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2024年5月の記事一覧

同じ釜の(ご)飯を食べるようになった

筆者には、今年10歳を迎える愛犬がいる。 ペットショップから迎えた彼女がうちに来て数ヶ月後、「先天性右心室不全」と診断された。それから紆余曲折を経て、現在はたいへん健やかな人生(犬生の方が適切だろうか)を送る彼女だが、1つ気がかりなことがある。 食が細く、なかなか太らない。 スレンダーボディ先天性疾患に伴う腹水により消化器が圧迫されていた彼女は、子犬の頃から食が細い。誕生日のご馳走だけでなく、普段の食事も食いつきは良いが、量を食べてくれないので、回数を増やしてみたりした

1+1=2である

他人に頭を下げ、反対に下げられることがある。 筆者は内罰的思考の持ち主で、過剰に謝っていた時期もあれば、まったく謝らない時期もあった。前者は自己満足の謝罪、後者は自責に疲弊し、自分に言い訳しなければ生きていられなかったことから、他者にまで気を遣う余裕がなかったことが要因だったのだと思う。 いずれにせよ、自分勝手な理由で出た行動であることに変わりはない。 健康な思考力を培う目的で始めたランニングは、必ず、早朝に出走する。小雨程度なら気にせず走るが、陽光降り注ぐ時間帯になると

咳払いで思い出した横顔も

改札に定期をかざし、同じ路線、同じ駅を行き来する毎日から離れ、2年が過ぎた。はじめこそ自由に怯え、かえって規則正しい毎日を送った筆者。今の生活に馴染むまで1年以上を要し、自分の不器用さを情けなく思う。 会社という組織は窮屈だが、良いところが沢山ある(筆者が語るまでもないだろうが) 定期に会社員の頃は、毎日同じことと少しだけ違うことを繰り返した。勤続年数が重なる度、同じことは積み重なった。そのうち、違うことを探す方が難しくなった。 いっぽう、自営業になった途端、毎日同じこと

生きている限り止まらないもの

日曜日、いつものように開いたwebページに「母の日」がテーマの記事が並んでいた。「もうすぐ母の日か」とすぐにスクロールした数時間後、この日が当日であることを知る。自らに関係のないイベントだと、完全に気を抜いていた筆者なのである。 人は誰しも筆者の母は変わっている。「自分以外はみんな変人」の世の中において、筆者の人生で群を抜いて変わっている。 彼女と出かける際、偶然会った知人から私を指し、「娘さん?」と尋ねられると必ず「こんな子、産んだ覚えはない」と言い切る。その一方で、自