すばらしい空の世界 【017 只見〜郡山〜いわき】
毎年夏が来ると、JRの普通・快速列車乗り放題の『青春18きっぷ』を使って出掛けたくなる。
暑いからといって部屋で冷房かけてゴロゴロするのは、健康的ではない。 なるべくなら、近くの涼しい自然のあるところに行きたい…ということで今回は上越線→只見線→磐越西線→磐越東線と乗り継いで、いわき駅に向かうことにした。
高崎駅より、上越線の普通列車に乗る。 およそ1時間に1本のため、混雑している。 見た感じ半分は『青春18きっぷ』のユーザーではないだろうか!?
水上(みなかみ)駅に到着すると、越後湯沢方面の列車に乗り換えとなる。 跨線橋を渡らなければならないので、荷物は極力少ない方が良い。
水上駅を発車して暫くすると、新清水トンネルに入る。 三国山脈の下を通り抜けると、いよいよ新潟県である。 越後中里駅の辺りから、スキー場の夏の光景が目に留まる。 リゾートマンションの並ぶ越後湯沢駅を過ぎると、米どころ新潟らしい車窓となる。
長岡ゆきの列車を、途中の小出(こいで)駅で降りる。 学生さん数名と、只見線に乗ることを目的にしたと思われる数名と一緒に乗り換える。
訪問した当時、只見〜会津川口の間は不通となっていた。 ひとまず只見ゆきのディーゼルカーに乗り換える。
まずは大白川駅までの、新潟県内にある7駅に停車する。 手前の入広瀬駅までの間で、学生さんは降車する。 残りの乗客が、只見駅より代行バスに乗るのだが…果たして全員乗れるのだろうか?
代行バスの乗車人数を確認するため、車掌さんが車内のチェックをしている。 特別なアナウンスが無かったので、全員乗れるのだろう。
会津川口駅から会津柳津駅の間で、『あわまんじゅう』や『凍み餅』などの特産品や『天然炭酸水』の車内販売があるとのこと。 実施日と該当列車は、『只見線ポータルサイト』を検索しチェックをお願いしたい。
只見川との並走が終わると、今度は会津磐梯山が見えてくる。 現在は代行バスだった区間も復旧し、全線を完乗できる。 バスツアーで只見線の体験乗車があったりすると混雑するので、右か左かどちらの車窓が良いかチェックした上で始発駅より着席することをお勧めしたい。
結構長く乗っていたが、車窓の景色の美しさや変化もあり…あっという間に会津若松駅に到着した。
ここからは、磐越西線の郡山ゆきの電車に乗り換える。 乗り換え時間が短いので、ゆっくりは出来ない。
猪苗代駅の辺りから段々と暗くなり、郡山駅に着く頃には漆黒の闇。 その反面、車内は浴衣姿の女性が郡山駅に近づくと増え…華やかな様相である。 ようやく、夏らしい日常が戻って来た。
ずっと観ていたい花火ではあるが…郡山駅での乗り換え時間に夕食を摂らないと、タイミングを逃してしまう。
なぜ海に面していない会津地方で、魚である『にしん』が郷土料理となったのか…。 遡ること江戸時代…現在の北海道で獲れた後に、乾燥させたにしんは『みがきにしん』として流通されていた。 どの様な経路を辿ったか…会津地方に運ばれ、保存が効くなどの理由で重宝された。 その『みがきにしん』を使った『にしんの酢漬け』や『にしんの山椒漬け』という郷土料理が、現在に至るまで造られているのだという。
お食事を頂いた後は最終目的地のいわきまで、磐越東線のディーゼルカーに乗って移動する。
まだ花火大会は続いているので、帰宅ラッシュには遭遇しないで済みそうだ。
列車がいわき駅に到着し、あらかじめ予約しておいたゲストハウスにチェックインしたのは22時前。 その間、駅前から続く道は七夕飾りが風になびいている。 屋台の営業の後片付けをしている方もいる。 フロントのスタッフに尋ねると、七夕まつりがあったとのこと。 翌日も催されるというので、早々に就寝し朝起きたら楽しもうと思う。
浴衣姿・花火大会・七夕まつり…毎年夏になると、当たり前の様にあった光景をようやく取り戻すことが出来た。 日本の夏…来年もその先も、変わることなく恒例行事が続いて欲しいと願う次第である。