「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」がダイブいい感じ~彼はどうRe:RISEするのか~
「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」がめちゃくちゃ面白くなってきたのでご興味とご都合あえばいかがですかという話です。以下、「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」の20話までのネタバレ(に含まれるシリーズ作品のネタバレも含む)を含みますので、内容を知りたくない方は回れ右をしていただければと思います。
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いや私ガンダム詳しくないんで……。
とそれだけで回れ右するのはちょっと待ってください。本作はダンダムのプラモデル=ガンプラを題材にしているので、ガンダムの知識があればより楽しめることは間違いありません。しかし! ストーリーの本質はどちらかといえば異世界冒険譚! ガンダムを知らない人が本作からガンプラに興味を持つことも狙って作られているのでガンダムを知らなくても十分に楽しめます。
「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」は「ガンダムビルドシリーズ」の最新作です。過去作である「ガンダムビルドファイターズ」や「ガンダムビルドファイターズトライ」で「自分で作ったガンプラを自分で操りバトルをする」「ガンプラの作り込みが強さに反映される」という少年の夢とロマンの詰まったコンセプトが確立され、刷新された「ガンダムビルドダイバーズ」でバトルだけではなく、大規模多人数型オンラインで仮想世界そのものを楽しむコンセプトが新規導入されました。その続編にあたります。
主人公の名前はヒロト。なんだかワケありで孤独な傭兵プレイを続ける腕の立つプレイヤーです。お調子者で誰も付いてきてくれず孤独なカザミと、初心者かつ人見知りで孤独なパルと、やっぱりワケありで孤独なメイを加えた4人がひょんな事から仮想世界の隠しミッションに挑戦し、チームを結成するところから物語は始まります。
チーム名はBUILD DiVERS。それは前作の主人公らが結成し、ある出来事から伝説的なチームとなったビルドダイバーズと音は同じでも異なる存在。第1話終盤にヒロトが放ったセリフは、
「オレが……ビルドダイバーズ……」
でした。
バラバラだった4人がチームとして結束力をあげ、それぞれが孤独な理由と向き合い、それぞれがRE: RISE――再起しながらミッションをクリアしていきます。クリアしているつもりになっています。彼らは仮想世界の隠しミッションに挑戦しているつもりですが、実は舞台は仮想世界ではなく、異世界ながらも現実世界なのです。視聴者側にはかなり序盤でこの仕掛けがわかるようになっているので「彼らはいつどうやって気がつくんだ……」とハラハラしながら見守ることになります。いつどうやって気がついたのかは是非その目で確かめてください。
ところでワケありな主人公のワケはこれまで明らかになっていませんでした。回想シーンにたびたび登場する金髪碧眼美少女ヒロインが大きく関与しているらしいことは示唆されていたのですが、詳細は語られないままでした。それが明らかとなったのが過去編に相当する19話、20話。この段階では心を開いて仲間に語れるくらいの信頼関係が築けているということです。成長したね……!
ヒロインの正体は仮想世界の余剰データから生まれた電子生命体、通称「EL(える)ダイバー」でした。実は仲間のひとりであるメイの正体もELダイバーです。今でこそ共存が可能となっていますが、かつて偶発的に誕生したELダイバーは仮想世界のバグの温床であり、ELダイバーを消滅させてでも修正パッチで世界を救うか否かの大規模バトルが行われていました。
「私を、消してほしいの」
ヒロトは大規模バトルが決着する前に、バグの蓄積により自らを制御できなくなったヒロインを目の前で失ってしまいます。仮想世界で彼女のデータの残滓を探索することが、ヒロトがひとりで傭兵として仮想世界を巡っている理由だったのです。
前作のヒロインもELダイバーでした。ここまでくるとお気づきの方もいるかもしれません。ELダイバーを消滅させてでも修正パッチで世界を救うか否かの大規模バトルを制し、ELダイバーも世界も救って伝説となったのが、まさに前作の主人公であり、彼の属するビルドダイバーズです。
ようやく明らかとなった過去。ようやく明らかとなった主人公同士の対比。美しく、そして残酷すぎやしませんか。共にELダイバーのヒロインと世界を天秤にかけさせられ、かたや世界とヒロインのどちらも救って伝説となった前作の主人公。かたやヒロインを救えず、前作の主人公と対峙する側に属する名もなき一般兵。似たような境遇に置かれながら、主人公になれた男となれなかった男。
ようやく第1話終盤にヒロトが放ったセリフの真意がわかります。
「(ヒロインを救えなかった、救うことを選択できなかった)オレが……(ヒロインも世界も救った)ビルドダイバーズ……」
重い。重過ぎる。
ここから最終話に向けて一体何がヒロトを待ち受けているのでしょうか。
何かしらの形で金髪碧眼美少女は再登場することでしょう。しかしそこに優しい選択肢は用意されず、再び何かと天秤にかけさせられるのではないかと思っています。それは世界かもしれません。それは同じくELダイバーであり、最近めきめきとヒロインの頭角を現してきたメイかもしれません。両方かもしれません。
このときヒロトは何を選択するのか。金髪碧眼美少女と世界を救うだけでは前作と展開がさほど変わりません。差別化を考慮しつつ、カタルシスが得られる展開のひとつは、過去である金髪碧眼美少女を乗り越え、世界やメイを、現在や未来を選択することです。それがヒロトのRe:RISEになるのではないでしょうか。
……いやまぁこれはただ私の好みの展開を垂れ流したに過ぎないのですけれど。どんな形であれ今後の展開が楽しみです。
2020年7月現在、公式チャンネルで全話無料配信されていますので今からでも最終話リアルタイムに間に合います。4連休のお供に「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」いかがでしょうか。
余談
現実世界にヒロトの幼馴染みヒロインがいるものの、上記程度の紹介では記載する必要がないほど存在が希薄です。ここから逆転する勝ち筋を描くとしたら……彼女も天秤にかけるしかありませんね(悪い顔)。