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さようならBoiledEggsOnline
あと数日で会社の公式サイトBoiledEggsOnlineをリニューアルオープンする。
実は前代表の村上から引き継いだものの中で、いちばん扱いに困っていたのがこのBoiledEggsOnline。
![](https://assets.st-note.com/img/1738076728-PdzUps3QItk8Jaji2lGnm69W.png?width=1200)
村上の入院中、第28回ボイルドエッグズ新人賞の中止を発表するのが急務だったので、リモートで画面共有しながら基礎的なことは教えてもらった。
そのときは「よし、なんとか理解したぞ!」という気になるものの、次から次へと謎が発生する。なにせ1999年以降、たった一人が独自ルールで制作し、運用してきたのだ。
少しいじった直後に最近めっきり見かけなくなったNotFoundに行き当たり、「や、やってしまったか……!?(でも戻し方がわからない)」と真っ青になったこともあった。
結果としては「ほとんど踏む人がいない」という理由からとうの昔に無効になっていたリンクだったのだが、「知らんとわからんよ!」なトラップが多すぎる。
もう少し私がこっち方面に明るければ……。自分を恨むいっぽう、10年ほど前、エンジニアの友人にBoiledEggsOnlineのソースコードを見せたら「だいぶユニーク」といわれたことも思い出した。
制作者みずからが運営してこそ成立していたサイトだったのだろう。
ホームページを作り直すことを決めた。このままいくと、遺跡を踏み荒らす感じになってしまう。
友人づたいで紹介してもらった優秀なデザイナーさんに多くをお任せし、私はボイルドエッグズが関わった書籍情報を手動で新サイトに移していった。これが意外と大変なのだが、面白い。
現在第一線で活躍されている作家さんの既刊キャッチコピーに、「超期待の新生、あらわる!!」「大型新人登場!!」とあったり、あらすじ末尾に「買え読め」と書いてあったり……熱がこもりすぎておかしなことになっているものも多々。すでに使われなくなった言葉や、「今だと怒られるよこの表現!」というものもちらほら出てくる。一部は残し、残したらまずそうなものは修正した。
そしてなによりおどろいたのは、BoiledEggsOnlineで連載していたエッセイや小説をまとめた本が、10冊以上発売されていたこと。
もちろん、今よりオンラインでの読み物が少なかった時代背景もあるだろうし、当時所属いただいていた先生方の力であることは疑いようもない。
それでも何千何万の投稿者を抱える巨大プラットホームではなく、一人が制作し運営していたサイトから多くの本が書籍化され、その多くが文庫化され、電子書籍化され、愛され続けている。
夢があると思った。
なにか代わるものはないかいろいろ試していくためにも、やっぱり操縦しやすいBoiledEggsOnlineを作らなければ。
というわけで、未曾有のエラーなどに見舞われない限り(まだ油断できない)、まもなく現在のBoiledEggsOnlineは終了し、新生BoiledEggsOnlineが始まります。
村上が制作ツールとして使っていたDreamWeaverには、なにもわからない私が見ても一目瞭然の努力の痕跡がいろいろと残っていた。変えてしまってすまん! と思いつつ、家の建て替えのようなさびしさはない。
よく見ていたホームページを人は意外と忘れないと思う。私は学生のころ毎日のように見ていたホームページのカウンターの位置まで覚えている。
これまでのBoiledEggsOnlineの残像も、誰かしらの頭の片隅にぼんやりと残ってくれたら嬉しい。