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起業家必見!孤立感を乗り越えて前に進む方法
1. はじめに
起業したものの、誰にも相談できない孤独感に押し潰されそうになっていませんか。
筆者は最初の数か月間、まるで「自分ひとりで世界と戦っているような気持ち」に苛まれた。自分の事業を立ち上げる際、想像していた「自由」と「充実感」。しかし、現実にこの世界に飛び込んだ途端、理想と大きく異なる「孤立感」に襲われた。それはもう豪快に丸呑みにされたのである。
周りに頼れる人がいない状況。すべての決断は自分一人で下さなければならない重圧。一つひとつがとても大きく、そして、重い。
会社にいるときの安心感がまるで嘘のような孤立感。成功者が笑う陰に、こんな穴があったんか――と愕然としたのは言うまでもない。
独立すること。それは、自由を手に入れると同時に、責任と、責任と、責任を全て、一人で背負い込むことだ。元居た場所で呑気に笑う同僚たちが羨ましく、仲間たちと楽しそうに過ごす経営者たちが恨めしかった。なぜ、自分だけがひとりなのか。そんなことばかり感じていた日々だった。
しかし、いま振り返るとあの孤立感こそ筆者を成長させ、強くしてくれたように思う。
あなたが今、孤立感に悩まされているとしたら。あなたは決して一人ではない。そのことを知って帰ってほしい。
この文章を読んでいるあなたも、同じように起業を目指し、またはすでに事業を立ち上げているのかもしれない。だとすれば、その「孤立感」は、単なる通過儀礼の一つである。しかしながら、辛いのは事実であろう。
だからこそ、孤立感とどう向き合い、どう乗り越えるかを考える必要がある。乗り越え方はそれぞれだが、あなたが乗り越える助けになるかもしれん方法を紹介したい。
筆者が感じた孤立感、そして乗り越えた方法をお伝えする。もし今、あなたが「自分もそうだ」と感じているなら、きっとこの先の話は役に立つ。
2. 事例:榊原沙奈の場合
起業前、期待と不安が入り混じり吐きそうだったあの頃。しかし、実際に独立すると、そんなものはショボかった。期待は早々に爆散し、いつの間にか不安は鳴りを潜めたほど馬鹿でかい図体のそいつはやって来た。名をば、筋骨隆々の孤独感といいける。あはや。
独立からの数か月間、筆者はひとり、朝から晩まで作業に追われた。誰に相談するでもなく、すべての決断を自分一人で下さなければならない状況に、心身とも追い詰められていたのだろう。普段なら乗らない誘いにホイホイ応じた末に、うっかり傷だらけになったりした(主に、酒の失敗である)。周りに似たような人がいないわけではなかったが、そのことがかえって焦燥感を煽り、彼らとの距離感は孤独感を増幅させていた気がする。
完全に、孤立していた。
あるとき、何かが切れた。それが何だったのか今でもわからない(知りたくもない)が、ゴールテープでなかったことだけは確かだ。筆者、気づけば病院で寝ていた。
ここでようやく、友人に連絡した。それまで全くしていなかったわけじゃない。むしろ、まめにメッセージのやり取りはしていたが、いつもどこか取り繕っていた。けれど、このときばかりは本気で言った。「つらい」。
筆者は決して、ひとりではない。このような言い方をするのは生意気だが、許してほしい。頼ろうと思えばいくらでも人はいたのだ。しかし、頼れなかった。
もしかすると、あなたも同じ経験をしているかもしれない。
何気ない日常の中で、「これは本当に自分が望んだことか」と自問自答する。特に、起業から2年近くはうまくいかない日のほうが多く、「こんな自分で本当に大丈夫か」と不安を募らせてばかりだった。その結果、”できる側”である周囲に対し、”できない側”の自分が助けを求めるのに抵抗感を抱く自分が仕上がった。
これが他者との間に距離を感じた原因であり、ますます孤立感を強めた。
最も印象的だったのは、ある事業の進行が思わしくなかったときだ。
数か月をかけ準備を進めていたにも関わらず、着地点が見えず、最初の壁にぶつかったとき、「このままではどうしようもない」と途方に暮れた。周りに相談すれば解決する性質のものではなく、言い知れぬ孤独感に襲われる。「誰にも頼れない」「自分だけで解決しなければならない」。こうしたプレッシャーに押しつぶされそうだった。
ここで抱いた「自分だけでやらなければならない」という思考は、この後、何度も筆者を悩ませた。はじめこそ頼れる仲間やパートナーを欲し、実際に手を差し伸べてくれる相手がいたのに、「経営者たるもの、他人に弱さを見せてはいけない」「自分の理念を他人に理解してもらうのは難しい」との気持ちから、どんどん遠ざけた。
けれど、この孤立感が強まり、長引くほど、仕事の進捗は遅れ、心が折れそうになった。これに伴い、「事業の成功も遠のくのでは…」との不安も膨れ上がる。ここでようやく、友人に「仕事がうまくいかないとき、どうしてる?」と持ち掛けた。素直に、「つらい」「しんどい」と言えばいいものを、このような回りくどい言い方しかできぬ自分に嫌気がさす。聡い彼女は十中八九、筆者の本心に気づいていたのだろうが、敢えてこちらの事情に突っ込むことなく、自らの工夫を筆者に話して聞かせてくれた。筆者にはこれが効果覿面であった。
友人への相談は問題そのものへの解決にはつながらなかったが、筆者自身の心が軽くなったことで、冷静に次の行動へと移ることができた。「自分は一人ではない」という事実を確認できたことで、落ち着いた事例である。
このように、筆者が感じた孤立感の正体は、「自分ひとりでやらなければならない」という思い込みと、「誰にも弱みを見せられない」という過剰な防衛本能であった。けれど、これらを少し緩めたことで、視野が広がり、冷静に次のステップへ進める力を得た。
あなたが今、筆者と同じ孤立感で悩んでいるのなら、更にここから先の話が役立つはずだ。
3. 孤立感が生まれる背景や原因
開業は、すべての人に順風満帆な人生を約束するコンテンツではない。むしろ、初期には「自由による開放感」という抜群の効果をもたらすが、その裏では不安と孤立感を強める劇薬のようなコンテンツだ。ではなぜ、起業家の多くは孤立感を選ぶのだろうか。その背景には、いくつかの原因が絡んでいる。
1. 「自分一人で何とかしなければならない」の思い込み
煩わしい副作用の原因は、「自分ひとりで何とかしなければならない」の思い込みだ。特に、起業初期には自分しか関与していない感覚が強く、周囲に頼れる人はいない、助けを求めるのは半人前といった思考に侵される。その結果、次第に「一人にやらなければ――」というプレッシャーが肥大化。各神経を圧迫し始めるのだ。
忙しない毎日の中、やるべきこと、やりたいことが山積みで、そのような現状を他人に打ち明け、ましてや手を借りるなど「自分の怠慢である」と思っていた。けれど、これ自体が大きな間違いだ。反対に仕事の効率を大幅に下げる原因となるのでお勧めできない。筆者はこれに気づくのに、かなりの時間を要した。
起業家として、どんなに素晴らしいアイデアを持っていようと、周りの力添えなしに成功させることはできない。自分一人の力などたかが知れている。特に、人的資源や時間的資源は限りがあり、協力者やアドバイザーの存在は不可欠である。
2. 「孤独な戦い」という感覚
多くの起業家は、「全責任を自分が負っている」という重圧を感じている。特に、他者とのつながりが薄いと感じると、孤独な闘いという感覚に陥りやすくなる。はじめこそ誰かと協力して仕事をしている感覚があっただろうが、独立により、それらの責任を全て自分のみが負うのだ。
例えば、会社員の場合。プロジェクトチームや上司、先輩と意見を交換し、アドバイスをもらうこともできる。しかし、起業家として一人で事業を立ち上げた途端、他者と同じ事業について意見を交わす機会が限られる。その結果、「本当にこれでいいのか」と疑心暗鬼に陥りやすく、孤独感が膨れ上がる。
さらに、事業がうまくいかない時期や予期しないトラブルに直面した際、その失敗や不安を誰かに共有することができないという思い込みが、孤立感を強める。こうして精神的なプレッシャーは積もり、どんどん自分の世界に閉じ込められる。
3. 家族や友人の理解が得られない
次に挙げられるのが、家族や友人からの理解が得られないという点である。これは特に、初めて事業を立ち上げたときに多くの起業家が直面する問題だ。周りの人々は、あなたがやりたいことや夢を応援したい気持ちはあっても、その厳しさや現実的な苦しみについては理解してもらえないことがあるだろう。
家族や友人は心配や気遣いから、「もっと安定した仕事をしたほうがいい」と進言することも多いし、「そんなに大変なの?」と疑問の声を投げかけることもある。こうした反応が、起業家自身の孤立感を強める原因となっているのだが、彼らはそのことに気づかない。
自分の周囲に理解者が少ないと感じたあなたは、ますます心の中で「一人で戦わなければならない」という気持ちを強めるだろう。
孤立感の原因を突き詰めると
結論から言うと、孤立感が生じるのは、「自分一人で何とかしなければならない」とか、「周りの理解が得られない」という|思い込み《・・・・》が原因だ。こうした思い込みを持ち続けると、次第に孤独な気持ちは増し、事業の進行に悪影響を与える可能性は高まる。
もちろん、起業家として独立する以上、あなたの責任で多くのことを決断しなければならないのは事実だ。しかし、その一方で、周囲の助けを借りることや、他の起業家とつながりを持つことが、孤立感解消のカギであることを理解する必要がある。
次は、これらの原因に対し、どう向き合い、孤立感を乗り越えるべきかを具体的に考える。
4. 孤立感克服の実践的な方法
孤立感に悩む起業家が多い中、それを乗り越えるには実践的な方法が不可欠である。ここでは、筆者自身が実際に試して効果を感じた方法を詳しく説明したい。今のあなたが孤立感を感じているのなら、これらのステップを試し、少しずつ解決の糸口を見つけてほしい。
1. 初手、自分の気持ちを認識する
あなたが最初にやるべきことは、いま、自分が感じている孤立感や不安を無視しないことだ。自分の気持ちと向き合い、それを認めることが解決への第一歩である。筆者自身、孤立感を感じていたときに、心のどこかで「こんな自分ではダメだ」と思い込んでいた。経営者たるもの、孤独を愛せるくらいの精神力がなければならないと考えていたのだ。しかし、その気持ちをしっかりと受け入れ、「自分は今、孤立感を感じている」と認めることで、その気持ち自体が和らぐのを感じた。
2. 信頼できる人に助けを求める
孤立感を感じるとき、他者への相談は弱さを見せることと=だと考えがちであるが、これぞ大きな誤解である。筆者の場合、孤立感の絶頂期に最も信頼できる友人に相談した。全てを話したわけではないものの、悩みの一端でも話せたことにより、思いがけず自分の感情が軽く、気持ちが整理できた。
ここでは、信頼できる友人に声をかけたことが成功のポイントだったと思う。最初は「こんなことで迷っている自分はおかしいのでは…」と感じていたが、実際に話すと、その悩みを否定されることはなく、「自分も同じようなことで悩んだことがある」「でも、こうして乗り越えた」という言葉が返ってきた。本当に有難さしかなかった。筆者は彼女のその一言で救われ、心の中で感じていた孤立感が軽減された。
もしもまだ、あなたの周りに信頼できる人がいないなら、SNSやオンラインの起業家コミュニティへの参加をお勧めする。筆者は孤立感を強めていた時期に起業家と距離を置いていたが、ネット上の起業家フォーラムで同じような悩みを持った人から連絡をもらい、狙わずして互いに支え合うこともあった。これも一つの「助けを求める」方法だと思う。
3. メンターやコンサルタントにアドバイスを求める
もう一つ有効な方法として、メンターやコンサルタントへの助けを求めるが挙げられる。開業初期は、誰に、何を、どう頼ればいいのか分からず、結局単独で悩んだが、経営に関してアドバイスをくれるコンサルタントに連絡を取ったことがある。
コンサルタントや友人(筆者の場合、友人をメンターだと感じている)を頼ることで、孤立感が一気に解消されるわけではないが、自分の進むべき方向を知るには正解だったと思う。自分の頭だけではどうしても解決できない問題について、日常の導線から完全に外れた場所にいる第三者から、正真正銘、客観的なアドバイスをもらうことで、方向性は明確になり、孤立感は和らいだ。
あなたにとって、「メンター探しは難しい」のなら、まず業界のセミナーや勉強会に参加するといい。そこで出会う人、またはその先にいる人が、その後、あなたの支えになることがある。ここで大切なのは、一人で悩みを抱えるのではなく、外部のサポートを得ることだ。無理に相談相手を見つけることではない点に注意してほしい。
4. 自分の進捗を記録する
筆者が孤立感に打ち勝ったもう一つの方法に、「自分の進捗を記録すること」がある。特に、毎日の小さな成功体験の記録は、精神的に大きな支えとなった。
日々の仕事が進まないことに焦りを感じていた時期が長い筆者だが、その中で少しずつ進んでいる部分を見逃さぬようノートに記録した。例えば、「今日は2件の問い合わせがあった」「初対面の方と名刺を交換した」「新しい提案書を完成させた」などの小さな進捗であっても、記録として残す。こうすることで、自分だけが取り残されているような感覚は和らいだし、見返したときに成功・失敗の要因を考える糸口にもなる。
5. 一人で抱え込まないアウトソーシング活用
どうしても、起業家はすべての仕事を我一人でこなさねばならぬと考えがちだが、これが孤立感を強める原因でもある。これを軽減するためには、アウトソーシングの活用が有効だ。特に、会計業務やデザイン作業など、自分がやらずとも進められる作業は外部委託すると非常に効率が良く、大切なことが捗る。業務の負担は減り、重要な部分に集中できるのだ。
まだアウトソーシングに踏み切るのが怖いなら、小さなタスクを外部に任せることから始めよう。「自分がやらなくてもいい仕事」を認めるのが怖い人もいるだろうが、本当に必要なことだけを見つめ、余計な手間暇を減らすことも経営者の仕事だ。心の余裕が生まれ、孤立感を感じることも少なくなるだろう。
5. まとめ:孤立感を乗り越えた先にあるもの
起業家としての道は、決して平坦ではない。孤立感を感じることも多く、特に初期にはその感情に圧倒されることもある。しかし、その孤立感と向き合い、少しずつ乗り越えることで、得られるものは大きい。
筆者は孤立感を乗り越えることで、人とのつながりの重要性を深く実感した。最初こそ一人で抱え込むことが多かった自分だが、少しずつ信頼できる友人とつながり、前に進む力が湧いてきた。孤立感を感じていたからこそ、他者の助けを借りる重要性に気づき、それが事業の成長にどう結びついていったのかを、今ではよく理解しているつもりだ。
そして、自分が進む道には必ず意味ができると信じられるようになったのも、孤立感を乗り越えたからこその成長だと感じている。最初は誰しもが通る通過点のように思えた孤立感も、今では自分の一部として、前進する力に変換している。
今、この瞬間に孤立感を抱え、悩んでいるなら、どうかそれを恐れないでほしい。孤立感を感じられるあなたは、決して一人ではない。多くの起業家が同じように感じ、あなたがそれを乗り越えた先には、新たな視点や支えとなる仲間が待っていることに気づくはずだから。
だから、今日も少しずつ進めよう。孤立感を抱きながらも、前に進んでいる自分を大切にし、少しでも軽くなる方法を探していってほしい。どんな道も、最終的には自分の成長へと繋がっていくのだから、焦らず着実に歩んでいこう。
明日は、今より少しでも楽に感じられる瞬間が増えているはずだ。
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