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鼻から内視鏡入れて髄膜腫摘出手術をした話 その7

「手術は終わりましたよ!病室戻りましたよー!起きて下さーい!」
と、言われたのは、麻酔注入後、体感時間で3〜5秒後の事だった。え?手術ってまだしてないよね?と思えるほど体感では短時間だった。
これは人生初のタイムリープ!…などと考えるより前に、とても寒い事に気付いた。これまで体験した事が無いくらい寒い。身体が勝手に大きく震えていく。ので、看護師さん4人位で押さえ付けられて、毛布か何かをバババッと掛けられたところで意識が途切れた。

次に起きたら、とても暖かい。身体の上下?に電気毛布を敷いてくれたようだ。今度は気持ち良くてまた寝てしまった。

次に目覚めた時、ベッド脇に奥さんが立っていた。ん?これは夢かしら?と思いつつ、寝ぼけた頭で、ようやく「今何時?」と聞いたら、19時半頃だと言う。麻酔注入が8:30頃だったから、都合11時間経過していた事になる。あぁ、本当に手術終わったんだなとここで実感した。そして!!!あっ!右目も見えるぞ!と、この時気付いた。右目が見えた事と、奥さんとまた会えた事が嬉しくて涙が出て来た。感動の瞬間だったが、この時はまだ寝ぼけていて、何を話したのかあまり覚えていない。この日は奥さんは自宅まで帰る事になってたので「運転気を付けてね」と言った事だけ覚えてる。後で聞いた所によると、「見える!右目も見えるよ!」と大層喜んでいたけど、酸素用?のマスクをしていて声がこもっていたため他は聞き取れなかった、との事であった。

無事生きていた事、右目が見えるようになっていたこと、そして奥さんと会えた事で安心して、また寝てしまった。
この時点では、頭の痛みとか鼻呼吸出来ない苦しさとか太ももの痛みとかはあまり意識していなかった。

次に目覚めたのは夜中だろうか?時計がないから分からなかったが、HCUなのに人が少なくて薄暗かったので勝手にそう思った。
この時、自分の身体が置かれている状況を、初めて認識した。
少し頭の中と外が痛い(10本くらいの針が刺さってた)。鼻呼吸が出来ない。両手に点滴の針が刺さってる(左は動脈に、右は静脈に刺さってた。右は刺さってるだけで、薬液は注入してない)。背中からクダが生えてるぽい。尿バッグが繋がってる。左太ももが痛い。脚が定期的に締め付けられて痛い。口のマスクは外されてる。そして38℃超の発熱。
そんなとこか。そんなには痛みを感じなかったのは、痛み止めのおかげだったらしい。

冷静に自分の置かれた状況を認識してあらためて、いやはやこれはタイヘンな世界線に来てしまったな!と思った。…シュタインズゲートの見過ぎである。エル・プサイ・コングルゥ…
いつの間にかまた寝ていた。

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