでこちらはアケフェスとは呼べません。
世がPS5の抽選で騒ぐ昨今にPS4なの? と思ったりしつつ、そもそもPS4を持っておらず、アーケード版で満足している私としては「通信でアカウント連携とかされるのかなぁ」「プレイヤーの裾野が広がるといいなぁ」くらいで半ば他人事でした。
それから約2週間後のお知らせがこちらです。
他人事じゃねぇ……!
「4周年ありがとう」と「最終バージョンアップ」と「好評稼働中」が私の中でケンカして飲み込むのに少々時間が掛かかりました。要するにゲームの目玉である楽曲と衣装の追加を、本日2020年11月10日をもって終了するという決定がなされたようです。スマホゲームとの連携も切れます。バージョンアップを終了するというだけでサービス終了とは一言も書かれていませんが、変わり映えしない内容で延々と続くとも思いませんので、4周年ありがとうキャンペーンで大きな花火を打ち上げながら、PS4版にバトンを渡す準備をしながら、終了に向かっていくのかなと想像します。
先輩であるスマホゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(スクフェス)」や後輩であるスマホゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(スクスタ)」と比べたとき、私がスクフェスACの魅力と考えているのは以下の2点です。
・指先のプレイだけでは叶わない大胆なアクションと複雑な譜面。
スマホに向かってポチポチするわけではなく、筐体に向かって右に左にバンバン(すると壊れるので程々に)叩けるのはアーケードならではで、スクフェスとまったく同じ「リズムに合わせて9ヶ所に降ってくるアイコンをシャンシャンする」という基本コンセプトでありながらまったく異なるプレイ体験を提供してくれました。スクフェスでは右指ひとつ、左指ひとつが基本で、右側を左指、左側を右指で捌く必要性はほとんどありません。一方でアケフェスは右側4つ同時押しや、2つホールドしながら2つトリルなど、スクフェスでは物理的に難しい譜面で遊ぶことができます(スクフェスにはないボタンを使って最大6つを駆使するモードも存在します)。いやぁ懐かしいなぁ。「スクフェスそこそこフルコン出来てるし楽勝やろ」と初めてアケフェスを触って見事に撃沈したあの頃が。
・ライブシーンを自分の好きなタイミングでスクリーンショットするプロフィールカードの印刷。
配信当初は3Dモデルが踊ってくれることも魅力のひとつでした。単純にそれだけであれば今ならスクスタで間に合ってしまいます。しかし差別化要素はしっかりあって、好きな楽曲を、好きなキャラクターで、好きな衣装でプレイできるところはそのままに、キャラクター配置を変えられない代わりに、好きなステージで、好きなカメラワークやステージ演出でプレイすることができるのです。加えて好きなタイミングでシャッターを切り、プロフィールカード(プロカ)と呼ばれる物理カードを印刷することができます。
これは私のお気に入り。プロカにはその名の通り、名前をはじめ、称号、店舗、日付、難易度およびスコアランク、フルコンボやオールパーフェクトなども刻まれることから、唯一無二の名刺的な要素があります。私は主にフルコンボ記念にプロカを刷っていました。納得の1枚を撮るのはなかなか難しく、だからこそうまく撮れたときの達成感はひとしおです。上記は惜しくもフルコンボを逃していますが、フルコンボで同じ画角で撮り直せと言われてもたぶん無理です。この要素はなかなか沼が深く、他のゲームでもうまく展開すればそれなりのビジネスに繋がるのではないかと思っています。
……で、私が魅力的であると考えるこの2点をPS4版で体験できるのかと言えば残念ながら多分できないのです。先の動画を見るとアイコンの数は6ヶ所に減っていますし、大胆なプレイ体験を再現するための専用コントローラーが出ることもないでしょう。プロカが印刷できるとも思えないので、せいぜいスクリーンショットをアップロードできるかもしれないくらいでしょう。同じスクフェスACといえど私にとってはまったくの別ゲーム。「新しい高校でもスクールアイドルやればいいじゃない!」と言われても初期衝動としては「違う! そうじゃない!」となるわけです。
そこで私は気がつきます。なるほど、これは廃校の可能性を突きつけられたスクールアイドルたちの感覚に近しいのではないか、と。アーケードだからこそゲームセンターで知り合った仲間がいます。通っていたからこそ行きつけになったカレー屋さんがあります。ゲームセンターで開催されていたイベントにも何度か参加しました。イベント参加を賭けた現地抽選に漏れて何しに来たんだ私はと思いながらとぼとぼ帰ったこともありました。言わば私は数年間、アケフェスをやるためにそれなりのリソースを投入して通学していたのです。最終アップデートの知らせを聞いたとき、真っ先に思い浮かんだのは「もうゲームセンターに行かなくなるんだろうな」とか「あの人に会うことはほとんどなくなるんだろうな」とか「あのカレー屋に行くことはほとんどなくなるんだろうな」とか不思議とゲーム以外のことでした。ゲームができなくなってしまうことよりもゲームセンターに通う目的がなくなってしまうことに深い悲しみを覚えたのです。
告知された時点で最終アップデートを覆すことはできないでしょう。お便りと同じく、消費者サイドが手を打つならば、もっと前から打つべきでした。廃校救うことはできなかったのか。もっとアケフェスの魅力を発信して多くの人を巻き込むことはできなかったのか。思うところはありますが、振り返る暇なんてないと感じているので、僕らは今の中で、限られた時間を楽しむ方向に切り替えたいと思います。まだサービス終了するとは一言も書かれていないんですけどね!
余談
最終アップデートの内容詳細が発表されました。最終っぽさを微塵も感じない告知と内容だけれどホントのホントのホントのホントに最後の曲なんですか??