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第3回:資格があっても採用されない理由―経験・人脈・スキルがないと厳しい現実

 「資格があれば就職や転職で有利になる!」
 「独立して稼げる!」

 こうした期待を胸に資格を取得したものの、「不採用」「仕事なし」「収入なし」の三重苦に見舞われていないだろうか。

 実際に経験した人は痛いほど思い知っただろうが、資格を持っているだけでは大した武器にはならない。採用市場、独立市場のどちらも、である。無資格の頃には想像もしていなかった事態だと思う。
 有資格者のあなたの前に、新たに立ちはだかるのは「経験」「人脈」「スキル」という資格外の大きな壁だ。

 では、なぜ資格だけで通用しないのだろうか。そして、どうすれば資格を活かせる職に就けるのか。

 今回は、資格取得後に多くの人が直面する「不採用の理由」を掘り下げ、資格+αで市場価値を高める方法を考えたい。


1. なぜ資格があるのに採用されないのか

 無資格者の一部は次のような期待を抱く。
 「資格をとれば転職に有利なはず」「資格さえあれば独立して今より稼げるのに」と。

 しかし、いざ資格試験に合格し、意気揚々と向かった採用面接。結果はいずれも不採用で、力なくうなだれることとなる。その悲壮感漂う背中にあるのは、皮肉にも資格のみである。

 ここで考えられる不採用の理由は3つだ。


(1) 経験がないから

 採用市場において重視されるのは、資格ではなく実務経験だ。特に転職の場合、この傾向が顕著である。

 たとえば、宅建士の資格はあるが、不動産業界未経験の場合、同じく宅建士の資格がある営業経験者に劣る。同じく、実務経験のない行政書士試験の合格者が面接に来たとして、実務においては「一般人に毛が生えた程度」の扱いしか受けられず、即戦力とはなりえない。これが社労士や司法書士でも同じことが言えるだろう。

 企業が欲しいのは、資格者ではない。即戦力だ。

 そのため、いくら「未経験者OK」と記載があっても、いざライバルが経験者となれば勝ち目はない。


(2) 人脈がないから

 意外かもしれないが、就職や独立に関し「人脈」の有無も影響を及ぼす。特に、行政書士や社労士等の士業や、フリーランスで活躍する資格職の場合、独立初期に舞い込む仕事の大半は「知り合い経由」だ。

 そのため、資格を取得し、業界とのつながりがゼロの状態で求人を探したところで、好条件の職は見つかりづらいし、独立するにしても集客に苦労するだろう。

(3) スキルがないから

 資格は、一定の知識があることを示すものだが、スキルがあることを証明してはくれない。たとえば、プログラミングの資格があっても、実際にコードを書けるかは別問題だし、TOEICなど外国語関連の資格を持っているからと言って、現場で通用するレベルとは限らない。また、士業資格があったとしても、相談対応や書類作成をはじめ、交渉力などのスキルが伴わなければ仕事として成立しない。

 企業は一貫して「即戦力」を求め、資格だけでなく、実践的なスキルを身に着けることを意識したい。


2. どうすれば資格を活かせるか?

 では、「経験、人脈、スキル」がなければ資格を活かせないかといえば、必ずしもそうではない。諦めるのはまだ早い。

 以下に、資格+αで市場価値を高める具体的な方法を紹介する。

(1) 無料・低コストで経験を積む方法

 未経験でも、実務経験を積む方法はいくつか存在する。

インターン・アルバイト・業務委託を利用する
 
未経験者でも、短期インターンやアルバイトとして経験を積むことで、履歴書に記載できる「実績」となる。

副業としてスタートを切る
 
はじめから転職や独立を考える方法もあるが、クラウドソーシングや個人向けの小さな案件から着手し、コツコツ実績を積み上げる方法だ。

自分でプロジェクトを立ち上げる
 求人や依頼がないのなら、自らプロジェクトを立ち上げる方法もある。たとえば、ライター志望ならブログを運営したり、既存コンテンツへの寄稿、プログラマー志望なら自作アプリの開発・リリースが考えられる。

 要するに、経験を積めない状況に置かれたとしても、能動的に自分で経験を作ることが大切だ。

(2) 人脈を作る方法

 資格業界における人脈は、仕事のチャンスに直結することも多い。そのため、勉強会や交流会への積極参加、SNSやブログで発信し、横のつながりを意識するほか、業界のイベントに顔を出す方法が有効だ。

 人脈がないと悩むときこそ、積極的に動く必要がある。

(3) 資格+スキルで市場価値を上げる

 資格単体で捉えるのではなく、「資格+α」の思考を大切にしたい。
 たとえば、以下の通りだ。

  • 行政書士+マーケティングスキル → 独立時の集客力UP

  • FP+ライティングスキル → 資産運用コラムで収益化

  • TOEIC+翻訳スキル → 実務翻訳の案件獲得

 資格は常に基盤ベースであり、キャッシュポイントは「+α」の部分に集約される。


3. まとめ

 資格だけでは仕事(収益)につながらない理由は、「経験」「人脈」「スキル」の不足が考えられる。そのため、資格を活かすには、経験をつくり、人脈を形成し、スキルを身に着ける必要がある。また、資格単体で見るのではなく、実践的なスキルと組み合わせることで市場価値を高めていこう。


「資格はあるのに採用されない」「仕事につながらない」

 こうした悩みを抱えているあなたには、ぜひ上記3点を意識してほしい。
 資格はあくまでスタート地点だ。そこからどう動くかはあなた次第である。

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ヲタク行政書士®榊原沙奈
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