チンチロは丁度よい確率で撮れ高を生み出すサイコロゲー
みなさん、チンチロをご存知ですか?
中には「あぁ、半か丁かのヤツ」と思った方もいるでしょう。惜しい! それは丁半博打。2個のサイコロを使って合計値が偶数か奇数か当てるゲームです。確かにチンチロもサイコロは使いますが違います。チンチロことチンチロリンは、ドンブリの中に3個のサイコロを振って、出た目の組み合わせで勝負するゲームです。
霜降り明星の粗品さんが後輩芸人3人とこのチンチロを遊んでいるYoutube動画が人気らしく、なんと武道館でリアルイベントまで開催されたとか。4人のおじさんがやんや言いながらどんぶりに向かってサイコロ振るだけの行為で武道館に人を呼べるものなのか!?
その様子が公式で公開されていると知った私は、チンチロのルールもよく知らないまま動画を見てみることにしました。
たぶん私がTRPGを経験してきたというのもあるのでしょう。人々がサイコロの出目に翻弄される姿がめちゃくちゃ面白い。TRPGのようなトレーラーやハンドアウトこそないものの、そこには確かにリアルタイムで展開される人間ドラマがありました。その出目だったからこそ紡がれた物語がありました。
チンチロのルールを知らなくても楽しめまずが、ルールを知っておいたほうがキャストや観客のリアクションの意図はわかりやすいと思うのでざっくり以下にまとめました。
粗品さんの動画のチンチロルール
・1人の親を決めます。
・3人の子がチップ(ソシー)を賭けます。
・賭けソシーが少ない子から順にサイコロを振ります。最後に親がサイコロを振ります。
・出目に応じてそれぞれ勝敗を決めます。同点なら親の勝ちです。
・親と子の間で勝敗に応じてソシーが動きます。
・全員が親をやったらひと段落です。
サイコロの勝敗は以下の通り。
・基本は3つのサイコロのうち、目が被らなかったサイコロの目がその人の出目になります。例えば(1, 1, 6)ならロクですし、(6, 6, 1)ならイチになります。出目の数字を比べて高い方が勝ちです。
・(4, 5, 6)はシゴロと呼ばれ、2倍のソシーを獲得できます。ロクより強いです。一方で(1, 2, 3)は負け役でヒフミと呼ばれ、2倍のソシーを支払わなければなりません。最弱です。
・2から6のゾロ目は数字に関わらずアラシと呼ばれ、3倍のソシーが獲得できます。シゴロより強いです。1ゾロはピンゾロと呼ばれ、5倍のソシーが獲得できます。アラシより強いです。
・それら以外は目なしです。イチより弱いです。目なしである限り3回まで振り直すことができます。
ついでなので確率を求めてみましょう。1回で出目が決まる場合、1回目は目なしで2回目に出目が決まる場合、1回目と2回目が目なしで3回目に出目が決まる場合、最後まで目なしの場合があるので、そのあたりに注意しながら計算を。サイコロがどんぶりから飛び出る場外負けは考慮に入れないものとします。
ピンゾロ:7/864
アラシ:35/864
シゴロ:42/864
イチ〜ロク:105/864
目なし:108/864
ヒフミ:42/864
こんな感じになりました。
目なしで終わってしまうのは12.5%でだいたい何かしら出るんだなとか、イチやロクのような普通の出目の確率(105/864)より何らかの役が飛び出す確率(126/864)の方が高いんだなとか、数字で可視化することでわかることもあります。
チンチロで主に盛り上がるのは役が出たときとロクが出たときです。そのどれかになる確率は231/864になります。なんと25%以上。4人でチンチロを遊ぶとそれぞれが1回ずつサイコロを振る間に撮れ高ポイントがあってもおかしくないことになります。
なるほど、丁度いいテンポで、しかしランダムで、面白さの波が襲ってくるわけです。加えてそれらの結果をプロの芸人がうまいこと調理することで、チンチロが見事にエンターテイメントとして昇華されています。2024年11月には横浜アリーナでチンチロをするそうです。動画を見て興味を持たれた方は覗いてみてもいいのではないでしょうか。
最後に注意を。お金を賭けたチンチロはダメ、絶対。
余談
最初は5万ソシーあたりから始まるのですが、取られて足りなくなると舞台裏に走って補充したりするので、だんだんと原資が増えていきます。取り戻そうとするために大きく賭けて大きく負けたり、人間がどのようにしてギャンブルで死んでいくのかがよくわかる動画にもなっています。