ゲップを出せなかった大人の僕が出せるようになるまでを書いていく
はじめに
これは28年間ゲップが出せなかった僕がゲップを出せるようになったまでを書いた物語である。
ゲップが出せない人のための出し方マニュアルー大人版ー
↑にゲップの出し方をまとめているが、なぜこんなものを作ったのかというと、ゲップを出せない苦しみを嫌というほど知っているためである。
そしてゲップを自由に出せるようになった喜びも知っている。
ゲップが出せない人のための出し方マニュアルー大人版ー
この記事を作成するにあたった経緯をこちらにつづっていく。
中学生編~初めてゲップが出る~
僕の中学校は今思うと少し変わっていたかも知れない。
冬になると給食を食べて掃除をした後に20分間グラウンドを走らないといけないのだ。
生徒全員と先生も何人か一緒に走っていた。
そうして走っている時に、僕は毎回のように喉に違和を感じていた。
何かが喉に上がってきてぐるるーと引き返していく。
なんとなく「空気が上がってきている」というのには気付いた。
そしてそれがおそらくゲップではないかと思い至るまでに時間はさほどかからなかった。
食後そこまで間を開けずに走っていたためか、走る度に喉がぐるぐるするので走りづらく感じていた。
喉の空気を出したくて、口を大きく開けたり息を大きく吐いたりしてみるが、全く何も出てこずにすっきりしない。
諦めて走っていると
「げぷっ」
給食に出た魚の匂いが口に広がる。
そして喉元のぐるぐるがすっきりとしている。
走っている衝撃のためだろうか。
そう、たまたまゲップが出たのだ。
「これがゲップが出るということか」
僕はその時に生まれて初めてゲップが出る、ということを自覚したのだ。
それと同時に「自分は意図的にはゲップを出せない」ということもはっきり自覚した。
高校生編~おならがたくさん出る~
そして高校生になった。
そのころにはゲップとはまた別の問題が僕をおそっていた。
おならである。
授業中に時々とんでもなくおならを出したくなるのである。
必死に我慢しているとおなかが痛くなってくる。
休み時間になるとトイレに座り、我慢していたおならを出す。
そうするととてもすっきりするのだ。
慣れない新生活のためだろうか?
中学のころからおならを出したくてお腹が痛くなることはあったが、高校になってから明らかに頻度が上がった。
我慢できない時は授業中に、慎重にゆっくりとおならを出した。
バレないかどうか僕はいつも気が気じゃなかった。
しかし同時に不思議にも思った。
どうも周りにはおならを我慢しているような人がいないのだ。
おならを我慢してお腹が痛くなっているような人を見たことがない。
「みんな我慢強いのかな?」
僕はそんな風に思っていた。
しかしこれも後で分かったことだが、ゲップが出せない人はおならが多くなる、というのはあるあるなのだ。
口から出ることのできないゲップは、おしりからしか出せない。
そして、ゲップ由来のおならといういのは、腸内で発生したわけではないのであまり匂わないようだ。
ただし、この時にはゲップとおならの関係には気付くこともなく、「きっと自分はおならの出やすい体質なのだろう」と納得していた。
大学生編~地獄の飲み会の始まり~
高校まではゲップが出せないことも、おならがたまり腹痛になることも、苦しいのではあるがまあ何とかなっていた。
大学になると状況は一変した。
飲み会が始まったのだ。
飲み会のときには、とりあえずビールを飲む。
そしてしゃべりながら食べるためか、胃へのガスの溜まり方が半端ないのだ。
飲み会が終わるころには空気が喉元まで上がってきてはぐるぐるーと戻り、それが頻回にあるのでとても苦しい。
口を大きく開けてみたり、息を大きく吐いたり、舌を出して「え゛―――っ」と言ってみたりするが全く出ない。
「何してるの?」
と友人に聞かれ、ゲップが出せなくて苦しい事を初めて人に話した。
その友人は当然ゲップが出せるので、出し方を聞くと、
「喉を開けて待ってたら勝手に出るかな」
全くピンとこなかった。
そう、これもあるあるだと思うが、ゲップの出せない人にとって、ゲップの出せる人の説明は全く参考にならないのだ。
人は当然のようにできていることをうまく説明できない。
英会話は、アメリカの人など元々英語を話せる人に習うより、英語を話せるようになった日本人に習う方が上達しやすいという話を聞いたことがある。
「できない」が「できるようになった」経験をした人の方が教えるのが上手いらしい。
ゲップも同じである。
出来る人にいくら説明を受けても分からない。
そしてゲップを出せなかった人が出せるようになった、というのを僕の周りでは聞いたことがなかった。
飲み会の度にゲップが出せない苦しみを味わっていた僕は最終手段に出た。
「もういっそのこと全部出そう」
吐いてしまえば吐物と一緒にゲップが出ると考えたのだ。
意を決して指を突っ込む。
「げえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
とても長い、恐竜の声のようなゲップが出た。
吐物に空気が押され、狭い食道を通り抜ける音だ。
すっきり爽快とはいかないが、喉につっかえていたものが取れ、作戦は一応成功した。
しかしこの方法はやらない方がいい。
喉に指を突っ込むという事は気持ちのいいものではないし、逆流性食道炎になるリスクが高くなるからだ。
社会人編~ゲップを我が物に~
飲み会の度に苦しい思いをしながらも、無事に大学を卒業し、僕は社会人になった。
僕が社会人になったばかりの頃は、ガラケーだけでスマホなんかなく、インターネットをするならパソコンが必需品だった。
そして僕は一人暮らしを始め、初めてインターネット契約をした。
「そうだ!インターネットでゲップの出し方について調べてみよう!」
これは素晴らしいアイディアだと思った。
周りの人に聞いても分からなくても、ネットになら答えがあるに違いない。
しかし結果は変わらなかった。
検索しても出てくるのは赤ちゃん向けの物がほとんどで、何とか大人版を検索できても自分には合わないのかさっぱり出る感じがしない。
「もうゲップを出すことはあきらめよう。死ぬわけでもないし。」
ネットで検索することもなく数年が経過した。
たった数年だったが、スマホが普及してネット検索はさらに行いやすくなった。
YouTubeも発達して、色々な動画も楽しめるようになった。
世の中がどんどん発展していくが、僕のゲップの悩みは解消されていないままだった。
飲み会の席でまた苦しくなって、声をかけてくれた同僚にゲップが出ないことを相談した。
すると同僚はスマホですぐに調べてくれた。
その中で「息を吸いながら“あいうえお”と言うと出る」というのがあり、試してみることにした。
ゲップが喉元まで上がってくる感じがした時に、息を吸いながら“あいうえお”…
出ない。
出ないが今までとは違い、出そうな感じがある。
食道が開いている感じがあるのだ。
その日はゲップが出るまでには至らなかった、確かな手ごたえを感じ同僚にお礼を伝え帰宅した。
それから試行錯誤の日々が続いた。
ゲップが上がってきそうになるたびに息を吸いながら“あいうえお”と言う。
しかしあと一息のところで出ない。
そして試行錯誤の上分かったことが、実際に“あいうえお”を言う必要はなく、息を止めたまま息を吸う感じにすると食道が開いているらしいということ。
そしてゲップが上がってきたタイミングで食道を開くだけではゲップが出ないこと。
腹圧を高める必要があったのだ。
タイミングよく食道を開き腹圧を高めると…
げふっ!
やった。
ついにやった。
僕はやったのだ。
生まれて初めて自分の意志でゲップを出した。
口の中が先ほど食べた魚の匂いでいっぱいになる。
生臭いが全く不快ではない。
むしろ感動的な匂いだ。
もう10年近く前のことになるが未だにあの時の匂いは覚えている。
さいごに
そう、僕がゲップを出せるようになって10年ほどになる。
つい最近、ふと思い立ち「ゲップの出し方 大人」と検索してみた。
その結果に驚愕した。
まともな方法が一切書いてないのだ。
YouTubeにもない。
そしてYouTubeのコメント欄には「自分もゲップが出せません」といったものがあふれている。
ヤフー知恵袋には、「試してみます」とのコメントはあっても「出るようになった」とのコメントはない。
「何とかしたい」
謎の正義感が走った。
そして自分の確立した方法を皆に伝えたいと思った。
少しでもゲップの出せない人を救いたいと思った。
そしてこの記事が作成された。
ゲップが出せない人のための出し方マニュアルー大人版ー
正直このやり方で万人がゲップを出せるようになるのかまだ分からない。
今まで他にゲップを出せないという人に会ったことがないからだ。
もし少しでも救われた人がいるなら、コメントで教えて欲しい。
この記事がノーゲッパ―のみんなを救うことができることを願うばかりだ。