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資格の選び方、取得のメリットと注意点を解説

資格とは

資格とは、特定の分野における一定の知識・スキルを証明するもので、下記に分類される。

  • 国家資格

  • 民間資格

  • 公的資格

(1)資格の役割

資格には、第三者に対し、一定の知識・スキル・専門性を証明するでなく、法律に基づく特定業務を行うため、必要な権限を付与されるものがある。

このような資格を「業務独占資格」と呼び、資格がなければ当該業務を行うことはできない。
例えば、医師、弁護士、税理士、建築士等がこれに該当する。

また、社内における評価基準として用いられる事もある。

このため、転職活動時には自分の強みとして優位にはたらき、実務経験が少ない場合でも採用に繋がる可能性がある。

内面的なことを言えば、資格取得を通し、自分の努力を目で見える形として残せるメリットがあり、合格証や免許が自己肯定感を高める効果をもつこともあろうし、資格学習を通し、自分の得意分野を把握できれば、その後のキャリア形成に良い影響を与えることは言うまでもない。

(2)資格の意義

資格の意義を考えると、個人・社会にとってさまざまな場面で重要な役割を担っていることがわかる。

例えば、医師や看護師は患者の命を預かる立場にあり、資格によりその責任を付与されることにより、資格保持者はその役割を果たす義務、社会に対する責任を負うことになる。

弁護士や建築士の場合、資格がなければ特定業務を行う事ができない一方で、業務のクオリティを担保し、業界内での競争を適切に保つよう調整・運用されている。
これらの資格は、社会に提供するサービスの質を一定以上に保ち、消費者・依頼者の利益を守るという意義をもつ。

資格者が自分の専門性を通じ、社会貢献の機会を提供することは、資格者自身の存在意義を感じられるという意義もあるだろう。

資格で得られると勘違いしがちなもの

  • すぐに仕事が見つかる

  • 高収入をもたらす

  • 他者からの信頼・評価の向上

  • 全ての問題解決

勘違いが起きる原因

資格取得に関する勘違いが起きる要因について、いくつか考える。

(1)資格に対する過度な広告・期待

資格取得を目指す人をターゲットとする予備校やセミナーの場合、取得のメリットを強調し、取得後の実態を誇張気味に発することがある。
このような広告等を見聞きしたターゲットは、「資格さえあれば道は拓ける」と誤認することとなる。

また、受講生の成功事例を前面にプッシュする戦略をとることも多く、こうした事例が多数派との誤認させることもある。
現実に成功している人の多くは、資格取得以外の分野でも努力している場合がほとんどだが、こういった部分がフォーカスされることは少ないことが、勘違いに拍車をかけるのかもしれない。

(2)資格者=即戦力と考える

資格を取得するには、適切な努力量が必要である。
試験の突破はそれまでの努力が報われた瞬間でもあり、「これだけ頑張ったのだから、結果に繋がるはず」との思考を招きやすい側面もある。

資格学習を通して学んだことが実務に直結することを期待し、又は、悪意なくそう信じる人もいて、実際の現場で手も足も出ず立ち尽くす人もいる。

要するに、試験の合格と、現場で求められる適格性は完全に別個独立であることに気づかないのである。

(3)社会的な評価に対する誤認

資格者に対し、社会的な評価・信頼感を寄せる人は少なくない。

例えば、フリーターやアフィリエイターは信頼されづらいのに対し、医師、弁護士などの資格者というだけで高評価を得られる傾向にある。

こうした文化的背景から、「資格を取れば容易に評価を得られる」と認識することもあるだろう。

(4)会心の一撃を期待

悩みがある場合、何かを変えることで現状が好転するかもしれないと期待し、資格取得に目を向けることがある。

この場合、資格取得により劇的な変化が望めるとの期待値が異常な高まりを見せることがあり、取得後の現実に対し、考えが甘くなることも原因の1つだろう。

(5)情報の偏り

SNS等を通し、資格に関する情報を容易に手に入れられるようになった。

しかし、こうした媒体では成功体験に偏りを見せ、不合格者や取得後に活用し切れていない人の声は埋もれがちである。

その結果、資格取得へのハードルは低く、その後の現実を正しく理解することが難しくなり、誤解を助長しているのだと推察する。

資格の限界

資格には多くのメリットがある一方、いくつかの限界がある。

  1. 知識・技術の陳腐化

  2. 理想と現実のギャップ

  3. 資格乱立による価値の低下

  4. 資格維持のコスト・労力

  5. 資格への依存

(1)知識・技術の陳腐化

特定の資格について、取得時の知識・技術が時間の経過と共に古くなることがある。

例えば、ITや医療の分野における成長・発展は目覚ましく、資格取得時の内容がすぐに時代遅れとなる。

そのため、資格取得に安心するのではなく、継続的な学習とスキルアップが求められることと、資格が最新の知識・技術を完全に証明するツールではないことに注意する必要がある。

(2)理想と現実のギャップ

資格取得により、仕事の幅が広がる、転職市場での価値増加等のケースは認められるが、必ずしもキャリアアップや増収に直結するわけではない。
特に、社会経験が浅い人や転職者の中には、「資格さえあれば」と考える人も多いが、資格は単に応募条件の一部でしかなく、採用にはコミュニケーション能力や応用力、適応力等が求められるものである。

資格があること自体が決定打になるケースが稀であることを重々理解し、資格取得後の行動・姿勢に注意するのが望ましい。

(3)資格乱立による価値の低下

近年、多くの資格が登場し、同分野において類似の資格が乱立している。
このような状況下では、資格ごとの価値・信頼性が曖昧となり、どの資格が本当に有用なのかを判断することが困難である。

また、多くの人が同じ資格を取得している場合、その資格自体が優位性を生み出すことはない。

このため、より高い専門性や実務経験を優先するしかなく、資格だけでは何かと「不十分」との判断を下されることになる。

(4)資格維持のコスト・労力

一部の資格について、定期的な更新を要する。
これに伴い、講習を受ける、実務経験を証明する等の手間が生じる場合がある。

こうした負担が資格維持そのものを難しくすることもあるため、取得前に維持にかかる費用・労力を総合的に判断する必要がある。

(5)資格への依存

資格への依存心が強い場合、他の分野や新たな技術・方法に対し、柔軟な対応が難しくなるリスクを負う。

特に、資格取得に長い時間や多大な労力をかけた人ほど固執する傾向が強く、専門性だけでなく、柔軟な思考が求められる現代においての生存が厳しいといえる。

また、自分のアピールポイントが資格しかない場合、個性や独自の視点をもつことができず、他の資格者との差別化が困難となる。

資格はあくまで「道具ツール」であることに留意し、これを使い、どのような価値を提供できるかを考えることが求められる。

資格取得により本当に得られるもの

資格取得により得られるものは多岐にわたるが、下記に一般的なものを挙げる。

  1. 専門知識・技術の習得

  2. キャリアの幅が広がる

  3. 信頼性、社会的な信用向上

  4. 自己肯定感と達成感

  5. 転職、独立における強み

(1)専門知識・技術の習得

資格学習において、基本から応用まで幅広い範囲をカバーする必要があり、自ずと特定分野に関する理解を深めることに繋がる。
これにより、実務において即戦力として活かせる知識・スキルの習得、業務全体の質を高める効果が期待できる。

また、単に知識を問うだけでなく、実務上の技術・スキルを重視する資格試験もある。

こうした技術の習得は、実際の業務において自信を持って取り組むための基盤となるだろう。

(2)キャリアの幅が広がる

資格は、採用担当者に対し、応募者の専門性・知識レベルを証明する有力な手段となる。特に、業界や職種により、特定の資格を持つことが採用の必須条件となることもあり、資格取得が当該分野への就職・転職の可能性を高めることになる。

また、新たな職種・役職に挑戦できるようになり、キャリアの選択肢が広がる。

例えば、管理職・専門職への昇進に必要な資格を取得することで、これまでと異なるポジションに挑戦する機会に繋がるだろう。

(3)信頼性、社会的信用の向上

資格は、特定分野での一定の専門知識・技術を持つことを証明するものだ。

このため、資格の保有が業界内や職場における評価に直結し、信頼を得やすくなる場合がある。

例えば、医療や法律、建築などの専門性が求められる分野において、資格者がいることで顧客・クライアントからの信頼を得やすく、業務の依頼が増える可能性がある。

(4)自己肯定感と達成感

資格試験に合格するには、一定の努力・時間を要する。

その過程において、目標達成による自身獲得、自己肯定感向上が期待できるほか、対外的には学び続ける姿勢を示すことができるため、企業・クライアントから高評価を得られることもある。

自己成長の証明ツールとして、資格は「努力の結果」を形にする一つの手段となるわけだ。

(5)転職、独立における強み

資格の取得を通し、これまで関わらなかった分野に挑戦する足掛かりとなる。

例えば、異業種への転職を検討する際、その分野の基礎知識を持っていることを資格で証明できれば、未経験でも挑戦しやすいだろう。

また、フリーランスとして独立する際には、経験に代わるアピールポイントとして活用できる。独立直後は外部に示すことができる実績がなく、客観的な証拠として機能する資格が効果を発揮するのである。

資格の選び方

資格を選ぶ際は、自分の興味や目標に基づき、市場のニーズ、資格の内容を調査した上、将来性・認知度を考慮して選ぶといいだろう。

  1. 自己分析

  2. 市場調査

  3. 資格の内容、取得方法を確認

  4. 資格の認知度を確認

  5. キャリアプランを見直す

  6. 取得者の体験談を確認

とはいえ、「やりたいことをやる」が最適解だとも思う。

人生に正解はないため、当ページが何らかの参考になれば幸いである。

資格で得られると勘違いしがちなもの、本当に得られるものまとめ

当ページでは、資格で得られると勘違いしがちなものと、本当に得られるもの、資格の選び方を解説した。

自己分析を行う際、やり方がわからない、他者評価が欲しい場合には、下記を活用して欲しい。


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